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6


奇妙なことに、噴水に落ちたあの日から、公爵はよく笑うようになった。


決して純粋な笑顔ではなく、揶揄うような意地の悪いものもあったけれど、以前のように終始作り物じみた微笑みを浮かべることは無くなった。



それが、なんだかちゃんと彼に相手をされているようで、私は少し嬉しかった。





「貴女達、最近特に仲良さそうね。」



執務室で姫様が唐突に漏らした。

その顔は楽しそうに笑っている。


細められたキラキラと光るサファイアの瞳は、興味深そうでもあった。



「そうでしょうか?順調ではありますけど。」



資料を整理しながら答える。


「ふうん。それで、結婚はいつ頃するのかしら。半年後?1年後?」


姫様は揶揄うように楽しそうだった。


「いえ、おそらく来月あたりだと思います。」


資料を纏めて姫様にお渡しする。


サラッと話すと、姫様は驚いたように瞳を見開いて固まってしまった。


「来月?!貴女、それはちょっと、だいぶ急すぎるのではない?準備は間に合っているの?」



面白そうな表情からすぐに心配そうな表情に変わった。

焦った様な姫様に、安心する様に私は微笑んだ。



「大丈夫ですよ、姫様。実は教会で宣誓して、籍を入れるだけなのです。式は挙げませんし、すぐに済みます。」


私の言葉に更に姫様は驚いた様だった。


「この国の公爵の結婚式なのよ?

そんな簡素にすませるなんて、ありえないわ!」


「公爵様も御公務でお忙しいですし、私も派手な式は好みませんので。神前で誓いを立てるだけで十分なのです。」


まだ姫様は何か言いたい様だったけど、やがて諦めた様に力を抜いた。


「そうよね、ビビはそう言うと思ったわ。…でも、彼はきっと後悔するわよ。」


薄らと笑った姫様の言葉はよく分からなかった。





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