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光輪の勇者

俺は光輪の勇者。17の時に日本から異世界召喚され、10年かけて魔王を倒した。

魔王を倒した褒美に、深淵の勇者はさっさと日本へ帰っていったが、俺は帰る気はない。もう27歳、この世界に馴染み切った。あの世界で生きるなどぞっとする。

だってこっちはBとLな世界はあたりまえだから。俺は真眼の勇者が好きだ、元の世界にいた頃から。

だから神様への願いは、真眼の勇者との結婚をお願いした。こっそりと、他の2人に聞かれないように。

そうしたら、真眼の勇者は王妃との結婚を願っていた。

帰りの道中で1人ひっそりと涙を流したのは内緒だ。というか、この場合どんな感じで願いが叶うんだ?

そして俺は、国王陛下に願いを申し出たんだ。

「国王陛下!お願いです、俺にも褒美を下さい!」声を小さく懇願する俺に、国王陛下は言いにくそうに言ったさ……

「すまんな光輪の勇者よ……そなたの望みは叶えられないのだ」

ああ悲しい!真眼の勇者と結ばれることこそ俺の願いだったというのに!

真眼の勇者も隣でごねていたが、俺との結婚がそんなに嫌なのだな。年増の王妃に俺は負けた!

「しかしな、真眼の勇者よ。そなたの望みも叶えられぬのだ。異世界の神は光輪の勇者とそなたを夫婦にしたいというお告げがあったのだ」

ええええええええええーー!!なんだって??!!まさか神まで俺と真眼の勇者が結ばれることを望んでいたとは……なんという嬉しい誤算!だが俺の願いは叶わないのか……orz

真眼の勇者と結婚が叶わないなら、もうこの世界にいる意味はない。

好きな相手の幸せの邪魔になりたくない。それくらいなら一生一人でいい。

「元の世界に帰ります、真眼の勇者の願いを叶えてやって下さい」

国王陛下も神官も、俺の願いに複雑そうだった。

「ふむ、真の願いを叶えられぬは神としての不覚。わびとして、勇者としての力が元の世界で役立つようにしてやろう。一足先に帰った深淵の勇者も喜ぶことだろう。

異世界の英雄となるがよい!さらばだ、光輪の勇者よ!」

そして俺は、真眼の勇者への挨拶もそこそこに、無理やり城から追い出してもらった。

王都を出ればすぐに帰れるそうだ。

帰りの道中、俺はこの世界での思い出を噛みしめていた。10年か……あっという間だったな……

真眼の勇者とはもう会えなくなるが、遠くから幸せを祈ろう。

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