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幼い記憶
記憶にあるのは虹が反射した湖と
キラキラと飛び跳ねる魚の大群だった。
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カンカンッパカッ
卵を割る音が聞こえる。
「おはよう。今日から新学期ね」
朝ご飯を作りながら母が話す。
捲れていた制服を直し、うん、と返事する。
朝ご飯を食べていると少しだけ暗い顔で、
「今日は…見つかるといいわね」
と母が囁く。
もう数年も経っているのに。
「行ってきます」
とだけ言ってそのまま家を出た。
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学校はつまらない。
歴史を学んでも結局は今の現状を学ぶ方が大切だし、「将来のために」と言うけれどやりたい事もないし、職業体験のような社会に触れる機会が少なすぎる。
やりたい事やなりたいものを見つけろと言うなら、キラキラした職業の世界ではなく、もっと現実的な事も教えてあげるべき。
『楽しい』の部分だけを見せて、大人になってから現実を知るのはあまりにも酷すぎる。
そんな事を考えながら、今日もあの湖に向かい一人で歩く。