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甘々姉と嫉妬妹に愛されすぎる同居生活♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、どっちも愛が重くて寝かせてもらえないのだが~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第4章 愛とお仕置きと運命と

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第110話 スキあり

「むっすぅううううっ!」


 注文を取りにきた星奈せいな、もといセーラちゃんが不機嫌そうな顔で俺を睨む。


「そうちゃむのイジワル。ドS男ぉ。いけず男子ぃ」

「す、すまん。上手く誤魔化せなくて。シエルにバレた」

「そうじゃなくて。そ、それもあるけどさ」


 シエルを連れてきたのを謝ったのだが、また星奈せいなは口を尖らせている。

 どうやら怒っている原因は別みたいだ。


「ふーん、へぇー、そうなんだ」


 星奈せいなは俺とシエルを交互に見て、意味深な頷きをしている。


「どうした、星奈せいな?」

「どうしたじゃないしぃ!」


 声が大きくなり、星奈せいなは口を押え周囲を見回す。

 俺の耳に顔を寄せてから小声で話し始めた。


「そうちゃむとしえるん、急に距離が縮まってるし。絶対なんかあったっしょ」


 そう言われて初めて気づいた。俺とシエルが寄り添っていることに。

 シエルはサッと体を離してうつむく。真っ赤な顔で。


 おい、それ完全に何かあった顔だろ。


「えっと……ついマジカルエミリーで盛り上がっていたら、プロレスごっこをする間柄に……」


 説明しようとして墓穴を掘った。プロレスごっこなんて如何わしいイメージしかない。

 そもそもプロレスごっこしているのはノエルねえだ。


「そうちゃむのエッチ。プロレスごっことか言って、ホントはお風呂上りに薄着のまま密着プレイなんでしょ。『俺の8インチマグナム・ツープレックスを受けてみろぉ』とかぁ」


 興奮しながら話す星奈せいなが何か面白い。意味は分からないがエッチな感じだ。

 因みにツープレックスじゃなくスープレックスだけど。


「お風呂上りに薄着で密着なんてダメだろ。そんなのエッチだぞ……って、でも、ノエルねえ莉羅りらさんは普通に距離が近いよな。あと最近はシエルも……ってヤベッ!」


 俺のバカバカ! ついポロっと喋ってしまった。

 星奈せいなの顔が更に険しくなったじゃないか。


「ほらぁ、やっぱり。葉崎の旅行以来、急速に距離が縮まってるしぃ。やっぱり何かあったんだ」

「そ、それはだな……」


 マズい。記憶が戻ったら告白しちゃったとか言えないし。どうしよう。


「そ、壮太が我慢できなくなった。私の脚に。た、たぶん……」


 そこでシエルが意味不明発言だ。こいつ、はぐらかそうとして自爆しやがったな。

 それを聞いた星奈せいなが、グイグイ迫ってくるのだが。マズいだろ。他の客も居るのに。


「もうっ、どういうことよ。説明しろしぃ」

「待て待て」

「もぉ~! アタシのメッセは既読スルーするくせにぃ。しえるんだけ仲良くしてるんだぁ」

「それは壮太が悪い」


 シエルが星奈せいな側に付いただと!


「聞いてよ、しえるん。この男ったらさぁ」

「うんうん」

「おはようとかおやすみのメッセもスルーだしぃ、コ○ダでかき氷食べたってのもスルーだしぃ」

「壮太、女子のメッセには即レスが基本だよ」


 ギャルと女王がタッグを組んだのだが! どうなってるんだよ!


