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王宮で人気のあるバラ園の一角に、白いテーブルと椅子が置かれていた。
そのテーブルの上には紅茶や様々なケーキ、焼き菓子がたくさん並んでいた。
ここは王宮で働く恋人たちのデートスポットでもあり、彼と一緒にいるところを見られたくない私にとっては最悪の場所だった。
公爵はもう席に着いていて、私がバラ園に入ってきたのをみると、ゆっくりと微笑んで私の名前を呼んだ。
「ヴィヴィアン嬢、来てくださったんですね。」
その顔は、嬉しそうに微笑みを浮かべているが紫の瞳は鋭かった。
私は彼の顔を見るとムカムカと苛立ちが募ったけど、グッと耐えて笑顔を浮かべた。
「お疲れさまです、公爵様。お会いできて嬉しいです。」
「すみません、貴女と中々会えなかったので第二王女様に無理を言ってしまいました。」
彼はにこりと美しい笑顔をうかべている。
「申し訳ありません。私もご一緒したかったのですが、タイミングが合わなかったですね。でも、公爵様がこんなに熱烈な方だったなんて嬉しいですわ。わざわざ姫様にまでお願いしてくださるなんて。」
私はにこにこと嬉しそうな笑顔を作りながら、皮肉をぶつけた。
彼の頬は一瞬ぴくりと動いたけど、すぐに元の柔らかい笑顔になった。
「…ご迷惑でしたか?」
「迷惑だなんて。そんなに私に会いたいと思ってくださってたなんて嬉しいですわ。ほんとに。」
今は昼時で、バラ園にちらほらと人の姿が見える。
誰も公爵の近くに寄ってこようとはしないけれど、明日にはきっと王宮中で噂になっていることだろう。
明日からの生活を考えるとうんざりして、目の前の男に苛立ちが募る。




