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第84話 えちえち専用メイド

「きゃ、きゃあっ! こ、これぇ……いやぁん♡」


 ノエルねえのエッチな声が聞こえる。

 俺の買ったメイド服に着替えているおねえだが、そのスカートの短さに驚いているのだろう。


「ノエルねえ、もう見て良い?」

「だ、だめぇ♡ ちょっと待って♡」


 俺が振り向こうとするが、ノエルねえは必死に止める。

 背中越しにも恥ずかしさでモジモジしているのが伝わってくるようだ。


 み、見たい! ノエルねえのエロ奴隷メイド姿を!

 だってノエルねえが悪いんだぞ。思春期男子の性欲を甘く見てるから。毎日のように抱きついたり添い寝してきたり。

 もう悪いおねえはお仕置きしかないだろ!


「カウントダウン、3、2、1」

「ちょちょ、ちょっと待ってぇ」


 あたふたするノエルねえの叫びを無視し、俺は期待を込めて振り向いた。


「ゼロ!」


 そこで俺が見たのは、まさに禁断の義姉だった。幼馴染で憧れのお姉ちゃん。そして姉になった先輩。その姫川ひめかわ乃英瑠のえるが、事もあろうにエチエチなメイドコスプレをしているではないか。

 その背徳感たるや、俺が想像している以上だった。


「の、ノエルねえ……」

「だだ、だめぇ♡ 見ないでぇ、そうちゃぁん♡」


 エロい。見た目や格好もエロいが仕草がエロい。パンツが見えないように必死に隠している姿が一番エロい。


「こ、これっ、短すぎだよぉ♡ 見えちゃう♡」

「ちょ、待って、ノエルねえ! それ以上引っ張っると胸が飛び出しそう!」


 元から丈が短くパンツ丸見えメイドなのだ。裾を引っ張ると胸元の生地が足りなくなるのは自明の理だろう。


「もうっ♡ そうちゃんのバカぁ♡」


 バタン! とたとたとた――


 羞恥心が限界だったのか、ノエルねえは部屋を飛び出していった。

 と、思ったら戻ってきた。


 とたとたとた――

 ガチャ!


「そうちゃん、これ、わざとだよね。わざとお姉ちゃんに恥ずかしい格好させたんだよね。メッだよ」


 プリプリと頬を膨らませたノエルねえが言い放つ。パンツ丸見え……ではなく、下にブルマを穿いて。


「あれっ? 何でブルマを……」

「ブルマじゃないよ。スパッツだよ。通学にも使えるインナーパンツなの」

「そ、そうなんだ」

「これなら見えても大丈夫だよね」


 見えても良いのかよ? スパッツといってもマイクロ丈でブルマにしか見えんけど。

 下着とインナーパンツの違いとは!?


「どうしたの、そうちゃん?」

「くっ、何で同じ布なのにパンツはダメでスパッツはOKなんだ……」

「変なそうちゃん」


 変なのは世の中の常識だぜ。


「ふふ~ん♡ これなら可愛いかもぉ♡」

「パンツが隠れただけでこの違いですよ」

「パンツはダメなの」


 口を尖らせているノエルねえが超可愛い。やっぱり天使かな。


「しかし、何で下着は恥ずかしがるのに、セクシーな寝巻やスパッツは恥ずかしくないんだ?」

「そうちゃんだって、チラリズムの方が好きでしょ」

「それだっ!」


 確かに堂々と下着姿で歩かれるより、恥ずかしそうに隠している方がグッとくるよな。

 と、思っていたら、ノエルねえが俺の肩を触ってきたぞ。


「ほらほら、お姉ちゃんがメイドさんになってあげるから♡ そうちゃん専用のお嫁さんメイドだよ~」


 だからそれ嫁だって!


「どうですか? 肩はこってますか? ご主人様ぁ♡」

「な゛っんだこの破壊力は!?」

「えへへぇ♡ ご主人様のためなら何でも聞いちゃうよぉ♡」


 モミモミモミモミ――


 俺の肩を揉みながら甘い声でささやくノエルねえ。その破壊力たるや、なんぴとたりとも抗えない。まるで回避も防御も不可能な貫通スキルのようだ。


「ノエルねえ、結婚しよう!」

「えっ、ええっ! あ、あの……そうちゃん♡ えっと♡ ふええぇ♡」


 急にノエルねえの様子がおかしくなった。動きも声もぎこちなく顔も茹蛸ゆでだこみたいに赤い。


 って、しまった……つい感情が昂って失言してしまったぞ。俺の嫁って感じに。

 どうする? 家族になる相手に求婚するとか恥ずかしすぎるだろ。


「そ、そうちゃんがそう言うならぁ♡ ふへぇ♡ でもでもぉ♡」

「ごめん、ノエルねえ。冗談」

「はあ?」


 ぎゅぅううううぅううっ!


