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姉妹催眠♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、甘々長女はやたら密着したがるし、クール次女は嫉妬して催眠かけてくるのだが~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第3章 甘々な日常

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第87話 もう大人だね

 夕暮れのショッピングモール、肩を寄せ合った俺とシエル。そして、目に涙を溜めたノエルねえ

 悲しそうな顔を見た俺は、胸がギュッと締め付けられる感覚になった。


「あの、ノエルねえ……」

「ううっ、ヒドいよ。そうちゃん」


 涙目のノエルねえが俺の腕を掴む。縋る様な目をして。


 やっぱり誤解してるよな。ここはフォローせねば。


「ごめん、ノエルねえ。ダサいって言ったのは誉め言葉なんだ。サイだけに」

「えっ、何のこと? って、ダサくないよ!」


 先に安心させようとして、思い切り外してしまった。サイのぬいぐるみは忘れろ。というか、遠かったから俺たちの会話は聞こえてないよな。

 アホなこと言ってないで真面目に説明しないと。


「とりあえず、ノエルねえがダサいのは置いておこう」

「それはどうでも良いからっ!」


 良いんだ。


「それよりヒドいよ! 今日は私の大切な日なのに、そうちゃんったらシエルちゃんとデートして。忘れちゃったんだ? もうお姉ちゃんは要らないんだ? ふえぇええええぇ~ん!」


 困った。ノエルねえが子供みたいに泣き出してしまったぞ。この人、たまに赤ちゃんになるよな。可愛いけど。


「だから誤解だって。忘れてないよ」

「ほんと?」


 上目遣いに俺を見るノエルねえの瞳が揺れる。宝石のような瞳が涙で濡れ、より一層輝きを増しているように。


 ダメだ。もう人目もはばからず抱きしめて俺の彼女にしたい。

 俺はバカだ。さっきまでシエルと恋人気分だったのに。もうノエルねえに心を奪われている


 好きだ。もう隠せないくらいに好きだ。シエルとノエルねえが。二人とも好きだ。


「そうちゃん! そうちゃん!」


 ノエルねえが俺の顔を覗き込んできた。

 俺がボーっとしてたからだよな。

 ちゃんと説明しよう。


「バカだなあ、ノエルねえは。そのプレゼントを買いにきてたんだぞ」

「うんうん。おねえの誕生日プレゼントだよ」


 俺の言葉にシエルが相槌あいづちを打つ。


「えっ、じゃ、じゃあ……今日は私のために……。ご、ごめんなさい。私ったら早とちりして……。って、バカじゃないもん」


 さっきからノエルねえの表情がコロコロ変わる。思い出したようにバカにツッコんだぞ。


「俺とシエルが誕生日プレゼントを選んでるのを見て、忘れてデートしてると誤解するとか。これをバカと言わずして何とする。もう、おバカねえかな?」

「変な名前つけないでぇ~」


 いつものノエルねえに戻ったぞ。これで一安心かな。


「そういうことだから。分かったのならノエルねえは先に帰って良いぞ。俺たちはプレゼントを買って帰るから」


 ここでプレゼントがバレちゃったら楽しみが減っちゃうしな。

 しかしノエルねえは不満顔だ。


「私も一緒に買い物するぅ♡」

「一緒に買ったらサプライズにならないだろ」

「サプライズじゃなくて良いから。それにもうドッキリしたから。ドッキリ大成功だよ」

「ドッキリ企画なんてしてないのだが」


 勝手にノエルねえが尾行してドッキリしただけだぞ。


「むぅ……そうじゃないの。お姉ちゃんだけ除け者なんて許さないんだから」

「はあ?」

「シエルちゃんとだけデートするなんてズルいズルい。デートするなら、お姉ちゃんとしなさぁーい!」


 駄々っ子になってしまったぞ。どうすんだ、このワガママねえは。


「しょうがないなぁ。シエル、作戦変更だ。お姉陥落作戦(オペレーションノエル)は中止する。ノエル姉(対象)と行動を共にするぞ」

了解ラジャー


 俺とシエルが『やれやれ』といった顔をすると、ノエルねえは満面の笑みになった。


「ほら、行くよ。プレゼントを買いに」

「自分のプレゼントを買いに行くとか何なんだ? てか、デートじゃないし」

「男女が一緒に出掛けるのはデートなんだよ」


 この過保護(ねえ)、俺がクラスの女子と出掛けようもんなら、保護者気取りでついてきそうだな。


「どうしたの、そうちゃん? お姉ちゃんの顔をジッと見て」

「俺に彼女ができても過保護姉が同行しそうだと思ってな」

「だ、ダメダメ! 彼女なんて許しません!」

「はあ?」

「ダメったらダメぇええ! 彼女は絶対ダメぇええ! 一生お姉ちゃんとデートするのっ!」


 愛が重い! まあ、姉弟愛だろうけど……。

 ったく、こっちの気も知らないで。俺がどんだけノエルねえを想っているか。どんだけエッチな目で見ているか知らないんだろ。

 もう、妄想の中では何度も何度もエッチしてるんだぞ。


「えへへっ♡ そうちゃんとデートだよ」


 俺の欲望をくすぐるように、ノエルねえが腕を組んできた。


「壮太、おねえにくっつき過ぎ♡」


 シエルまで反対側の腕を取ってきたのだが。


「お、おい、これはマズいって。クラスメイトに見られたらどうすんだ? 変な噂が……」

「その時はぁ♡ お姉ちゃんと付き合ってることにしよっ♡」

「そ、壮太のバカ♡ もう知らない」


 待て待て待て待て! 何だこれは?

