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6


婚約発表の前、兄が声をかけてきた。



「やあビビ、そのドレスとっても素敵だね。似合ってるよ。」


「兄さん!」


ずっと緊張して張り詰めていた心が少し緩んで、笑顔が浮かんだ。



公爵は相変わらず隣に居たけど、彼は別の貴族男性と話し込んでいる。



「あのね、ビビ。もしよかったらこれ、付けてくれないかな。」


照れくさそうに兄が掌に持っていた小さな箱を開けた。


中には小さなダイヤモンドが一粒ついた、ネックレスが入っていた。


「本当はもっと立派な物をと思ってたんだけど、これくらいしかできなくて。婚約おめでとう。」


私はアクセサリーを一つも持っていなくて、今日も装飾品は何も付いていなかった。



きっとそんな私のことを分かっていて、兄が用意してくれたんだろう。



「嬉しいわ、兄さん。本当にありがとう。」



兄が着けてくれたネックレスを、そっと撫でる。

それだけで、十分幸せな気持ちになれた。


ふと視線を上げれば、彼が私を見ているのがわかった。

一瞬目があったけど、私の方からそっと逸らした。




兄と別れた後、いよいよ婚約発表となった。


彼はさっきからずっと不機嫌で、私の手を握る力は強い。


微笑んでいるのに、ぜんぜん笑ってなくて終始無言だった。


虫の居所が悪かいのかな?でも今日まで彼の計画通りに進んでいて、今度は一体何が気に入らないというのだろう。


私は内心困惑していたけど、婚約発表は無事に終了した。






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