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姉妹催眠♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、甘々長女はやたら密着したがるし、クール次女は嫉妬して催眠かけてくるのだが~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第3章 甘々な日常

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第98話 二人っきりになりたいのは

 落ち着け。落ち着くんだ俺!


 三条先輩の別荘は壮観だった。

 開放的な吹き抜けのリビングに、現代的でありながら薪ストーブなどレトロさも取り入れた内装。窓からは海が一望できる。

 おっと、ベランダにはバーベキューも可能な広いウッドデッキまで完備だ。


 問題はそこではない。何故か俺の部屋が姫川姉妹と同室なのだが。

 こんなあからさまな作戦はヤバすぎるだろ。大丈夫か? 三条先輩……。


「却下です」


 当然俺は断った。三条先輩を廊下に呼び出して。

 当の三条先輩は不満そうな顔になるのだが。


「あら、いけませんでしたか?」

「いけませんも何も、問題あり過ぎでしょ」


 他の女子も居るのに何をやろうとしてるんだよ。

 そもそも姉妹同時って? 3Pなのか? それ、姉妹丼なのか? ダメに決まってるぞ。


「進藤先輩と良い感じになって色ボケしたのかな?」

「何か言いましたか?」

「いえ何も」


 だから、急に目を見開くのはやめてくれ。怖いから。


「とりあえず俺は岡谷と同室にしてください。女子は四人部屋で良いでしょ」

「はあ、わかりましたわ。意気地なし」


 おい、この先輩、毒を吐いたぞ。


「俺のことより三条先輩はどうなんですか? ちゃっかり進藤会長と同室にしたりして」


 俺の下世話な意味を込めた質問に、三条先輩は「ふふん」と笑った。


「烈火様ったらお可愛いですのよ。お風呂で背中を洗ってあげたりベッドで優しくマッサージをしてあげると、お顔を真っ赤にして恥ずかしがるの。うふふふふ♡」


 ああ……。想像できる。とんでもないテクニシャンだぞ、この先輩。あの鬼烈火も三条先輩にかかると赤子扱いかな。

 進藤会長……もう貞操の無事を祈るしかないです。



 ◆ ◇ ◆



 水着に着替えた俺は、すぐ目の前に広がる砂浜に下りた。別荘から歩いて二分といったところか。

 こんな絶景のロケーションなのに、俺の後ろでは初々しい百合カップルが何かしているのだが。


「ほら、烈火様♡ 日焼け止めを塗ってさしあげますわ」

「お、おい、三条! 我は日に焼けても構わぬ。あと、『様』を付けるのはやめないか」

「日焼けはお肌に良くないですわよ。烈火様♡」

「こら、そこを触るな! ああぁ♡」


 ちょぉーっと待て! イチャイチャし過ぎだろ。あの鬼烈火が乙女になってるじゃないか。


「先輩、ビーチパラソルはこの辺っすか?」


 ビーチパラソルやクーラーボックスを抱えた岡谷が、あくせくと働いている。こき使われているのに嬉しそうだ。


「おい、岡谷、百合の間に挟まる男はヤバいだろ。ぶち殺されるぞ」


 古今東西、百合を邪魔する男は極刑と相場は決まっている。


「待て、おっぱいマスター安曇よ」

「誰がおっぱいマスターだ」

「安心しろ。俺は『イエス美少女、ドントタッチロリ』だぜ!」

「そっちの方が心配だぞ!」


 まあ、岡谷は二次元オンリーなロリ好きだから大丈夫だろう。


「しかし何で三条先輩に?」


 俺の疑問に、岡谷は苦悶の表情になった。


「安曇よ、俺はな……凶悪ドスケベギャルと淫乱黒髪ボブに詰められているうちにな、怖い女に命令されるとゾクゾクする体質になっちまったんだよ!」


 ドMかっ! 難儀な体質だな!

