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甘々姉と嫉妬妹に愛されすぎる同居生活♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、どっちも愛が重くて寝かせてもらえないのだが~  作者: みなもと十華@書籍&コミック発売中
第4章 愛とお仕置きと運命と

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第129話 修学旅行でもイチャラブ催眠

 就寝時間が迫る修学旅行二日目の夜。俺は一人、ホテルの廊下を歩き女子部屋に向かっている。

 陽キャ女子がたむろする禁断の花園に。


「どうしてこうなった……」


 俺は大人しく男子部屋で寝るつもりだったのだが、岡谷の『姫様と思い出を作ってこい』という言葉にそそのかされたのだ。

 ついテンションが上がった俺は、『行ってくるぜ』と死地に向かうハリ○ッド映画の主人公ばりの顔になり、勢い勇んで部屋を出た次第である。


「どうしたものか。シエルと付き合ってるのが皆にバレたら大変なことに……って、もうバレまくってるんだった!」


 修学旅行客でごった返す祇園の街で盛大に告ってしまったのだ。もうクラスどころか学年全体に噂は広がっていた。


「マズい、もう隠し通せないぞ。ノエルねえにも説明しないと……」


 と、そんなことを考えながら歩いていると、誰の妨害もなくシエルたちの女子部屋の前に到着した。

 今日はさやちゃん先生に会わなかったな。まあ、毎晩の見回りご苦労さんだぜ。


 コンコンコン!


 ドアをノックすると、すぐに「ガチャガチャ」と鍵を開ける音がする。


「あっ、噂の旦那さんじゃん。さっ、入って入って」


 ドアから顔を出したのは笹野だった。

 この子、ちょっと苦手なんだよな。

 てか、旦那じゃねーよ!


「姫川さんっ! 旦那が来たよー!」


 笹野の冗談と共に部屋に入ると、女子たちの視線が俺に集中する。

 しまった。星奈せいなや明日美さんで女子慣れした気になっていたけど、他の女子がいると緊張するのだが。


 部屋の中は女子の甘い匂いが充満していた。

 和室には布団が敷き詰められ、浴衣を着たクラスメイトが、かなりラフな格好でくつろいでいる。


「あー! そうちゃむだ♡」

「壮太君、姫川さんに会いにきたんだ」


 皆が一斉に俺の方を向く。星奈せいなと明日美さんは、俺を見て声を弾ませた。

 他の女子もシエルを取り囲むようにしている。たぶん、俺との関係を聞いていたのだろう。

 だが俺には皆を直視できない理由があった。


「ちょい待て! 浴衣が乱れてるだろ!」


 俺は素早く目を逸らす。

 豪快にはだけた女子たちの浴衣から、チラチラと下着が見えていたから。

 女子だけで気が緩んでいたのだろうか。それとも女子って男子が見てないとズボラねえみたくなるのか?


 俺の態度でイタズラな表情になったのは赤堀と新山だ。


「きゃはっ、姫川さんと付き合ってるのに、他の子の下着も見るんだぁ」

「ねえ、姫川さんとはどこまで進んでるの?」


 浴衣の裾をおっ広げたまま話す赤堀とか、胸元がユルユルで前屈みになる新山とか、目のやり場に困る。

 俺が顔を背けると、今度は黒いブラが見えた星奈せいなとか、浴衣は乱れていないのに顔が艶っぽい明日美さんとか、やっぱり目のやり場に困る。


「くっ、この部屋の風紀が乱れてるぞ!」


 俺の指摘に、女子たちは悪びれもせず答える。


「だって、姫川さんにキスしたシチュとか聞いてたら興奮しちゃってぇ」

「そうそう、安曇君って大人しそうな顔して意外とヤるんだ」


 何で俺のキスが皆の知る所に!


「ごめん、そうちゃむ。皆で聞きまくってたら、しえるんが喋っちゃったし」

「うくぅ♡」


 事の次第を星奈せいながバラし、シエルは真っ赤になって俯く。


「俺の行為がどんどん広がってゆくだと!」


 勘弁してくれ。こうして女子の噂話は広がるのかよ。


「安曇君って良い男だよね」


 不意に笹野がつぶやく。俺に寄り掛かりながら。


「お、おい」

「ちょっとくらい良いじゃん。減るもんじゃないし」


 それは男の言うセリフだろ!


「あーあ、優良物件逃しちゃったな。安曇君って最初は目立たなかったのに、蜷川にながわ委員長を軽沢から守った辺りから『イイな』って思ったんだよね」


 より俺の方に体重を掛けながら笹野は言う。

 そしてシエルの目が鋭くなるのもオヤクソクだ。


「ぐぬぬぬぬぬぬ――」


 マズい、めっちゃ睨まれてる。夫の不貞を勘繰る新妻かな?