 ニッコニコのノエルねえと、そっぽを向いたシエルに腕を引っ張られているのだが。

 捕まった宇宙人じゃねえぞ。


 その日、俺は二人の美人姉妹と同時デートする栄誉にあずかれた。知り合いに見られないかヒヤヒヤしながらだがな。



 ◆ ◇ ◆



「ハッピーバースデートゥーユー♪ ハッピーバースデートゥーユー♪ ハッピーバースデー、ディアおバカねえ♪」

「真面目にやって! もおぉおおっ♡」


 自宅のダイニング、テーブルの上には買ってきたイチゴのケーキと莉羅りらさんの作った料理。

 俺が誕生日ソングを歌うと、隣で緩み切った顔のノエルねえが抱きついてきた。


「待て、胸が当たって」

「イジワルなそうちゃんにはお仕置き♡」

「マジでやめてくれ! もう俺、限界かも」


 このおねえ、わざとやってるだろ。思春期真っ盛りの男子を興奮させてどうする気だ。


「あらあら、相変わらず仲が良いのね」


 莉羅りらさんは止めるどころか煽っている気がするぞ。実の娘が目の前で男とイチャコラしても良いのかよ。


「ママもハグしたいわぁ♡ ほら、リラちゃんにもぉ♡」

「そ、それは勘弁してくれ」

「壮太……息の根……」


 正面に座っているシエルの視線が怖い。本当に息の根を止められそうだぞ。

 何とかこの場を収めないと。


「シエル、ほら、プレゼントを。ノエルねえはろうそくの炎を消そうか。フーだぞ、フー」


 十八本のろうそくを「フー」っと消したノエルねえが、俺の耳元に顔を寄せる。


「もう大人だよ、そうちゃん♡ し、しても……良いよ♡」

 ドキッ!


 は!? 何のことだ? ノエルねえ……何をするって? 聞き違いかな? まさか、そんな……。


「じゃああ~ん! サイぐるみぃ」


 シエルが某長編アニメキャラみたいな声でプレゼントを出した。

 クールな美人顔で突然かましてくるのがツボだ。


「わぁあ、やっぱり可愛い」

「私と壮太から」

「ありがとう。シエルちゃん、そうちゃん」


 良かった。喜んでくれて。

 最初に見たサイのぬいぐるみが気に入ったからだけどな。ノエルねえ本人が。


「あと、これも」


 そう言って俺はプレゼントの袋を差し出す。

 トイレに行くフリをして、こっそり買っていたものだ。


「えっ、そうちゃんが?」

「開けてみて」

「うん」


 ノエルねえが袋を開けると、中から紺色のジャージが出てくる。


「ジャージ?」

「うん、今着てるのはお尻が擦り切れてるし、Gカップが収まらないし。何より洗濯していなそう――」

「も、もうっ♡ それは良いから♡」


 頬を染めながらノエルねえはジャージを抱きしめる。

 俺が選んだ、機能性とフィット感とダサさを兼ね備えた逸品だ。これならノエルねえの魅惑のGカップとムッチリした尻を包んでくれることだろう。


「そうちゃん、ありがとね♡」


 そうささやくノエルねえの瞳が熱を帯びているような。もう、お互いに歯止めがきかなくなりそうな予感がする。



 ◆ ◇ ◆



 風呂上がりの俺は、自室のベッドの上で使い込んでボロボロになったジャージを眺めていた。


「ど、どど、どうしよう……。ノエルねえの古いジャージを回収してしまった」


 そう、俺がプレゼントしたジャージを喜んで着たノエルねえは、古いボロジャージを脱衣所に脱ぎ捨てていたのだ。

 このままではゴミに一直線だろう。


「勿体ない。ノエルねえ成分が染み込んだ聖遺物アーティファクトだぞ! こんなの勿体なくて捨てられねえ!」


 興奮と愛おしさと収集欲でおかしくなっていた俺は、禁忌を犯してしまったのだ。

 そう、義理の姉の使用済み衣類を拝借するという。


「だだだ、だめだぁああああ! これじゃ変態だぁああ! どど、どうする、今からでも処分するか!? 待て、今はマズい。こんなの誰かに見られたら。冷静になるんだ。今夜は寝て明日考えよう」


 俺はジャージを机の上に置き、邪念を打ち払って布団に入った。肝心なことを忘れたまま。




 カチャ!


 それからどれだけ時計の針が進んだだろう? いや、デジタルだから針は無いが。

 ドアが開いて誰かが部屋に入ってきた。

 そう、いつもの催眠が…………って、待て! 机の上にはノエルねえの使用済みジャージが!


 俺は人生最大のピンチを迎えてしまった。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

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