表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
近代革命魔法少女レース=ノワエ  作者: 八島唯
第3章 豪華客船『パークス=ブリタニア』
43/52

船主ウェストアビン伯オフィーリア=アイアランド

 二人の客室はさほど広くはない。寝室と居間。とはいえ、客船の部屋としては上の部類に入ることは間違いなかった。

 調度品は程よく使い込まれ、それが旅に安心感を与えてくれるような気がした。

 すざくは船旅は初めてである。当然、豪華客船に乗るということも。

「まあ、何事も経験だよ。それが人間を成長させる」

 唯依ゆよりがすざくの背で着替えをしながら、そうつぶやく。

 すざくの目の前には見たことのないような白を基調としたドレスが広げられていた。

「ディナーはドレスコードがあってね。僕は第一装の軍服を着させてもらう。すざくは――」

 思わず目をまるくしてしまうすざく。

(これを......私が......)

 廊下を行く二人。まるでロボットのようにぎこちなく歩くすざくを唯依ゆよりがエスコートする。

「似合っているよ」

 唯依ゆよりの気遣いに声も出ないすざく。ドレスを着ているというよりは、ドレスが着せてやっているという感じすらある。

「緊張することはない。こういうのは楽しまないと」

 そっとすざくの髪を触れる唯依ゆより。思わずビクッと反応する。

 階段を降りる二人。木製の幅の広い、まるで舞台のような階段。

(ほとんど宮殿だな。学園よりも大きいかも......)

 はあ、とためいきをつくすざく。通路の両側にはステンドグラス張りの壁が続く。

 給仕に案内される二人。

 天井が吹き抜けになっているホール。ここがディナーの会場らしい。

 まるで地平線のように部屋の端が霞んで見える。その中ほどに、二人の席があった。

 テーブルの上には真っ白なテーブルクロスがかけられ、目を凝らすと白い生地に細かい造作が浮かび上がる。

「豪華だねぇ......」

 それしか声がでないすざく。テーブルの上にはいくつものフォークやナイフが並ぶ。学園時代、先生に厳しく仕込まれたテーブルマナーを思い出す。あの時は嫌な思いでしかなかったが、今になってみればありがたいことである。頭の中で何度も手順を思い出す。

 なにやらざわざわした雰囲気を感じるすざく。

 唯依ゆよりのほうを見やると、彼女は軍帽をそむけ右の方を向いていた。ざわめきの発信源もそちらの方である。

 上品な英語が聞こえる。必死で聞き耳を立てるすざく。しかしネイティブな早い発音に耳が追いつかない。

「――船主のお出ましだよ。大英帝国比類なき豪華客船『パークス=ブリタニア』個人船主、ウェストアビン伯オフィーリア=アイアランドどののおでましさ」

 固有名詞の洪水にあっけにとられるすざく。

 その二人のそばに、その船主がゆっくりと近づいてきた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