 女子とのやり取りってそうなのか? 俺は野郎としか連絡取り合ってこなかったからな。

 用がなきゃメッセージなんか送らないし。


「うーん、これからは『了解』って返すよ」

「そうちゃむ、コミュニケーションっ! 何よその軍隊みたいな返事はぁ! こらぁ!」


 結局最後は星奈せいながブチギレた。

 プリプリしながら注文を取って、オシャレな巻き髪をなびかせながら戻ってしまう。


「ふうっ、嵐は去ったぜ」

「どど、どうしよう壮太。バレたかも」


 シエルが頭を抱えている。変な女だ。


「でも、ハッキリ言った方が良いかな。壮太と付き合ってるの」

「は? 何を言うって……って、まだ付き合ってないだろ」


 シエルが『マジか、この男』みたいな顔をする。


嬬恋つまごいさんに私たちの関係をだよ。あと付き合ってるのは確定」

「だから付き合ってないだろ。あと星奈せいなに言うのは……」

「はあ、壮太の鈍感男」


 大袈裟な溜め息をついたシエルだが、その手は俺と恋人繋をする。テーブルの下で。


「お、おい」


 シエルの口ぶりだと……やっぱりアレだよな。自分でも何となく感じてたけど、でも、まさか俺のようなオタク男子に……。


 全く考えなかった訳ではない。星奈せいなが俺にだけ距離が近いことを。

 でもしょうがないじゃないか。ずっと非モテで女子と接点が無かったのだから。しかも女子に苦手意識まであったし。



 しばらくすると星奈ギャルのセーラちゃんがドリンクを持ってきた。


「はーい、ご注文の『どきどきセーラのメイドスペシャル初恋レモンソーダ』と『好き好き大好きいちごパラダイスパフェ』でーす」


 メニューの名前が長いのは仕様だ。俺が注文したのはレモンソーダだが、担当メイドの名前が入るのも仕様らしい。


「はーい、そうちゃむ……じゃなくご主人様に初恋注入しちゃいます♡ す、すす、好きです先輩ビーム♡ ぎゅるるるぅ♡」


 恥ずかしがりながら星奈せいなが初恋ビームを注入している。照れて顔が真っ赤だ。


「てか、マジでアタシの初恋だし♡」


 とんでもない独り言が聞こえた気がする。

 やっぱりハッキリさせないとダメだよな。


「せ、星奈せいな

「セーラだし」

「ありがとう」

「なな、何が?」

星奈せいなには感謝してるんだ。俺みたいな地味なオタクに優しくしてくれて。あとシエルと友達になってくれて。そ、それで……」

「ちょぉーっと待った!」


 星奈せいなが全力で俺の口を塞ぎにきた。


「5時、今日、5時でシフト終わるから。それから話聞くから。大事な話でしょ?」

「う、うん」


 こうして、俺は星奈せいなと話しをすることになった。いつもふざけているので、真面目な話をするのは初めてだ。



「これで良かったのだろうか」


 星奈せいなが戻ってから、自問自答するようにつぶやく。テーブルの下で繋いだシエルの手に力が入った。


「任せろ。ちゃんと話すよ」

「でも心配。嬬恋つまごいさんの胸で、壮太が流されそうな気が……」

「流されねえよ。俺が流されそうになるのは、ノエルねえ莉羅りらさんだけだ」


 じっとぉおおおおぉ!


 シエルのジト目が怖い。冗談のつもりだったのに、自分でも冗談に思えないところが問題だ。




 メイド喫茶を出てからシエルの甘えん坊が激しくなった。俺の腕に抱きついたまま離れようとしない。


「お、おい、いくら何でもくっつき過ぎだろ?」

「ダメ! 壮太は誰にも渡さない」


 シエルの腕が俺の首に絡まる。まるで茨の鞭みたいに。やっぱり女王様かな。


「くっ、まるでヤンデレヒロインみたいだぜ」

「アマーリエ・ウルラッハは好き」

「それ『転生したら悪役貴族だったからハーレム作ります』の凶悪ヤンデレヒロインじゃねーか!」

「えへへ♡」


 シエルは無邪気な顔で笑う。

 しかし俺は腰の辺りがブルッと震えた。

 アマーリエは鮮血エンドの恐ろしいヒロインだから。


「まさか本当にアマーリエみたいに?」

「それは壮太次第」

「ひぃいいいいっ!」


 怖っ! シエル女王様、怖っ!



 一通りアニメショップを回った俺たちは、自宅の近くまで戻ってきた。星奈せいなと会うのは夜なので一旦家に戻るためだ。


「壮太、公園に寄ろっ」

「おう」


 昔シエルと一緒に遊んでいた近所の公園だ。


「懐かしいな。春にシエルが大泣きしたのを思い出すぜ」

「あれは壮太のせい!」


 俺に抱きつくシエルの腕に力が入る。


「それにしても、インドア派オタク二人がデートするとアニメショップ巡りで終わっちゃうな」

「オタクじゃない。アニメ好き」

「はいはい」


 シエルは相変わらずだ。


「それより早く離れろよ。家の近くだし、誰かに見られたらマズいだろ」

「うん……」


 なかなかシエルは離れようとしない。名残惜しいのか、俺に抱きついたままだ。


「おい、マズいって。俺だって男なんだぞ。シエルみたいな可愛い女子に抱きつかれてたら」

「うん……」

「おい、聞いてるのか?」


 不意にシエルが動いた。俺に迫り彼女の顔がアップになる。


 ちゅっ!


「えっ?」


 一瞬だけ、俺のくちびるに柔らかな感触が触れた……。ピンクのバラみたいに綺麗なシエルのくちびるが。

 シエルの……くちびる?

 えっ、ええっ!?


「う、うくぅ♡ じゃ、じゃあ、先に帰るね」


 それだけ言うと、シエルはダッシュで帰っていった。


「えっ! ええええええっ! ええええええええええええええええええええええええええっ!!」



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

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ブレイブ文庫 第1巻
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