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姉妹催眠♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、甘々長女はやたら密着したがるし、クール次女は嫉妬して催眠かけてくるのだが~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第3章 甘々な日常

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第97話 むぎゅむぎゅな夏休み

 夏休みに入ったばかりの今日は海の日。まさに俺たちは海に向かっていた。


 三条先輩が企画した怪し気な旅行……おっと、怪しいとか言っちゃダメだな。多少恋愛的トラップが有りそうだが、せっかく別荘を提供してくれたのだから。

 そんな訳で、俺たちは三条先輩の別荘に向かっているところだ。


 三条先輩が手配してくれた大型のミニバンは、海岸線の国道を南下する。若者で賑わうビーチを横目に。

 この車には俺たちだけが乗り、三条先輩と進藤会長は別の車だが。


 外は夏真っ盛りだが、車内はエアコンで快適な気温を保っている――はずなのだが、俺の周りだけ湿度高めだ。

 どうしてこうなった!


「そうちゃん♡ お腹空いてない? ジュース飲む? お姉ちゃんに何でも言ってね♡」


 車の二列目ベンチシートの中央に座った俺は、右側からノエルねえの甘々お世話焼きを受けていた。

 Gカップ巨乳を押し付けられながら。


 夏ということでノエルねえも薄着になっている。Tシャツから、薄っすらと巨乳を包むブラが透けているのだが。


「そうちゃむ♡ アタシの相手もしろし♡ ほれほれぇ♡」


 左側からは星奈せいなが抱きついている。背が高くグラマラスなボディを押し付けながら。


 こちらはもっと過激だ。谷間や横乳が見えているキャミに、大胆に太ももを露出したデニムホットパンツ。

 ギャルかよ! ギャルファッションかよ! って、星奈せいなはギャルだったぜ。


「お、おい、近いって! 運転手さんに見られてるだろ」


 俺は運転席に座った三条家専属ドライバーのおじさんを気にする。何となく執事のセバスチャンっぽい。


 そのセバス(勝手に命名)が、ルームミラーで俺を見て微笑む。


「ご心配いりません、安曇様。寧々お嬢様から申し付かっております。安曇様が車内でエッチなことをおっぱじめてもスルーするようにと」

「おっぱじませんから!」


 三条家に忠実なドライバーさんだった。


 旅行に行く前から三条先輩は言っていたのだ。『わたくしにお任せください。姫川姉妹とくっつくように手配しておきますわ』と。

 あの上品でお堅い先輩が、今では恋愛脳になっているなんて。変われば変わるものだ。



「ほら、そうちゃん♡ お姉ちゃんがマッサージしてあげるね♡」


 むぎゅ♡ むぎゅ♡ むぎゅ♡


 文化祭以降、ますます甘さに磨きがかかったノエルねえが言う。胸を押し当てながら。

 もう完全にわざとだろ。


「ちょっとぉー! そうちゃむのイジワルぅ♡ アタシを無視すんなし♡」


 むぎゅ♡ むぎゅ♡ むぎゅ♡


 星奈せいなも負けじと胸を押し当てる。スケベねえに対抗してるのか!?


「ちょ、マズいって! 限界っ! もう限界だから! てか、トイレ行くから車止めてくれ!」


 トイレと聞いて、ニマァっとエロい顔になったのは星奈せいなだ。


「ぬししぃ♡ そうちゃむ、トイレで何するのかなぁ? もうっ、エッチぃ♡」

「何もしねえよ! 普通にトイレに行くだけだって!」


 本当にトイレに行きたいだけなのに、ノエルねえまで恥ずかしそうな顔になった。


「そ、そうちゃん、我慢できないの? なら、お姉ちゃんが……ううっ♡」

「何の話だよ! トイレ行くだけだよね!?」


 最近のスケベねえとスケベギャルは、一体どうなってんだ。前より数段激しい気がするけど。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 当然ながらこうなるんだよな。分かっちゃいるのだが。

 そう、俺の後ろの三列目シートから凄まじい殺気がする。もうヤンデレを超えてヤンギレみたいな。


「壮太君……やっぱり大きいのが良いんだ? そうだよね。小さい胸じゃ満足させてあげられないよね? もう世界も巨乳も滅べば良いのに……」


 怖っ! 明日美さん怖っ!


 三列目シートから身を乗り出した明日美さんは、俺の耳元に顔を寄せている。呪いの言葉をはきながら。


「壮太……極刑……。このエッチ、スケベ、ヘンタイ。お仕置きは極刑……」


 反対側の耳にはシエルの声だ。冗談のようだが本気で怒っている気がする。


「ちょっと待て! 俺が望んで挟まれてる訳じゃないよね!?」


 反論しようにも二人は許してくれない。

 ヤンデレ目になった明日美さんは、俺の耳に口を付けるようにしてささやく。


「壮太君って私に冷たいよね。中学の時は告白してくれたのに。もう知らない!」

「そ、それは、今はその話は。皆も居るから……」

「ふんだ、もう強引に既成事実を作るしかないのかな。壮太君が悪いんだよ」


 明日美さんの目が本気だ。油断したらパパになりそうな気がする。


「そぉ~うたぁ~!」


 一連の会話でシエルの威圧感が激増した。もう女王様ってレベルじゃねえぞ。


「待て、シエル! これは不可抗力だ! ヤンデレは自然災害だ! 話せば分かる!」

「問答無用!」

「痛っ! 痛ったた!」


 シエルが俺の頬をつねってきた。

 

