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甘々姉と嫉妬妹に愛されすぎる同居生活♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、どっちも愛が重くて寝かせてもらえないのだが~  作者: みなもと十華@姉喰い勇者2発売中
第3章 甘々な日常

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第105話 告白なの?

 シエルの手を引き、誰も居ない岩場へと向かう。後ろを振り返り、皆が気づいていないのを確認しながら。


 よし、誰にもバレてないな。誰かに見られてたら落ち着いて話せないし。


 二人で岩陰に入ったところで、もう一度周囲を確認する。

 海水浴場からは岩で隠れて見えていない。波の音が聞こえるのと、たまに小さな蟹が歩いているくらい。


 準備は整ったぜ。完全に二人っきりだ。話を切り出そう。


「よし、誰にもバレてない。これで……って、何で警戒してるんだよ?」


 シエルは両手で胸を隠しながら後ずさっている。


「だ、だって……エッチする気とか?」

「しねーよ!」


 海水浴場の岩陰でエッチするとか、そっち系の薄い本かよ?


「だから二人っきりになろうとしてな」

「ううっ♡ やっぱり我慢できないとか?」

「だからな、二人っきりで――」

「や、やっぱり……ううっ♡」


 またシエルが後ずさった。胸を隠しながら。

 話が噛み合ってないような? まさか……。

 おいおい、朝の話は誤解だぞ。シエルめ、俺が溜まってるとか、本気にしてたのかよ。


「そ、外はダメ……。部屋なら……良いけど……。うくぅ♡」

「は?」

「えっ?」


 シエルから変な話が出て、二人してキョトンとする。

 少し間をおいて、急にシエルが真っ赤になった。


「ち、違う! そうじゃないから! 今の忘れて!」

「えっ、お、おい」

「壮太のバカ。紛らわしい」


 ぐいぐいぐいっ!

 真っ赤な顔でうつむいたシエルが、俺の顔に手を押し付けてくる。


「おい、何をしやがる」

「ダメっ! 今、顔見ないで」

「はあ?」

「こっち見るな」


 ぐいぐいぐいっ!


 何度か押し合いへし合いしてから、やっと落ち着いた。まだシエルの顔は赤いけど、冷静さは取り戻したようだ。


「はぁ、はぁ……。もうっ、壮太のバカ。紛らわしい」

「シエルが変なこと言い出すからだろ」

「むううっ!」

「何だよ」


 二人して睨み合う。


「ぷっ!」

「ふふっ!」


 睨めっこしているみたいで、すぐに笑ってしまうのだが。


「笑かすなよ、シエル」

「壮太が変な顔するからでしょ」

「変とは何だ」

「なによぉ」

「ぷぷっ!」

「あははっ」


 また笑い合ってしまった。

 何か良い感じだ。このまま記憶のことを説明しよう。


「シエル、真面目な話があるんだ」

「えっ、あ、はい……」


 シエルが姿勢を正す。


「実はな……えっと……きょ、今日はいい天気だな」

「回りくどい!」

「すまん……」

「だ、大丈夫。わ、わわ、私も同じ気持ちだから……」


 同じ気持ち? あっ、そうか。俺とシエルが家族になる計画の話なのか?


「あ、あのさ……」

「うんっ♡ ううぅ♡ きゅぅ♡」

「やっぱり人妻サルベージ作戦初号機だよな」

「は?」


 シエルの顔が、みるみる険しくなってゆく。


「そぉ~たぁ~っ! さっきから紛らわしい! 告白されるのかと思ったぁああ! バカバカバカぁああ! 私をからかってる? からかってるでしょ!? って、ちょっと待って! 人妻サルベージ作戦初号機って? えっ、あれっ?」


 怒り出したシエルだが、途中で違和感に気づいたのかハッとする。


「人妻サルベージ作戦初号機って、子供の頃の……? えっ、そ、壮太!? もしかして記憶が?」

「お、おう。記憶を思い出したんだ」


 俺は説明した。がけから落ちて頭を打った時に、昔の記憶を思い出したのだと。


「そんな訳で、全部思い出したんだよ。シエルとした子供の頃の約束も」

「そ、壮太……そうちゃん」


 シエルが俺を昔のあだ名で呼ぶ。

 少し照れる。

 そのシエルだが、目に涙が溜まってゆく。溢れそうになった時、感情が爆発した。


「うわぁああああああああぁ~ん! そうちゃんのバカぁああああぁ! 寂しかったぁああ! そうちゃんが私のこと忘れちゃって! 私だけ約束を覚えていて! それで、それでね、ずっとずっと、そうちゃんと一緒になるのを夢見ていてね。ふわぁああああぁ~ん!」


