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公爵は「そうか。」と一言返事をしただけで、それ以上聞いては来なかった。





「…とにかく、君が嫌がらせを受けていたことは以前から知っていたんだ。こんな怪我をさせるつもりじゃ無かった。対応が遅くなりすまない。」


今日2度目の驚きだった。

気まずそうにしたり、私に謝ったりと、今日の公爵様はいつもよりずっと人間らしい。



「私も君の考えをもっと早く聞けば良かったけれど、君も何故話してくれなかったんだ?もしかして君は、私に相談したり助けを求めるのが嫌なのか?」


不思議そうに見つめられて、少し気まずくなる。


「…そうではありません。

王宮では誰かに頼ったり助けを求めると、それは自分の弱味になってしまいます。弱味があれば付け入られてしまう。大抵のことは自分で解決するしかないのです。私は長年王宮で過ごして来ましたから。…貴方に頼るのは、つまり、私の弱味になると思ったんです。」



彼女たちへの同情や敵を炙り出すという考えがあったのは事実だけど、あれだけ意地を張って頑なに私が彼に話さなかったのは、私が公爵を信頼してはいなかったということだった。



公爵は、私が、助けを求めることが弱味になると言ったあたりで、我慢できずに面白そうに笑いだしていた。


私は真剣に話しているのに失礼だと腹が立ち、むすっとした。


「か弱いふりをして男に助けを求めるのも、ご令嬢の嗜みなのでは?」


半分笑いながら、公爵が尋ねる。


「そういうことは、私の苦手分野なのです。」


ふんっと顔を晒せば、公爵が笑っているのが横目に見える。


何がそんなに面白かったのかさっぱり分からなくて、私は溜息をついた。





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