「やめろぉ! くっ、安曇死すとも自由は死せず!」

「それは板垣いたがき退助たいすけ!」

「ナイスツッコみ! さすがシエルだぜ」


 因みに『話せば分かる』で撃たれたのは犬養いぬかいつよしだ。


「壮太のバカ。もう許さない。極刑! 後で壮太の好きな足責め♡」

「ごめんね壮太君♡ 嫌いにならないで♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡」


 両耳からASMRボイス作品ばりのヤンデレ美声を無理やり聞かされる。

 しかしそれだけではない。

 ノエルねえ星奈せいなも参戦だ。


「そうちゃん♡ お姉ちゃんがお世話するから♡」

「そうちゃむ……じゃなくご主人様♡ アタシ、ご主人様のエッチなメイドになっちゃうし♡」


 むぎゅ♡ むぎゅ♡ むぎゅ♡ むぎゅ♡


「なんじゃこりゃあぁああああ!」

「それはこっちのセリフだぜ! この叡智エッチぱいマスター安曇め!」


 我慢の限界で叫んだ俺だが、助手席に座っている男も一緒に叫んだ。


 そうだ忘れていた。助手席に座っているのは岡谷だ。今回の旅行は彼も一緒である。


 やつは三条先輩に禁句を言ってしまい、以来忠実なしもべになったのだ。

『下働きお願いしますわね』と言う三条先輩の命令で、今回の旅行で色々とこき使われているのだが。ちょっと嬉しそうな顔して。

 おい、岡谷! それで良いのか?


 そんなことより、もう限界なのだが。


「セバスさん、トイレでスッキリしたいから止まってください」

「はい、承知しました、安曇様。あと、私はセバスではなく瀬場せばです」


 ドライバーさんはセバスじゃなくセバだった。



 ◆ ◇ ◆



「ふう、スッキリしたぜ」


 休憩で寄ったコンビニのトイレから出た俺は、洗った手をヒラヒラと振りながらつぶやいた。

 スッキリといってもエッチなことはしていないからな。そりゃスッキリしたいのは山々だが、そんなのバレたら恥ずかしすぎる。


 店を出ると、外のベンチではシエルたち四人が並んでアイスを食べていた。

 さっきまで張り合っていたりピリピリした雰囲気だったのに、今は仲良し女子グループみたいだ。


「女子って難しいぜ」

「くっそ! くっそ羨ましい……」


 独り言をつぶやいていると、横から岡谷が首に腕を回してきた。


「暑苦しいぞ、岡谷よ」

「お前らのイチャコラを見せつけられている俺の方が暑苦しいわ!」

「ですよね」


 すまん岡谷。俺もよく分からん。セクハラにならないよう配慮していただけなのに、いつの間にか状況が悪化していたんだ。


 そうこうしていると、もう一台の車から進藤会長が出てきた。

 彼女にしては珍しく、ちょっと疲れた顔をしている。


 車は黒塗りの高級車。広い後部座席で、会長と三条先輩は二人っきりらしい。


「お、おう、安曇か」


 俺を見つけ声をかけた会長だが、その声は上ずっている。心なしか体も火照っているような?


「会長、どうかしましたか?」

「ど、どうもしないぞ!」


 そう言って俺の肩を叩く進藤会長だが、いつもの精彩が無い。てか、ちょっと乙女っぽい。


「会長、三条先輩と何かありましたか? 俺で良かったら相談に乗りますよ」

「なっ! そ、それは」


 三条先輩の名前を出した途端、会長の様子がおかしくなる。しどろもどろだ。


「ちょっとコッチに来るんだ」


 会長が俺の手を引っ張って、皆から離れたところに連れて行くのだが。

 やっぱり何かあったのか。


「安曇、最近の我はおかしいのだ」

「はい」


 躊躇ためらいながら会長は話し始める。


「実はな……このところ三条と家を行き来していてな、一緒に風呂に入ったり寝たりしておるのだ」


 いきなり百合っぽい話なのだが。


「そ、それでな。三条は我に良くしてくれてな。疲れているからとマッサージしてくれたり、優しく抱きしめてくれたり……」


 マズいでしょ、それ!


「ああぁ♡ いけないとは分かっておるのだがな。三条に触れられる度に、我の胸がドキドキと高鳴ってしまい……」


 あっ、これアレだ。烈×寧々じゃなく寧々×烈だ。

 カップリングはしないと思ってけど、これは意外と……。会長がその気なら良いのかな?


「三条先輩なら、大概のことは許してくれると思いますよ。あの人って見かけによらず男前ですから」

「そ、そうか。やはり安曇は頼りになるな」


 進藤会長はスッキリした顔で戻っていった。


 仕事だけじゃなく恋愛も手が早い三条先輩が末恐ろしくなる。いったいどんなテクニックなのか。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

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ブレイブ文庫 第1巻
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