4.絶対ハーレム聖遷
この度既存の作品ネタを多数ちりばめております。
そしてとても下さらない使い方をしております。
先に謝っておきます。
申し訳ございませんでした(ローリング土下寝)
昨日の放課後から様々なマスコミ研究会と新聞部、今朝に至っては不良集団にまでも追いかけまわされた二人はもうへとへとだった。(途中、恋愛研究会とかいうよくわからないのにも追われたがそんな研究会速急に潰れるだろうと判断した二人は特にはカウントしなかった。)
「やっと静かになったな…」
昼休み、二人はなんとか野次馬を追い払って屋上へ避難した。
「オレはもうおしまいだ。うあぁぁぁぁあー」
奇声を上げて屋上の手すりへと突進していく冴英皇。
「ちょ、早まるなって。」
青野は襟をつかんで校舎から飛び降りようとする冴英皇を止める。
「ちょっとうまくいかなかっただけだろ!自殺するなんてどうかしてるよ!」
「は、自殺?オレが?」
「え、違うの?」
―さすがにランニングには見えなかったけどな。それに昨日からいろんな人から追い回されて全力疾走してたから運動不足を解消する必要もなさそうだし。
「オレは、転生する!」
「…は?」
「最近流行ってるだろ。車にひかれて死んだと思ったら中世ヨーロッパの悪役令嬢になってたとか、地震で死んだと思ったら本のない世界の少女に生まれ変わってたとか。」
―あー、優翔中二病気質も備えていたか。どこまでも完璧だな。(これは皮肉である。)
「異国の王子に生まれ変わって今度こそ神崎のハートをゲットしてやる。」
「それは漫画とかアニメの話だろ。現実じゃここから落ちても死ぬだけ、生き返れないよ。それにそういうのって大抵転生先選べないよね。最悪、人外になってるよな。」
「少なくとも今のオレよりはましだろ。悪くてもスライムだし。なんだかんだ言ってみんなうまくやってるじゃん。」
―そういう問題じゃないんだけどな…
「要するに神崎にモテれば何でもいいんだろ。神崎に振られたのがこうやって邪険に扱われることの原因なら、逆に神崎から告白させるのが一番手っ取り早い。他にも方法考えようよ。」
「……そうだな。なるべく確実な方法をとりたいしな。」
二人は考え込む。しばらくの間静かな時が流れる。屋上に聞こえるのは時折吹く風の音だけだった。
「そうだ!」
先に静寂を破ったのは冴英皇だった。
「オレ、この学校にハーレムを築きあげる!」
「いや、ちょっと待て。お前結構最近はでプチハーレム状態だっただろ。」
実際学年一注目を集めていた冴英皇だからこそ今この状態になっているのだ。
「そうだよ。その『プチ』がダメだったんだ。神崎美琴ほど女は学年でちょっとばかしハーレム築いたくら
いじゃ振り返ってくれないんだ。全校生徒を魅了する男になってやる!神崎のハートをゲットし、なおかつ
失われた人権を取り戻す。絶対王政ならぬ絶対ハーレムだ!」
熱弁する冴英皇に驚いたのか手すりに止まっていたスズメは一羽のこらず大空へ羽ばたいていった。
―なんかよくわからないけど、とりあえず半自殺行為を引き留められたならよかった。(『失われた〇剣』みたいなノリで『失われた人権』とか言ってほしくなかったけど。)
青野は胸をなでおろす。
「それでどうやって絶対ハーレムになるの?今までだって精一杯かっこつけてきた訳だし。」
「え…?」
再び屋上に静けさが戻る。
―考えてなかったのか。
青野は深いため息をついた。これでは何の解決にもならない。
そもそもモテるために絶対ハーレムを築くという計画自体が解決に向かっているかどうかは謎であるが。
冴英皇は助走をつけて屋上の端に向かって走り出す。
「転生しない方向で考えような。」
青野はまたも冴英皇の襟をひっつかんで三途の川のこちら側に引き戻す。
「優翔、細かい計画はこれから立てるにしてもまずは第一印象が大切だ。」
「オレ今人生の中で一番印象悪いよ」
「だから、その印象を少しずつ変えるんだよ。考えてみれば今チャンスなんだよ。失恋をきっかけに不良系クール男子が改心して心優しい男の子になる。何の不自然さもない王道ストーリーだ。」
―優男も悪くないな。考えようによってはこれはオレのイメチェンを成功させる最大のチャンスなのかもしれない。
「晃汰、その話乗った。今この瞬間からオレみんなに優しくする。校則もちゃんと守る。」
―校則は目的がなくても守ってくれ。
「じゃあ、決定事項をまとめるぞ。オレは校内人権を取り戻すために神崎を恋に落とす。そのためにこの学校にハーレムを築き上げる。そのためにオレは優男になる。」
―全然まとまってる気がしないけど、まあいいか。
青野は力強く頷く。
勘違いしてはならないのは、青野は冴英皇が神崎とゴールインするのを心のそこから望んでいるのではないと言ことだ。彼にとっては大事なことは冴英皇が半自殺行為に走らず、なおかついい子でいてくれることなのである。
「この状態からモテ男に舞い戻るのは茨の道だけど、それをやることに価値がある。これぞ、一大プロジェクト『絶対ハーレム聖遷』だ!」
屋上に高らかに響き渡る冴英皇の宣言に気づけばカラスまでも飛び立っていた。
「『聖遷』はどこからきたの?」
「オレの魅力を『学級』というテリトリーを抜け出して『学校』という新たな領域に布教する!だから、『聖遷』」
「なんか無理やりじゃない……?」
「……いいの、いいの、別にいいの」
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
前座は終わり!
いよいよ次回からハーレム化計画のお話を書けます!やったね!
全力で笑えるお話書くのでこれからも応援してください。
(なお、冴英皇たちがチートスキルを身につけるのはもう少し先の模様)