 まあ確かに三条先輩は謎の迫力があるけど。


「おまたせー!」


 そんな俺たちのところに眼福がんぷくタイム。

 星奈せいなの声がして振り向くと、そこには攻め攻めなビキニを着たギャルと、妙に艶めかしい黒髪ボブの美少女がいた。


「どう? そうちゃむぅ♡ うりうりぃ」


 ギリギリまで布を少なくしたビキニでポーズをとる星奈せいな。胸も零れそうだし下はハイレグで尻を強調するようになっている。

 こんなの直視できない。


「お、おい、見せ過ぎだろ」

「そうちゃむになら見せてあげるし♡」


 そう言って星奈せいながビキニの紐を引っ張る。胸の谷間を見せるように。

 これに明日美さんがキレ気味だ。


「壮太君! 嬬恋つまごいさんばかり見てる! 私も水着姿なんだよ!」

「ちょっと待って。むしろ明日美さんの方がヤバい」


 明日美さんもビキニだ。白い普通のタイプに見えるが、よく見るとローライズされているセクシーなやつだ。


「ちょ、見えそう……。それ丈が短くない?」

「ふふっ♡ 壮太君、何が見えるのかな?」

「な、何でもないです」


 何が見えそうかは秘密だ。


「でも、あの紐みたいな水着じゃなくて安心したよ」

「あれはコスプレだよ。変な壮太君」


 明日美さんなら着そうだから心配なんだよ。まあ、外じゃ着ないだろうけど。

 あと岡谷は何で逃げ腰なんだよ? 二人が来たら速攻で離れたぞ。そんなに怖がらなくても。


「そうちゃん♡」


 今度はノエルねえの声だ。期待を込めて俺は振り向く。


「って、な、なんじゃこりゃああ!」


 しまった。つい驚き過ぎて変な声を出してしまった。

 デカいデカいとは思っていたが、生……じゃなく水着で見ると凄い破壊力だぜ。温泉の時は湯気やタオルで見えなかったからな。


「どうしたの、そうちゃん?」

 ばるんっばるんっ!


 ノエルねえが動く度に、奇跡のように美しいGカップが揺れる。もう猫じゃらしを見た猫みたいに目を離せない。


「どうかな? 新しい水着だよ」


 そう言って胸を強調するノエルねえ。ピンク色のビキニが似合っている。

 だからGカップを突き出すんじゃない。


「そ、そうなんだ。似合ってるね」

「えへへぇ♡ なんか去年のがサイズ合わなくなっちゃったからぁ」

「それ太っ――」

「太ってない! 太ってないからね!」


 ノエルねえが全力で太ってないと主張する。大丈夫だ、太ってないから。ある部分が大きくなっただけで。


 ギュゥゥゥゥー!


「って、痛っ! 痛いって! つねるなシエル!」


 シエルが俺の背中をつねっている。

 実はさっきから居たのだが、俺がノエルねえのGカップばかり見ていたので。


 ちなみに水着はシエルの美しさを際立たせる紫色のビキニだ。恥ずかしがり屋なだけあって、下はパレオを巻いているけど。


「壮太ぁああ!」

「すまん。ついノエルねえに目を奪われて」

「こらぁああああああ!」


 怒ったシエルが俺を追いかける。

 俺は海まで逃亡だ。


 ザブッ、ザブッ! ザバーン!


「お、おいっ!」

「きゃあああぁ!」


 シエルに捕まり、一緒に倒れ込んだ。

 口の中に海水が入り、塩の味が広がる。


「やぁああぁん、目が染みる! 壮太のバカ!」

「誰のせいだよ――ガボボボ」

 ザッパーン!


 喋ろうとしたら追撃の波がきて海水を飲んだ。


「ちょっと待て! シエルが俺に乗ってるから立ち上がれんぞ」

「きゃああっ! もうお仕置き! あははっ!」


 と、まあこんな青春っぽい戯れをしているもんだから、皆の視線が痛くなるのだが。


「もうっ、そうちゃんったら!」

「そうちゃむ! また、しえるんばっかり構ってるしぃ!」

「壮太君! 私も押し倒して!」


 若干一名、問題発言が聞こえた気がするが。



 ◆ ◇ ◆



 別荘に戻った俺たちは、ウッドデッキでバーベキューをして盛り上がった。

 俺は海で疲れてヘロヘロだが。


 そんな俺のところに三条先輩がやってきた。


「あら、お疲れですか?」

「インドア派なもので」

「岡谷さんは海でもバーベキューでも働いてくださいましてよ」


 三条先輩の忠実なしもべとなった岡谷は、バーベキューでも張り切って働いていた。

 岡谷、お前ってやつは……。


「俺は肉を焼いていましたので」

()に挟まっていたの間違いでは?」

「くっ、否定できねえ……」


 海で皆に散々乗られたり踏まれたりしたのだが、別荘に戻ってからも密着され続けたのだ。

 確かに挟まっていたが正しいかもしれない。女子にという意味だが。


「安曇さん、この後はお待ちかねの肝試しですわよ。くじ引きでペアになって」


 三条先輩が目を輝かせる。


「肝試し? まさか……くじに細工を?」

「ふふっ」


 俺の疑問に答えるよう、三条先輩は笑った。

 悪い先輩だ。ちゃっかり会長と二人っきりになるつもりだろう。


「安曇さんは誰とペアになりたいですか?」


 その一言が、俺の心に波紋を作る。


 俺は……誰と?

 ノエルねえ……憧れのお姉ちゃん……。俺は……ずっと好きなんだ。小さな頃から。

 でも…………。


 シエル……ちょっと変わっていて、いつも素っ気なくて。でも話が合って、一緒に居ると楽しくて。

 俺はシエルと一緒に居たい。


 ああ、むしろ姉妹両方好きだ。大好きだ。エッチもしたい。どちらかに決められない。

 姉弟になるって分かってるはずなのに、こんな想いを抱いちゃダメなのに。


 それに……星奈せいなと明日美さん……。最初はからかわれてるって思ってたけど、今日もあんなにグイグイ来てくれてるし。

 もう誤解じゃないよな……。


 俺が二人っきりになりたい人は――――



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

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