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ヴィヴィアン・クックの誤算
癖のないまっすぐなプラチナブロンドにエメラルドの瞳、纏ったマーメイドラインの薄緑色のドレスがよく似合っていた。
鏡に映った自分の姿を見て、瞳や髪の色味だけならそこらへんの令嬢より美しい自信があるけど、凡庸な顔がなんとも残念だなと思った。
体つきだって決して貧相ではないし、少し育ちすぎた胸がいつも仕事中に邪魔だと感じるくらいだ。
やっぱり客観的に見て、自分の顔が良くないのだなと感じた。
特にパーツが崩れている訳ではないけど、パッとしない。
姫様のように目を引く宝石のように美しい大きな瞳や、桜色の瑞々しいぷっくりした唇、ほんのり薔薇色の頬といった特徴がひとつもない。
化粧でどうこうなるようなレベルではない。
改めて感じてやれやれ、とため息が出てしまった。
今夜は王城で開かれる年に一度の大規模な舞踏会の日だった。
ほとんどの貴族は招待されているし、今日は姫様が2年後に隣国に嫁ぐことが正式に発表される日でもある。
私も今日だけは侍女としてでなく、伯爵令嬢として参加しなければならない。
そのために自分で用意したドレスを着てせっせと準備をしていた。