 俺の首に絡まっていたノエルねえの腕に力が入る。締め込むように。

 あれっ? もしかして怒ってる?


「そうちゃぁ~ん!」

「ご、ごめん! つ、つい」

「もうっ! もうっ! そういう冗談はダメなんだよ! お姉ちゃん本気で怒るよ!」

「ギブギブっ!」


 ノエルねえ裸締めなら(チョーク)ぬメイド締め(スリーパー)が完全に決まっている。

 いつの間に覚えたんだ。俺がプロレス技を使い過ぎたせいなのか?


「そうちゃん! ダメだよ、冗談でお姉ちゃんの気持ちをもてあそんじゃ」

「ノエルねえはエッチな体で俺をもてあそんでくるけどね」

「こらぁああああっ~♡」

「わーっ! だから抱きつくなぁああ!」


 だからそれがヤバいんだって! ノエルねえに密着される度に、俺の中の欲望がどんどん大きくなっちゃうんだよ!

 もう本当に全てが欲しいくらいに。


「ほらほらぁ♡ そうちゃん専属メイドなんだよ♡ 何でも命令して良いんだよぉ♡」

「じゃ、じゃあ、一緒にお風呂とか?」


 これなら恥ずかしがって無理だろう。


「ううっ♡ んんぅ♡」


 ノエルねえはモジモジと指を合わせながら上目遣いをする。


「い、いいよ♡」

「いいわけあるかぁああああ!」

「きゃああぁん♡」


 またやってしまった。腋や足裏へのコチョコチョを。ノエルねえが俺を惑わすからだ。


 ぷしゅぅぅぅぅ~っ!


 俺に体の隅々までくすぐられたノエルねえが転がっている。

 仰向けで大きく息をする胸が上下に動く。はだけそうなメイド服の胸元には、汗でしっとりしたGカップの谷間だ。


「ああぁ、まるでアニメから出てきたようなエロメイドだぞ。どうすんだこれ」

「ふええぇ~ん♡ そうちゃんがイジワルだよぉ♡」

「そもそも一つ屋根の下に、こんなエロい姉がいるのが問題だぞ」


 俺の言葉にもノエルねえは笑顔で返してくる。


「えへへっ♡ 私はそうちゃんと家族になれて嬉しいよ♡」

「ノエルねえ……」

「そうちゃんとまた会えて嬉しい」


 宝石のように綺麗なノエルねえの瞳が揺れる。


「わ、私ね、ずっとずっと、そうちゃんと逢いたかったんだよ。あんな形で離れ離れになっちゃって。でも、私はずっと、そうちゃんとまた逢えるって信じてたの♡」

「ノエルねえ……」

「だ、だからね♡ そうちゃんが望むのなら、私は何でもしてあげるからね♡」


 ノエルねえの目が俺を真っ直ぐに見る。


「俺、俺は……」


 そこで三条先輩の言葉を思い出した。『私の見立てでは乃英瑠のえるさんへの告白成功率100%』という。


 これ、いけるんじゃね? 俺がノエルねえに告白すれば。

 こんなに良くしてくれてるんだ。ノエルねえだって俺のことを……きっと……。


『壮太』


 もう限界と思われたその時、俺の心を止める声が聞こえた気がする。不器用で不愛想で塩対応なのに、俺を惹き付けてやまない彼女の声が。


 シエル……俺は……どうしたら……。


「そうちゃん、どうかしたの?」


 ノエルねえの可愛い顔が、俺を覗き込んでいる。

 また俺がボーっとしていたからかな。


「えっと、ありがとう、ノエルねえ。俺も逢えて嬉しかったよ」

「うんっ♡」


 可愛い。やっぱり可愛い。

 こんな可愛いメイド義姉をみたら、やっぱり……。


「そういえば、ノエルねえって、やっぱり尻がデカいよね」

「は?」


 しまった。またやってしまった。つい恥ずかしくて冗談を。

 やっぱり俺の恋愛は小学生レベルか?


「えっと……超ミニから突き出たスパッツ尻を見ていたら」

「もうっ! もうもうもうっ! そういうの言っちゃダメなんだよ! そうちゃんのバカぁああぁ♡」


 ポコポコポコ!


「太ってない。太ってないよね?」

「ノエルねえは太ってないよ。胸と尻が……」

「だから気にしてるのにぃ♡ もぉおおぉ♡」

「あはは」

「あとあと、忘れてないよね?」


 そのノエルねえの言葉には確認の意味がある。

 ちょっとだけとぼけてやるのだがな。


「えっ? 何のこと?」

「そうちゃんのバカぁ! わぁああああぁ~ん!」

「冗談冗談、6月12日だろ」


 文化祭の前に重要なイベントがある。

 そう、ノエルねえの誕生日が。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

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