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ヴィヴィアン・クックの困惑



その後の契約は恙無く進んだ。


私の命に価値は無いと言ってたくせに、公爵は月200ルークも手当としてくれるらしい。



「多すぎます。」と断ったけれど、「私の気が変わらないうちに、貰えるものは貰っておいた方がいいのでは?」と言われて、確かにと思い直すことにした。



「何故私なのですか?」


彼とは舞踏会の日が殆ど初対面だった。

純粋に不思議だった。



「…3年前、第二王女が毒を盛られたことがあったでしょう。その時現場に偶々私も居たんだ。君が王女の毒をすぐに吐かせて、冷静に解毒剤を与えているのを見た。他の侍女も騎士も硬直している中、君だけが迅速に対応していた。そんなことが出来るのは、人の死に慣れているものか、そうなることを知っていた者しかいない。」



5年前に突如始まった隣国との戦争は、3年前に終結した。


姫様が毒を盛られたのは戦争が終結した直後のことだった。


結局犯人は隣国のスパイで、それは国王を暗殺するために持ち込んだ毒物だったけど、誤って姫様の食事に混入されて出されてしまったのだ。



戦時中、国内貴族のバランスも崩れていた。

疑心暗鬼になり、隣国に取り込まれ売国する者も居た。

幾度か姫様も毒を盛られたり、誘拐されそうになることがあったため、対応に慣れていたということもある。


それに私は13歳の時に領地で、実際に戦争を経験した。

人の死にある意味慣れてしまっていたのかもしれない。



「君のことも徹底的に調べたんだ。そうしたら、5年前の戦争の悲劇の地、クック伯爵家の娘だとわかった。それなら毒にも血にも、人の死にすら慣れているはずだ。君が王族や国に恨みを抱いた可能性も考えたけど、毎月給料の殆どを領地に送り、復興に尽力しているとわかった。それだけ家族や領民に尽くしている人間が、一族郎党破滅するような手段を選ぶとは思わない。仮に王女を殺そうとしたならあんなに迅速に動いて王女を助ける訳がない。」




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