条件
「条件…?」
「そう。ここ魚の国には魚の住人がいる。
住人の数は年々減少していて、今では24匹の魚しかこの国に残っていない」
王子が悲しい表情で話す。
「24匹?!数年前はもっと沢山の魚がいたはず!」
「そう。数年前までは住人が沢山溢れていたんだ。でも絶滅する種族が絶えなかった。何故なのかを知るために僕は色々聞いて回って調べたんだ。…原因は君ら。人間にもあったんだ」
「私達が…原因?」
「うん。一つ例として話をしよう。ある日、住人が窒息死してるのが発見された。国に帰って調べてみたら体の中から透明な破片が見つかったんだ。それはプラスチックの破片だった。人間が捨てた浮遊しているゴミを、食料と間違えて食べてしまったんだ」
「え…」
「これは一つの例であって、まだ他にも問題が沢山ある。つまり僕が言いたいのは、これらの問題を改善するために協力して欲しい、ということだ」
話の内容に戸惑いつつ、目を見て強く答える。
「このまま地上に帰りたくはないし、逢の手がかりが何か掴めるなら協力します!」
魚の表情で読み取りにくいが、王子は目を瞑り少し微笑んだ。
「ありがとう、クララ。住人の皆にはクララが『良い人間』であると伝えてある。良い人間であれば歓迎してくれるはずだ。この後皆を集めて紹介をしよう」
そう言って王子は部屋を出ていった。