もう一人の魔法少女
季代の声を合図に、一斉に銃弾が放たれる。
激しい重音とそれを追うように渦巻く硝煙があたりを包む。
四方から射撃される唯依とすざく。
硝煙がゆっくりとはれる。そこにはずたずたになった二人がいるはず――だった。
空中に浮かぶ無数の銃弾。右手の掌を前に突き出し、左手ですざくを抱き寄せる唯依の姿がそこにはあった。銃弾は彼らに突き刺さることなく、青い光によって空中に固定され微動だにしない。
「ほう、なかなかの魔法力を持ちますのね。背後まで防御魔法を展開できるとは」
扇の先を口角によせ、眉をひそめる季代。
すっと第二波の射撃を促すべく、右手を季代は上げる。
その時、一拍子早く拳銃の音が響き渡る。
すざくはその音の方を振り向く。そこには今まで座していた軍人姿の男――伊集中佐が立ち上がり手に軍用拳銃を構えていた。銃口からたなびく細い煙がすべてを説明していた。
すざくは銃口の指し示す先を振り返る。その指し示す先は――この部屋の逆、そう壇上の上の季代の方向である。
扇を右手で掲げたまま、ピクリともしない季代の姿。そして、その目の前には黒い丸い物体が空中に浮いていた。赤い光。それが銃弾をまるで包み込むように季代から放たれる。
少しの間の後、銃弾は力なく床へと叩き落ちる。かーんと乾いた音が部屋に響き渡る。
「......」
無言のままの季代。それにはさして関心も払わぬ様子で、伊集中佐は拳銃をホルスターにしまい込んだ。
「ありがとう。伊集中佐」
唯依がそういいながら、ふりかえる。
いえ、と言いながら伊集中佐は敬礼で答える。
「さあ、どういうことか答えてもらおうか。季代会長代理。たしかに僕は魔法を使った。そう、僕は魔法少女だ。しかし――君も同じような魔法を使うようだね。魔法を使えるものは――魔法少女しかいない。これをどう説明するのかな」
唯依の追求におされて、季代は後ずさる。
「新たな告発をさせてもらいます」
部屋の奥から、別な声がする。体に傷を負いながらも、そう声を上げたのは――先程ふっとばされた検事やさかである。
「本官は『魔法少女審問検事』の職責に則り、新たな魔法少女を告発する。彼女こそが生徒大前のどみを魔法の力で殺した真の犯人――ヴィヴォンヌ集会会長代理嬉河季代、あなたを!」
人差し指で季代を指差し、そう弾劾するやさか。
季代は無表情のまま、眼下の状況を見つめていた――




