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「君は確かに頭が良いようだけど、自己評価が間違っているな。」
言われた意味がわからなくて、顔を顰める。
ゆっくりと伸びてきた手が、頬を撫でるように触れる。
「私は命を狙われている。炙り出すために、婚約者という弱みも準備した。婚約者は後ろ盾のない令嬢である必要があったけど、そんな令嬢はいくらでもいる。君よりもっと御し易い性格の人もね。寧ろ、第二王女配下の君を婚約者にするのは厄介だと思わないか?」
彼はずっと楽しそうに笑っている。
それは普段の作り物のような微笑みとは違ったけど、私は寧ろこっちの方が怖いと感じた。
「私は敢えて君を選んだんだ。殺したりしないさ。
婚前契約を結ぼうか?…君に、2年間だけの契約妻になって貰いたい。」
彼が楽しそうに笑い、さっきまでの殺伐とした雰囲気とは変わったけど、絡め取られるような息苦しさが私を包んでいた。




