入学式当日の朝
2027年 4月8日
佐伯 徹。
年は16で今日が入学式。今までいろんなことがあったがそれを全て変えたい高校生活。
受験は少し頑張り、都内の偏差値55以上の高校へ進学。
これが俺なのだ。
朝、母親が俺を呼ぶ声が聞こえる。「徹ーもう朝よー!準備しないと入学式遅刻するよ!!!」
そんな声と共に時計の時刻を見てみると8時15分。
入学式は8時45分からなので早く準備しないと間に合わない。
歯を磨き、顔を洗って、その次に朝飯を食べ基本的な準備を済ませた後に着替える。
「じゃー行ってきまーす」
そんな掛け声と共に朝家から出る。
そんな時にボソッと口にした言葉「恋愛してーな」
なんと幼小中一回も人を好きになったことがない、いやなれなかった。
だから俺の高校生活の目標は、人を好きになることだったのだ。
「おっす徹、今日も寝不足みたいだな。ちゃんとセットしたらどうだ?モテるのに」
朝からうるさいこいつは宮木佑介。
俺が3歳の時から一緒にいて、唯一親友だと思っている存在。
少し感情的、だが友人思いとてもいいやつだと信用している。
「おはよう。今日入学式だってさー、、、クラスどうなるかね。」
「どうだろうなー。とりあえず、徹と一緒になることを願うわー。一緒じゃないと勉強わかんねーし」
「そこは努力しろよ」
「ひーーー朝からとおるんが厳しいーーーーー」
「.......バカか」
そんな他愛もない会話が続く。
20分後!!!!
~~~~~~~~~
さてさて朝から疲れる会話をしたが、入学式が始まりそうになる。
なんとこいつとは一緒のクラスだったのだ。
入学式終わったら速攻帰って寝よう。うんそうしよう。
「ごめんちょっとトイレ行ってくる。」
俺はそう言って一瞬体育館を抜けた。
「あ!!!こんなところにサボり魔発見!!!!」
一瞬整理が追いつかなかった。
誰なのか分からなかった。それはそうだ初対面なのだから。
だが、不思議なことにこの人を見ていると落ち着いてしまう。
いやいやそんなこと今はどうでもいい
「えっとどちら様でしょうか?」
普段はこんなこと聞かない。なぜなら興味すらないからだ。
だがこの人は違う。
少し特別に感じてしまう、この感じをすぐに知りたいのだ。
「私はこの学園の2年生で102期生徒会長を務める、明星茉莉奈。」
「まりな先輩、、、」
「そうだよ先輩だよ!!はい!てことで早く入学式に戻る!新入生でしょ」
もう入学式が始まる直前になっていた。
ただあの密集した空気が苦手で逃げてきたのに、連れ戻されてしまった。
「よう徹、朝から便秘か!?やけに遅かったな」
「ああ、控えめに言って⚪︎ね」
「ヒーん辛辣ぅ;;;」
校長が在校生代表を呼び、いよいよ入学式が始まった時。
朝話した生徒会長がこちらに視線を向けて手を振ってきた。
「おい徹!!あの先輩今こっち見なかったか?めっちゃ可愛くね!?」
薄々わかっていたがあの先輩は容姿端麗、綺麗な黒髪にまるで人形のような肩まである長い髪。
「ああそうだな」
「!?珍しい、あのとおるんが女の人を可愛いというとは、、、は!もしかして一目惚れか!?!?」
「そんなんじゃねーよ」
「そうなのか、今ならあの人の連絡先を代わりに聞いてやろうと思っていたところなんだがなー。」
「はいはい」
こいつは中学時代にも増して元気なようだ。
入学式は終わり、帰ろうとした時にその先輩によばれてしまった。
「呼び止めちゃってごめんねー。さっき名前とクラス聞きそびれちゃったじゃん!?」
「そういえば名前言ってませんでしたね。俺の名前は佐伯徹です」
「じゃあ徹くんかー!これからよろしくね!あ、これ私の連絡先!誰にも教えちゃダメだぞ」
「え、、なんで」
「うーーんわかんない。でもなんとなくいい子な気がしたから」
ちょっと意味がわからないがなんとあれ先輩から連絡先をもらえたのは嬉しかった。
人生で家族以外の女性の連絡先が増えるのはこれほど喜ばしいものなのだと、少し佑介の気持ちがわかった気がする。