夢の中…で会うために…
一瞬の眠り
息を潜める
暗闇
突き刺さる
真冬の冷たさ
どこにも行けない
影
どこからか
吹きこむ
風
誰かの言葉
氷柱
落ちた水滴
雪の凹み
みえた地面
空
届かない春
還ってゆく恋人たち
探し続ける
別れた一滴
ひとつになること
夢みた
混ざり合う
空気
飛び回る
分子
果てしなく
めぐる
宇宙の外側
存在も
時間も
とどまることなく
生まれつづける
0秒後
ならびつづける
後ろ姿
命を刻む
時
あなたからの
手紙
サラサラと落ちる
砂時計
孤独な足音
消える
Am1:11
コツコツと響く足音
誰かの足音
「夢で…会いたいんだが…」
大柄で武骨な男
毎日ここにやって来る
魂の休息よりも
会いたい誰か
役場には
多くの人がやって来る
夢で誰かに会うために
こちらとあちらでは
流れる時間の速度が違う
生まれ変わりつづける世界
生まれとどまる世界
必要のない証明書の発行と提示
整った魂管理システム
行われる魂のコンディション…健康診断
夢で会うためのより良い条件
会うためのエネルギー
充填は不可欠
おぼつかなくなる…言いたいこと…姿形…
それでも…この男…は…
毎日ここにやって来る
「こちらでの1日…あちらでの10日間になります…」
「分かっている…何度も聴いた…」
生きる人の眠りの時間…
10倍速度の超越時間…
魂のみの激しい消耗…
男は…それでも会いに行く
心配だからと…
夢の中…
ある日…
男は…還ってすぐに
列に並ぶ
言い忘れたことがあるんだと…
心配だからと…
列に並ぶ…
やがて男の順番が…
魂疲労の指摘にも…
「かまわない…」
男は…そのまま…フラフラ…と
猫の姿で
会いに行く
大事な人に…寄り添って
大事な言葉を…受け取った…
男は還って…フラフラ…と
「明日も…また来る…」
言い残す…
大事な人がいるんだと…
明日もここへ…
やって来る…
男は還って
したためる
手紙を書いて
夢をみる
大事な人の10日間
起きては手紙を書きつづる
明日も会いに行くんだと
愛する人の
夢をみる
陸なるみ様…に、多大なる影響を受け…書かせて頂きました…。
ありがとうございます…m(_ _)m