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甘々姉と嫉妬妹に愛されすぎる同居生活♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、どっちも愛が重くて寝かせてもらえないのだが~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第4章 愛とお仕置きと運命と

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第130話 二人で帰宅

 チュンチュンチュン――――


 小鳥のさえずりと共に心地よい目覚め。

 もう何度目だろうか。

 何度目とか言ってもエッチはしてないぞ。添い寝だけだ。

 ああ、柔らかな感触と良い匂いが……。


「うっわ……もう夫婦の安定感……」

「安曇君って意外と積極的なのね……」


 ん? 何かクラスの女子の声が聞こえる。

 まさかな。部屋で義理姉妹と添い寝するのは日課みたいなもん…………って、あれっ!?


「あっ、やべっ」


 目を開けると、そこは羞恥プレイの真っただ中だった。

 俺が乱れた浴衣のシエルと思い切り抱きしめ合い、その周囲をクラスの女子が覗き込んでいる状況だ。

 しかも誰もが頬を赤らめ、見てはいけないものを見てしまったような顔で。

 まるでクラスメイトの情事を覗き見るような感覚なのか。


「えっ、あのっ、これは……」

「ううぅ~ん♡」


 何とか誤解を解こうと……誤解ではないのだが。とにかく俺は懸命に取り繕おうとする。

 しかし、続くシエルの爆弾寝言で全てが吹き飛ぶのだが。


「壮太ぁ♡ 子づくり激しすぎぃ♡ もうムリぃ♡」

「ちょ、し、シエル! なに言ってやがる! ね、寝言だよな? 寝言」


 サァアアアアアア――


 シエルの子づくり発言で、周囲の女子が一斉に後ずさる。


「えっ、二人って、もう子づくりしてるの?」

「早くね?」

「ヤっちゃってるかぁ~」

「そ、そうちゃむ? えっ、ええっ!?」

「壮太君♡ 私には子づくりしてくれなかったよね? もう拷問しかないよ」


 してないから! ぜっんぜんしてないから!

 明日美さん、マジで拷問は勘弁してくれ!


「ふぎゅぅ♡ そうたぁ♡ しゅきぃ♡」


 こんな状況なのに、シエルの寝言が止まらない。

 いつも学校ではクールで塩対応なのに、今は部屋みたいに甘々なのだが!


「こら起きろ!」

「ぐえっ!」


 これ以上シエルを寝ぼけさせると危険だ。俺はシエルの頭にチョップを入れた。


「痛っ! そ、壮太ぁああ!」


 目を覚ましたシエルが切れ気味だ。ノエルねえのようにドMっぽい感じにはならなかった。

 って、今はそんな場合じゃねえ!


「シエル、目を覚ませ! 皆が見てるぞ!」

「えっ? ええっ? うぐぅううううっ!?」


 やっと正気に戻ったシエルだが、布団の周りにクラスメイトがいるのを見て頭を抱えた。

 やっぱり羞恥プレイかな?




 修学旅行三日目の朝、俺とシエルはとんでもないバカップルぶりを見せつけてしまった。恥ずかしすぎる。


「姫川さんって、彼氏と二人っきりの時はあんな感じなんだぁ」

「普段と全然違うね。ちょー大胆」

「うくぅ~」


 笹野や赤堀にあれこれ聞かれ、シエルが羞恥でプルプルしている。

 一方俺は、星奈せいなや明日美さんに詰められているのだが。


「そうちゃむ! 学生のうちは避妊しないとダメだし! 退学になったらどうするの!?」

「壮太君♡ 私には指一本触れないのに、姫川さんとはヤってたんだ?」


 ヤってねえから! 明日美さん、生々しいって!


