魚の国?
「〜〜〜、だから、〇〇〇〇」
誰かの話し声が聞こえて目を覚ました。
周りを見ると珊瑚や貝殻、藻などが飾られている。
「ん?ここ、どこ…」
ベッド?のようなところで寝ていたようだ。
「目をサマシましたか!」
急に響いた声に驚き、声の主の方へ振り返る。
(魚の顔の…人間?!)
体は服を着ているし人間のようだが、ヒレや手足に水かきのようなものがついている。
何より顔が完全に魚なのである。
「驚かせてしまってスミマセン。ここは『魚の国』でゴザイマス。ワタクシはこの国の管理をしていますカマツカ族の"ジョセフ"とモウシマス」
「魚の国…?」
「そしてこちらは…」
手を向けた先には、冠を被った同じく魚の顔をした人間が座っている。
「この国の王子、ワカサギ族の"ディラン王子"でゴザイマス」
ディラン?という名の王子が口を開く。
「僕はディラン。君は人間なのだろう?皆から聞いている」
皆とはあの魚の大群のことだろうか?
「名をなんと言う?」
王子に聞かれて思わず答える。
「私は笑。人間です」
それを聞いたジョセフが話し出す。
「では、ここでの名前は"クララ"にシマス。よろしくオネガイシマス、クララ」
(クララ…)
ふと、もしここがあの湖の底なら…と考えた。
「湖で行方不明になった男の子をずっと探しているんです。名前は"逢"と言います。5年前くらいの事なんですけど、何か知らないですか?」
2匹は不安そうな表情で見つめ合う。
「確かにここは湖の底にアリマス。ただ、ワタクシは3年前に生まれたノデ、5年前の出来事はワタクシにはわかりかねてシマイマス」
「そうですか…」
やはり魚の寿命はそんなに長くないのだろうか。
王子が口を開く。
「その男の子を探すのを手伝おう。ここで生活をしていたら、もしかしたら手がかりが見つかるかもしれない」
王子が続けて話す。
「ただし、一つだけ条件がある」