表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
甘々姉と嫉妬妹に愛されすぎる同居生活♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、どっちも愛が重くて寝かせてもらえないのだが~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第4章 愛とお仕置きと運命と

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/133

第115話 もう容赦しないよ

 耳元でノエルねえささやかれ、俺の脳内が甘い美声で満たされる。まるで体中が幸せホルモンで蕩けさせられるようだ。


「そうちゃん……して♡」


 ぎゃあぁああああああああああ! 凄い破壊力だ! こんなの我慢できねえぇええ!

 ノエルねえの本気声で脳が溶かされるぅ!


 俺のために料理を頑張ってるシエルを想っているのに、ノエルねえにドキドキが止まらない。

 もうノエルねえへの想いが止められそうにないぞ。


「ちょっと待ってくれ」

「もう待てないよぉ♡」


 背中にノエルねえを感じる。柔らかくて心地いい。天国のような。


「でも、シエルにバレると……」

「シエルちゃんには私から説明するよ」

「それじゃ姉妹で共有されるみたいじゃないか」

「ううっ♡ シエルちゃんと私で、そうちゃんを共有♡」


 ダメだ。ノエルねえがその気になってる。

 二股なんてダメなはずなのに、ノエルねえはOKなのか?


「さすがに二股は……」

「わ、私はシエルちゃんも大切なの」

「ノエルねえ……」

「だからシエルちゃんも幸せになって欲しい」


 ぎゅっ!


 ノエルねえの腕が俺の体を包み、優しく抱きしめられた。


「私たちが引っ越してからね、シエルちゃんは酷く落ち込んじゃったんだよ。そうちゃんに忘れられちゃったって」

「シエルが……」


 そうだ。俺が記憶を……。

 大切な記憶を忘れられ、辛く悲しかったんだろうな。


「シエルちゃんね、あんなに可愛いけど人付き合いが苦手でしょ。小学校ではイジメられてね……」

「シエル……」

「でも、中学校に入ると、今度は凄く人気になっちゃって」


 ノエルねえの話は理解できる。

 あの美貌と金髪だ。子供の頃は異質で目立つ存在とされているけど、思春期に入ると男子が放っておかないんだよ。


「それでね、色んな男子に告白されて……。全部断ってたら、ますます人付き合いが苦手になって」

「それであの塩対応なのか」


 クールな氷の女王の完成だ。話しかけてくる男子に極寒ブリザードを浴びせるような。

 まあ、あれは緊張しているだけみたいだけど。


「でもね、そうちゃんと再会してからのシエルちゃんは、いつも楽しそうにしてるんだよ。笑顔も増えたし」

「そうなんだ。良かった」


 嬉しそうにシエルのことを話すノエルねえだが、途中からウズウズし始める。


「でもでもぉ、シエルちゃんとそうちゃんを応援したいのに、私もそうちゃんと一緒になりたいの♡」

「それを二股と言うのでは?」

「もう結婚したいの♡ 結婚して部屋を片付けて欲しいの♡」

「それは自分でやってくれ」


 何とかツッコミを入れながらやり過ごそうとしたが、ノエルねえの顔が迫ってくると抗えなくなる。

 吸い込まれそうに綺麗な瞳と、ぽてっとした柔らかそうなくちびるには魔力さえ感じるくらいだ。


「うっ、もう我慢の限界だ……」

「そうちゃん♡ すきぃ♡ 大好き♡」

「ノエルねえ……俺も……」


 俺が態勢を入れ替え、ノエルねえと向き合った。

 もう歯止めは利かない。

 二人の距離が、どんどん縮まってゆく。


「ノエルねえ

「そうちゃん♡」


 目をつむり真っ暗な視界の中、微かにノエルねえの吐息を感じる。


 そっと抱き合いながら、くちびるとくちびるが合わさる瞬間。


 ガラガラッ!