「寝言、あれはシエルの寝言だから! まだ清い交際だから!」


 清いかどうかは微妙なところだが、まだ子づくりはしていない。催眠と添い寝はされてるけどな。


「清い?」

「清いねえ?」

「ふーん」

「これはヤってるよね」

「やっぱり拷問だよ♡」


 俺の清い発言に、女子たちが一斉に反応した。全員ジト目になって。



 ◆ ◇ ◆



 修学旅行もあと少しを残すところとなり、俺は今までのとんでも行動を思い返していた。


「俺、完全にやっちまってるような?」


 大仏を見上げながら色恋沙汰に塗れた己を振り返る。

 今までずっと同居がバレないようにとか、学校では必要以上に親しくしないように気を付けてきたはずだ。


 それがどうだ。

 クラスメイトが見ている前で全力告白してしまったり、同じ布団で寝ぼけて抱き合ったり。

 もう俺とシエルが付き合っている噂が広がりまくっている。


「あれ? これヤバいよな? どうしてこうなった」

「もう観念して結婚するしかないよ」


 いつの間にか隣に居たシエルがつぶやいた。

 いつ見ても惚れ惚れするような美しさだ。


「くっ、何だかシエルの催眠通りに動かされている気がするぞ」


 俺の自問に、シエルはしてやったりといった顔だ。


「ふふっ♡ 計画通り」

「お前なぁ」

「壮太はシエルと子づくりしたくなる♡」

「やめろって。ホントにしたくなるだろ」


 冗談では済まされないぞ。

 好きになると聞かされて好きになったし、キスしたくなると聞かされてキスしちゃったし。

 子づくり……夜の生活だって……。

 ああああ! めっちゃしたい!


「お、俺は神聖な寺で何を考えてるんだ……」

「うふふっ♡」


 相変わらずシエルは俺の隣で笑っている。

 クールな女王ではなく、昔のような笑顔で。


「いかんいかん、煩悩を払わねば」

「壮太、私あれやりたい」


 シエルの指さす先には、穴の開いた柱があった。

 柱の穴をくぐると無病息災とかいう言い伝えのやつだ。


「あれって小柄な人しか通れないはずでは? シエルは痩せて見えるけど、着痩せするタイプで意外とデカ……って、痛い痛い」


 シエルが俺の腕をつねっている。口を尖らせながら。


「私が太いって言いたいの?」

「違うって! シエルは細いけど、胸とか尻とか……」

「むぅ!」


 だからその女王顔はやめろって!


「うーん、シエルならギリギリいけるか? ノエルねえだったら確実にGカップが詰まって大惨事に……」

「ふふふっ、おねえが詰まったのを想像しちゃった」


 シエルも同じ想像をしていた。何をしても絵になるノエルねえだけど、たまにドジったりポンコツだからな。

 まあ、ポンコツなのも可愛いから反則級だけど。


「そう言えばノエルねえからメッセージや着信があるんだよな。返信してないけど……」


 昨夜の着信もノエルねえだった。シエルとのことを聞かれると答えられないから、返信しないままなのだが。

 まあ、昨日はスマホをシエルの股に挟んで難を逃れたけど。


「そうだ、思い出した! 壮太ぁ!」

「お、おい、何だよ急に?」

「昨日、私の太ももの間にバイブ機能のスマホ押し込んで遊んでたよね?」

「遊んでねえ! あれは本当に着信なんだよ!」


 変なプレイみたいに言うな!


 結局、柱くぐりは止めておいた。

 目の前で女性が詰まって救出されていたから。



 ◆ ◇ ◆



 全ての日程を終えた俺とシエルは、無事に藤倉市へと戻ってきた。修学旅行の高揚感と少しの疲れと、同級生からの冷やかしを受けながら。


 徒歩で通い慣れた道を歩く俺は、刻一刻と緊張感が高まってゆく。


「お、落ち着け、俺。ノエルねえに説明を……」

「だだだ、大丈夫だよ。そそ、壮太」


 シエルが大丈夫そうじゃない。緊張からか顔が強張っている。


「とにかく、報告して……」

「う、うん……」


 シエルと二人、自宅の玄関前で打ち合わせする。


「よし、行こう」

「うん」


 ガチャ!

 ズドドドドド!


「ただいま……グエッ!」


 玄関を開けた俺に飛び込んできたのは、待ち構えていたかのようなノエルねえだった。

 強烈Gカップタックルは健在だ。


「そうちゃぁ~ん♡ 酷いよぉ、着信無視と既読スルーなんてぇ! お姉ちゃん、寂しかったよぉ~!」


 相変わらず甘えん坊でムチムチで良い匂いのノエルねえだが、ここで流されてはいけない。


「ノエルねえ、話があるんだ」


 俺の真剣な声を聞いたノエルねえが、きょとんとした表情になった。


「えっ、どうしたの、そうちゃん?」


 言わなきゃ! 俺とシエルのことを!

 でも……これで良かったのか?

 言ったら俺とノエルねえの関係は変ってしまうかも。もしかしたら姉妹の関係も。

 でも…………。

 ずっと隠したまま居心地の良い関係に甘えるなんてダメだ。


 俺は緊張で乾いた喉に唾を飲み込んだ。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

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