 シエルは俺の胸に顔を埋める。わんわんと泣きながら。


「シエル、ごめんな。寂しい思いをさせて」

「バカバカバカぁ。でも、私のせいで、そうちゃんが」

「シエルのせいじゃないよ」

「でもでもぉ」


 俺の胸で甘えるシエルが可愛い。

 いつもクールな女王様だったり、冷たく塩対応だったり。そんなシエルが、今は小さい頃のように甘えている。


「もう大丈夫だぞ。俺はシエルを二度と忘れない」

「うんっ、うんっ♡」


 真っ直ぐな瞳で俺を見つめるシエルが可憐でいじらしい。まるで子供の頃に戻ったみたいだ。


「まさか、あの泣き虫の女の子が、こんな美人でクールでオタクな女子になるなんてな」

「むぅ、オタクなのは壮太のせい」

「シエルもオタク要素あっただろ。てか、壮太に戻ってるんだ。呼び方」

「は、恥ずかしい……。ううっ♡」


 くっそ、可愛い。上目遣いで俺を見るシエルが可愛い。なんだこの可愛い生き物(シエル)は。


「そ、そうだな。例え忘れても、シエルと話せば思い出してたと思うぞ。シエルはインパクトが凄いからな」

「なによそれ。ふふっ♡ あっ、でも壮太…………蜷川にながわさんに告白したんだよね?」


 ギクッ!


 背筋に悪寒が走った。さっきまで笑顔だったシエルが、目を細めて女王顔になったからだ。

 くっ、まだ許されてないのかよ。


「そ、それは……しょうがないというか。年頃の男子としましては……」

「ふーん、可愛いよね。蜷川にながわさん」


 シエルが鋭い目つきのまま顔を寄せてくる。

 迫力が凄いのにドキドキしてしまう。何だコレ。毎晩の催眠で調教されたのか?


「可愛いもんね、蜷川にながわさん。ふーん。へぇー」

「くっ、もう許してくれ。可愛さでいったらシエルだって相当なもんだろ。クラスで一番」

「えっ♡ あっ、そ、そなんだ……。はうぅ♡」


 こいつ照れやがったぞ。やっぱり可愛いな。


「ほ、ほら、もう良いだろ。こうして思い出したんだから」

「うん♡」

「頭打たなくても、シエルやノエルねえにお仕置きされてたら思い出しそうだけどな」

「ふふっ、壮太ったら♡」

「まあ、あれだけ深夜に催眠されてたら思い出すよな。あれ、滅茶苦茶キツくてさ……あっ!」


 つい口が滑った。嬉しさや懐かしさや色々な感情が溢れていて、シエルが催眠してきたのまで喋ってしまったのだ。


 ワナワナワナワナワナワナワナワナ――


 シエルは真っ赤な顔で震えている。肩をガクガクとさせながら。

 そりゃそうだよな。かなり恥ずかしいことを言ってたし。俺の耳に口を付けながら、『キスしちゃえよ』とか微妙に音痴な歌を口ずさんだりとか。


「えっ、あれっ、ふえっ、あ、あの、あれは……はぇ、あ、ああああ! きゃぁああああああぁ~ん!」


 シエルが壊れた。完全にテンパっている。頭を抱えながらヘビメタみたいにヘッドバンギングだ。


「フー、フー、フー」

「落ち着いたか、シエル?」

「い、いつから?」

「すまん。わりと最初から」

「えええっ! そ、そんな……」

「おう、マジカルメアリーの歌も全部だ」

「うくぅううううっ…………」


 シエル、すまん。羞恥責めみたいになっちまった。そんなつもりじゃなかったのに。


「あああぁ、ああああぁ、もうダメ……。私の恥ずかしい秘密が……」

「シエルって、昼間はクールなのに、夜は甘々ボイスなんだな」

「ぎゃああああああ! もう息の根止めるぅううっ!」

「止めるんじゃねー!」


 真っ赤な顔で暴れるシエル。俺は抑えようと腕を掴むのだが、水着姿のシエルと色々なところが密着してしまう。

 こんなの裸で抱き合ってるのと同じだろ!

 あああ、本当に我慢できなくなりそうだぜ。


 こうして、深夜に催眠するシエルの秘密は明かされてしまった。

 明日から添い寝や催眠は無いのだろうか?

 ちょっと寂しいような残念なような。

 毎日のような催眠で、俺はすっかり魅入られてしまったのだろうか。


 ただ、決断の時が迫っている気がする。大好きなノエルねえと、同じくらい大好きなシエルとの。

 そして、星奈せいなや明日美さんは。


 過激な女子たちが引き起こす、天国のようで地獄な恐ろしいお仕置きを覚悟しながら。



 第3部終了です。引き続き第4部へ。もう少し続きます。

 ついに記憶も秘密も明かされた壮太と姉妹、恋のバトルはガチな攻めとお仕置きに?

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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

書籍情報
ブレイブ文庫 第1巻
ブレイブ文庫 第2巻
COMICノヴァ

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