「笹野さん、俺にはシエルがいるから」


 俺が体を離すと、笹野は更にグイッと身を寄せてきた。


「それそれ、安曇君って浮気しなさそうだよね。やっぱり私と付き合わない?」


 おいこら! 浮気しなさそうと言ったそばから浮気をそそのかすんじゃない!

 とんでもない女だ!


「俺は他の女子と付き合う気は無いから。陰キャは人間関係でもめたくないんだよ」

「ふーん、残念」


 やっと笹野が離れてくれた。

 ただ、他の女子と言った時に、ノエルねえの顔が浮かんでしまったのだが。

 ずっと俺の脳裏には、ノエルねえのほんわかした笑顔や優しい声が焼き付いている。


 ガチャガチャガチャ!


「おーい! 見回りの時間だぞ」


 と、その時、ドアの方からさやちゃん先生の声がした。


「ヤバっ!」

「ちょっ、隠れよっ」

「寝たふり寝たふり」

「私、ドアを開けるね」


 皆が一斉に布団に潜り込む。一人、明日美さんだけが、先生に対応するためドアへと向かう。


「お、おい、俺はどうすれば……」

「壮太、こっち」


 シエルに手を引かれ、俺は布団の中に潜り込む。

 ギリギリのタイミングでドアが開き、さやちゃん先生が部屋に入ってきた。


「不純異性交遊してる生徒はいねがー」


 なまはげっぽいせりふと共に入室するさやちゃん先生。ギャグのつもりらしいが思い切りはずしている。


 もぞもぞもぞもぞ――


「うくぅ♡ そうたぁ♡」


 えっ? これどういう状況?

 くすぐったそうなシエルの声で気づいたけど、俺はシエルの胸の中に抱かれているような?

 隠れようとシエルと同じ布団に入ったら、抱き合うような形になってしまったのか。


「ヤバい……この体勢は……」

「だ、だめぇ♡ 息を吹きかけないでぇ♡」


 シエルの声が色っぽさを増す。

 暗くて見えないけど、どうやら俺の顔がシエルの肌に当たっているらしい。

 はだけた浴衣から露わになったスベスベの肌が、まるで天国のような心地良さだ。


 ヴーヴーヴーヴー――


 しかもこんな時にスマホの着信だと!?

 マナーモードにしていたからバイブレーションだけだけど。


「おい、何か音がしないか?」


 ヤバい、さやちゃん先生が気づいた。

 俺は持っていたスマホをシエルの方に押し付ける。


 ズボッ!

「うくぅ♡」


 あれっ? 何かスマホがシエルの体に埋まったような?


 ヴーヴーヴーヴー――


「ちょ♡ らめぇ♡ 変なとこに入れないでぇ♡」


 シエルの声が艶っぽさを増す。

 しまった。スマホを隠そうとして、シエルの太ももの間に入れてしまった。


「シエル、静かに。さやちゃんにバレるぞ」

「あっ♡ あんっ♡ だ、誰のせいだと思って♡ んくぅ♡」


 ヴーヴーヴーヴー――


 俺とシエルが危険な状態だというのに、布団の外ではさやちゃん先生が明日美さんと話している。


「気のせいだったか。そう言えば聞いてくれよ、蜷川にながわ。先生な、また見合いで断られてしまってな」

「は、はあ……」


 おいこら松本沙也子! 今は婚活の話はやめるんだ! 俺のスマホでシエルが決壊寸前なんだぞ!


「先生、見回りはもう良いのですか?」


 ナイス明日美さん!


「おう、この部屋で最後だ。それよりちょっと話を聞いてくれよ」


 こらぁああ! 生徒に男の愚痴を聞かせるんじゃねえ!


「まったく、最近の男ときたら強い女はお断りだのと腹が立つ。『松本さんは一人で生きていけそうですね』とか言ってな。ちくしょう」

「た、大変ですね……」


 ヴーヴーヴーヴー――ピタッ!


 止まった。

 ふあぁ……安心したら急激に眠気が……。昼間は告白やらデートやらで疲れたからかな。


 このまま寝たら大変なことになりそうなのに、シエルの胸が心地よくてたまらない。

 もう限界だ――――と思ったその時、今度は俺の耳元で甘々ボイスが。


「壮太はシエルと子づくりしたくなる♡ 壮太はシエルと子づくりしたくなる♡」


 ぎゃああああ! シエルめ、この非常事態に催眠かよ! しかも子づくりだと!?


「子供は女の子と男の子♡ ほぉら、壮太はシエルと子づくりしたくなったぁ♡」


 やぁめぇろぉおおおおぉ! ホントに子づくりしたくなるだろ!


「壮太はシエルと子づくりしたくなる♡ 壮太はシエルと子づくりしたくなる♡ リピートアフターミー」


 ぷっはぁあああ! シエルめ、こんな時にもユーモアを忘れない……いや、これは素でやってるのか。


 こうして俺は、シエルに抱きしめられながら、耳元で子づくり催眠をされながら眠るのだった。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

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ブレイブ文庫 第1巻
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