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「何でもないわ。あんなに素敵な人と婚約するんだもの。ちょっとやっかみを受けているだけよ。私はこんなもの気にしないって知ってるでしょう?」
微笑めば、まだ兄は苦しそうだった。
「もちろん知ってるよビビ。君は強いし、こんなことに絶対負けたりしない。でも両親や領地のことをそんなに背負わなくてもいいんだよ。彼ほどのお金持ちじゃ無くても、君を愛してもっと大切にしてくれる人はいるよ。」
兄にも両親にも、公爵様と薬草園で出会って惹かれあったのだと話していた。
ほとんど事実だし疑われることはないと思ったけど、兄は信じていないらしい。
「兄さん、もうすぐ冬がくるわ。私達にはお金が今すぐ必要よ。そうでしょう?そうじゃないと、今年こそクック領はフォックス領になってしまうわ。」
隣の大領地フォックス領は戦争で勝利し多大な利益を得ていた。
長年小さいながらも豊かに穀物が実るクック領を欲しがっていて、今年の冬を乗り越えることができなければ、領地を奪われてしまうのは時間の問題だった。
それに、フォックス伯爵夫人は若い可愛らしい顔つきの男が好みで、度々自宅に押しかけてきては兄を誘っているのを見かけた。
兄は私と違って、両親の良いところを受け継いだような可憐で美しい容姿をしていた。
エメラルドの様な深い緑の美しい瞳に、サラサラのブロンドは太陽の様にキラキラと輝いている。




