13/41
ヴィヴィアン・クックの奔走
私の顔つきは凡庸で、存在感も薄い。
強いて特徴を挙げるなら、他人より育ちすぎた胸くらいのものだ。
それも普段着ている侍女服のフリルたっぷりのエプロンで隠されている。
王宮で働く人は王族を筆頭に、貴族や、侍女、文官まで皆んな美しい者が多かった。
そんな中で、私が気配を消すことはとても容易かった。
今日、私はリネン室の奥で、清潔なシーツの山に囲まれながら隠れるように昼食を取っていた。
普段なら侍女仲間達と休憩室でとるか、食堂で食べるけれど、そうはできない事情があった。
グレイ公爵と会い、婚約を受け入れたあの日から5日たった。
その間、翌日から毎日の様にグレイ公爵が昼食時や休憩時間に私の元を訪れ、食事やお茶に誘ってくるようになった。
彼の考えが分かるまでは、私は彼との婚約を純粋に喜ぶ、無害で無価値な、ただの貧しい伯爵令嬢として振る舞っていたかった。
だからあの日彼の言葉に喜んだフリをしたけれど、彼と変に目立って、陰口や嫌がらせを受けるのは絶対嫌で、理由をつけて断ったり、彼の姿を見かけたら全力で逃げ隠れるようにしていた。