 その時、事件は起こった。


「壮太っ!」


 ドアの開く音と声に驚いて目を開けると、そこにはシエルが立っていた。


「ぐぬぬぬぬっ……壮太! おねえ! お風呂で何やってるの?」


 仁王立ちの女王様……じゃなくシエル。そしてお風呂の中で固まったままの俺とノエルねえ

 詰んだ……。


「おねえの姿が見えないから怪しいと思ったら……お風呂でこっそりエッチしてた……」


 シエルに睨まれたノエルねえが挙動不審になる。


「こ、これはね。ちち、違うんだよ。そうちゃんの背中を流そうとしてね」

「背中を流すのに湯船に浸かるの?」

「そ、それはぁ……」


 ノエルねえの目が泳ぎ、最終的に俺を見る。

 おい、さっき自分で説明するって言ってたよな。やっぱりポンコツねえだった。

 これは俺が何とかしないとダメか。


「シエル、ノエルねえは欲求不満でな」

「ちち、違うよぉ!」


 説明しようとしたが、ちょっとニュアンスを間違えたようだ。

 ノエルねえが飛び掛かってきて、柔らかなGカップに襲われる。

 それはヤメロ。マジで洒落にならん。


「むぅ、私も入る」


 シエルが服を脱ぎ出した。


「ま、待て! お前は水着を着てないだろ!」

「じゃあ下着で……」

「水着と下着じゃ全然違うだろ! 赤壁せきへき霹靂へきれきくらい違うぞ!」


 赤壁と聞いたシエルの目の色が変わる。三国志に思いを馳せるように。

 サブカルオタク女子の面目躍如か。


劉備りゅうび殿、このしゅう公瑾こうきんが、そこの曹操そうそうを討ち取るところをご覧あれ!」

「誰が劉備だ! てか、お前が周瑜しゅうゆなのかよ!?」


 周瑜(三国志、呉の武将)になりきるシエルに、ついツッコミを入れてしまった。三国志好きには刺さる内容だが、興味ない人にはポカーンだぞ。

 これにはノエルねえもビックリだ。


「えっ、私が曹操なの?」


 自分を指差し戸惑い気味のノエルねえ。突然の展開についてゆけてない。

 しかしシエルの話は一気に飛ぶ。ノエルねえが置いてけぼりで。


「なぜ天は我と同じ時代に諸葛亮を生んだのか……」

「話が飛び過ぎだぞ。ノエルねえが曹操から孔明に変わってるし」


 相変わらず『おもしれ―女』のシエルに、俺のツッコミもいっぱいいっぱいだ。

 やっぱりシエルはシエルだな。


 話はぐだぐだになったが、シエルが下着姿になるのを防いだから成功だろう。ナイス俺!



 ◆ ◇ ◆



 姉妹との混浴を防いだ俺だが、シエルの追及を防ぐのには失敗した。

 今はシエルの部屋で、事情聴取を受けているところだ。


「で、お風呂でイチャイチャしてたんだ?」


 ベッドに座ったシエルが、その長く美しい脚を組む。俺の顔に爪先がくるように。

 因みに、俺とノエルねえはシエルの前で正座している。


「シエル、足を俺に向けるな。舐めて欲しいのか?」

「きゃっ」


 驚いたシエルが足を引っ込めた。


「エッチ」

「エッチじゃねーよ」


 拗ねた顔で俺を見るシエルが可愛い。


「でもお風呂でエッチしようとした」

「うっ……」


 それは反論できん。でも、水着姿のノエルねえが突撃してきたら、誰だって拒めねえって。


「で、エッチしようとしたの?」

「違うんだよ、シエルちゃん」


 ここでノエルねえが割って入った。


「私はキスしようとしただけなんだよ。シエルちゃんがキスしたから、私だってしても良いよね」

「うぐぅ……」


 強気な攻めだと思えたシエルだが、ノエルねえに反論され何も言えない。


「キスしようとしただけだよ。お風呂は水着だからエッチじゃないし」

「一緒にお風呂はやり過ぎ」

「でも、キスは平等だよね。お姉ちゃんもキスして良いよね?」

「そ、それは…………ダメ」


 シエルがプイッと横を向く。

 ノエルねえは泣き真似をしながら俺に抱きつくのだが。


「えぇええ~ん! シエルちゃんが厳しいよぉ。ゴールデンウィークの旅行では、そうちゃんと裸で混浴してたのにぃ」


 グサッ!

 とびきりのブーメランがシエルに炸裂した。確かに俺とシエルは混浴していたぞ。

 台風の夜にもしたけど、あれは目隠しをしてたからノーカンで良いよな。


「そ、それは……ぐ、偶然……」


 今度はシエルが挙動不審になった。


「これで混浴は相子あいこだよね?」

「う、うん……」

「じゃあ、キスも姉妹で一緒だよね?」

「うぐぅ……わ、分かった」


 シエルがノエルねえに押し切られてしまった。

 普段おっとりしているノエルねえだけど、ここぞという時は強いんだよな。


「じゃあシエルちゃんの許可が出たからキスしよっ♡ そうちゃぁ~ん♡」


 キス顔のノエルねえが迫ってくる。


「ちょい待てぇい! 妹の前でキスする姉が何処に居るんだぁああ!」

「こ、ここに居るよ♡」

「ぐっはっ! とんでもないエロ姉だぞ」


 ポコッ!

「痛ぁ~い!」


 ついノエルねえの頭にチョップを入れてしまった。照れ隠しだ。


「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!」


 案の定、シエルが暗殺者ヒットマンみたいな目をしている。これ以上シエルを嫉妬させるとヤバいぞ。


「えっとだな、俺たちは表向き姉弟となってるし、一つ屋根の下で同居してるのだからな、節度のある生活を――」


 俺がこれ以上エスカレートしないようにしているのに、シエルもノエルねえも聞いちゃいねえ。


「ぐぬぬぬぬっ! 壮太、これからは容赦しないから!」

「そうちゃあぁん♡ いっぱいキスしようね♡」


 あれっ、これやっぱり詰んでないか?

 逃げ道を塞がれて三角関係が進んでるし、シエルの嫉妬も激しくなってるし。どうすんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

-


姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

-

Amazonリンク

i903249
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