3、愛の鬼ごっこ
今回は驚くほど内容が薄かったので4話と同時更新にしました。
なんだったら3話は飛ばして貰っても大丈夫です。
(4話は真面目に書いたもんね ♪(´ε` ) )
後々3話中の登場人物が再登場する予定ですが、まあ、その時はその時でちゃんと言うので。(忘れなかったら)
ドサァ――
開いた冴英皇の下駄箱から大量の紙が落ちる。それはいつものことなのだが問題は中身である。
『モテないナルシストはただのナルシスト』
『自分に溺れた冴英皇は薔薇をも掴む』
『薔薇男よりモテ男』
今まで入っていた数多のラブレターがすべて男どもの悪口に置き換わっていた。
冴英皇はしばらく足元に散らばった紙屑を眺める。
そこへあとから青野が登校してきた。
青野はそれらを拾うとビリビリと破り捨てる。
「大丈夫だ。モテるナルシストもただのナルシストだ。優翔と変わらないよ。」
「なんの慰めにもなってないけど。」
何とも言えない表情で答えた冴英皇は下駄箱周りの掃除をし始める。
「おお―、これはこれはたいそうなラブレターをもらったね、薔薇男君」
声の聞こえた方を見ると、隣のクラスのガキ大将、矢澤が金属バットをもって仁王立ちしていた。そこにぞろぞろと他の男子も集まってくる。(おそらくこれを入れたのはこいつらだろう。)
学年中の女子の視線を総どりしていた冴英皇のせいで彼らは高校生になってから彼女を作ることが出来ずにいたのだ。(冴英皇がいなくとも彼らに彼女ができる気はしないが。)
冴英皇が都合よく自爆してくれた今、彼を虐げて鬱憤を晴らしたいと思うのも当然だろう。
(彼らに彼女ができない根本的な理由を探ればそれがお門違いであることは明白なのだが。)
―こいつらに絡まれたらヤバイ!(by冴英皇)
―こいつらに絡まれたらヤバイ!(by青野)
瞬時に悟った二人は下駄箱を飛び出した。そのまま人込みの多い廊下を全力疾走。風圧になびく冴英皇失恋ゴシップ記事が邪魔になって仕方がない。
「逃がすなぁぁあ!!!」
矢澤の怒号と共に金属バットを振り回した男どもが追ってくる。近くにいた女子たちが悲鳴を上げた。
突然人通りの多い朝の廊下で巻き起こった大規模鬼ごっこに生徒たちは騒然とする。
「スクープかぁあ!」
そこに飛び込んでくる新聞部。
―勘弁してくれよ!
二人は気が狂いそうだった。
人通りが多いことをうまく利用しながら物陰に隠れこむ。
「ハァ、ハァ、逃げ切ったか」
荒い息をしながら冴英皇はそっと周囲を見渡す。
追ってくる気配はない。
「ハァ、大丈夫みたいだな。」
そう答える青野も息が上がっている。
へとへとになって二人が廊下に座り込んだときー
「あっ、冴英皇さんですよね。恋愛研究会の三条です。ちょっとお話を、って、ちょっと待ってくださいよ。」
ーなんだよ恋愛研究会って!!
再び全力疾走する二人。だがしかし、二人が向かったその先には
「お、冴英皇さんじゃないですか。マス研『校論時報』の野寄です。あのあと神崎さんとはどんなお話を……」
二人は180度方向転換して追ってより手前にある渡り廊下に逃げ込んだ。しかし体力の限界で明らかにペースが落ちている。追手との距離はじわじわと縮んでいた。
「矢澤さん、奴ら見つけましたぜ。」
さっきの男どもも追手に加わった。
「あぁ~、こんなモテ方は嫌だー!!」
「優翔、これはモテてないだろぉ!!」
「違う、これは新しい愛の形なんだ-!」
「うるさぁーい!」
こんな時にまでつまらないプライドを発揮する冴英皇を青野は心の底から殴りたいと思った。
内容すっかすかの3話を最後まで見てくださりありがとうございました。
4話はちゃんと書きました!いよいよ生徒ハーレム化計画が始まりそうな予感Σ(・□・;)