表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

懐かしきかな月曜日

作者: 留都

大人になっても月曜日は嫌なものだ。

学生だった頃は、月曜日は憂鬱で退屈だった。また窮屈な箱に押し込まれるのかと、溜息を吐いていた。


それでも、どこか楽しさを感じていた。昨日会った友達や、気になるあの子とか。変わらぬクラスに安堵した。


教室に響く笑い声が絶えない。無邪気に笑うあの子を見た。将来なんて何処にもない。

ただ、今を生きていた。



今思うと、眩しい毎日だった。

あのころは何もかも新鮮で、自由で、空が青く見えた。


今はどうだろう。空を見上げることは減った。


晴れていたら、太陽の熱で体が溶けるような気がする。

あの時漕いだ自転車を恋しく思う。吹き抜ける風は、不安ごと飛ばしてくれそうで、力強くペダルを踏んでいた。


ましてや、雪なんて降ったら通勤の心配をするだろう。

学生の頃は、雪を丸めて空へと投げた。今は触ることなんてない。感じるのは体の凍えだけだ。


通勤中、電車の広告を眺めて、あの時の空を思い出した。

吊革がゆれ、ありもしない風を感じる。ここは教室。空いた窓から暑い熱を感じる。煩く感じたクラスのざわめきが遠く聞こえる。


授業なんて聞いちゃいなくて、放課後何しようとか考えてる。


授業はいつ終わるのかと、時計を眺める。

まだ5分も経っちゃいない。

ここでは無い何処かに抜け出したい。そんなことを考える。


暇だしさて先生の話を聞くぞと腰を据えても、ちらちら時計に目がいってしまう。


「次は勝田駅〜勝田駅〜」

無機質なアナウンスが僕を今へと引き戻す。時計の針は7時半を指している。まだ目的駅には着かない。

いつから日々が色褪せてしまったんだろう。今の方が自由なのに、何も出来ない。


お金があっても、どこか出かけたりなんてない。家でゲームしても笑ったりなんてしない。笑った気持ちになるだけ。


忘れたくないと僕が言う。

大事なものがあったはずだろうと。


どこにいった青春。心が鉄のように重い。


会社に行きたくないなと、腕時計を眺める。

まだ5分も経っちゃいない 。


会社に行きたくない。何処かに逃げ出したい。

海にでも、街中でも何でもいい。


あの5分を思い出させてください。

僕の思い出まで色褪せてしまいそうだから。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 現実ではうまくいかないことが多いけど、無理ない程度に生き延びましょう(あるいみさばいばるですよ、現実なんて!Σ( ̄□ ̄;))
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