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近代革命魔法少女レース=ノワエ  作者: 八島唯
第3章 豪華客船『パークス=ブリタニア』
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第三章エピローグ

 船はゆっくりとビクトリア・ハーバーへと入港する。まるで海峡のようにさえ見えるその風景は両岸に地面にへばりつかくの如き建築物によって埋められていた。

 『パークス=ブリアタニア』号の船首に威厳を持って佇む少女。ウェストアビン女伯爵オフィーリア=アイアランドの姿である。カティンカとの戦いにかなり消耗しているはずなのに、そんな気配はけほどもみせない。船もまたあれ程の被害を受けたにも関わらず、出港時と何ら変わらない平常の様子に戻っていた。

 それを下船しながら見上げる二人。すざくと唯依ゆよりである。

 すざくは船の弦をしげしげと見つめる。あの時、砲撃され大きく空いた穴はまるでうそのように塞がれていた。

「これもオフィーリアの魔法力さ」

 唯依ゆよりがそう疑問に答える。

「見栄っ張りだからな、彼女は。表面的には傷ひとつないが中はぼろぼろさ。九龍あたりのドッグでしばらくは修理になるだろうよ。まあ、それも貴族の矜持なんだろうが」

 黒光りする船体。あの時、カティンカとエフのバルティック艦隊の攻撃によって撃沈の危機にあったこの船。

 しかし、それを救ったのはオフィーリアでも唯依ゆよりでもなく、謎の『龍』とそれが吐き出した見たこともない兵器――

「大戦でいくら兵器の技術が進んだとはいえ、あのような兵器は聞いたことがない。まあ、僕と同じ存在の仕業だろうね――『魔法少女』の」

 唯依ゆよりがそう両手に荷物抱えながら、そうつぶやく。

「『パークス=ブリアタニア』号がだめになった以上、他の船を探さなけれないけない。それまではここに逗留するしかないだろうね。アジアなるヨーロッパ。この香港に」

 ふとすざくは日本にいたことを思い出す。狭い世界、狭い視野。自分の世界は実家と聖アリギエーリ高等女学校の寮の中が全てであった。唯依ゆよりとの出会いによりすべてが大きく変わってしまった。多分それはこれからも。

 そもそも、この洋行も彼女自身まだ腑に落ちない部分が多い。

 そして、なぜ自分が唯依ゆよりとずっと一緒にいられるのか。

 なぜ唯依ゆよりはじぶんをこれほどまで――

 唯依ゆよりはいった。自分のことを『主君』であると。

 『魔法少女』はそういうものなのだろうか。しかし、いままで見てきた『魔法少女』にすざくのような『主君』が一緒にイたところ見たことはない。そもそも自分は――

「どうしたのかい?すざく」

 唯依ゆよりの呼びかけに首をふるすざく。

 答えはいまだ出ない。そう、答えは自分で考えて自分で作り上げるものなのだから。

 荷物を手に、香港の新界の地を踏みしめるすざく。



 香港が租借されてよりすでに八十年。中国にすでに王朝はなく、新国家中華民国も軍閥による群雄割拠の状態を見せていたこの大戦後の状況――いかなる魑魅魍魎がこの植民地に跋扈しているのだろうか、想像するだに余りある中の香港であった――


 第三章 豪華客船『パークス=ブリタニア』【完】

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