1.学年ーのモテ男
新シリーズ初めました!イェ〜イ( ✌︎'ω')✌︎
前回は少し真面目なお話だったので今回は思いっきりふざけま〜す(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎
痛快なギャグ小説が書きたぁ〜い!(あ〜、どっかに文才落ちてねぇかなー)←自分でがんばれ
キーンコーンカーンコーン
この音を教室内で聞くことが出来なかった者はその場にうなだれ泣き叫ぶだろう。なぜならこの音は高校生を顫動させる拷問、英文書取りの処せられることを告げる合図だからだ。
だかしかし、この学校にたった一人だけ、まるでイオンモールに流れるカノンであるかのようにこの悪魔の旋律を聞き流す者がいた。
「このオレのご来訪を待たずにチャイムを鳴らすだなんて。現代人は急ぎすぎではありませんか、先生。」
奴が華麗な足取りで教室に入ってくる。176cmの長身にそれなりに整った顔立ち。だっさい制服をオシャレに着こなす彼は学年一の秀才、冴英皇 優翔だ。ハイスペックスキルをもつ彼はもちろんモテる。
だが、ただ一つ決定的な欠点がある。
「………」
担任の高田は冴英皇に冷たい視線を向ける。そしてそのまま書き取り用紙を差し出した。
冴英皇はフッと笑ってその紙を引き裂いた。
「学校偏差値83を誇るオレの黄金の右手を書き取りなどという雑事に煩わせるつもりですか?」
ここぞ!というキメ顔で問い返す。
彼の欠点、それは標高8000m級のエレベストにも勝るプライドの高さだ。もしギネスナルシスト記録があるとしたら間違いなく世界の頂点に立てる。
だが、残念なことに全国的に見れば彼くらいのスペックの持ち主はごまんといるわけで、実際にはプライドと実力が釣り合っていない。
さらに残念なことに彼自身そのことに気づいていない。
その事実を知る由もないクラスの女子たちはキラキラとした目で冴英皇を見ている。
「はぁー」
高田は大きくため息をついて手であっちへ行け、というように促す。まるでしつこい犬を追い払うかのように。
席に着くと優雅に足を組み女子たちからのファンレターを光のはやさで裁く。(まだ自由時間にはなっていない。)
ーやれやれ、ここまで完璧な男だとむしろ災難だね。日本はオレにモテ男保証金を払うべきだ。
彼のナルシストは止まらない。
ーあー、また格好つけちゃってる。痛いわぁ。どうやって育てられたらこんなナルシストになるのかな。
そんな彼の姿を隣の席の青野 晃汰は呆れた目で見ていた。
身長が低く気弱な青野だが、冴英皇の制御に関しては彼の右に出る者はいない。というのも青野は中学からの冴英皇の旧友であり、彼のことをよく分かっているのだ。
「………から忘れないようにしろよ。それじゃ、解散。あと冴英皇はちゃんと書き取りやれよ。」
高田にそう言われて冴英皇は口笛を吹き始める。
ー全く仕方ない奴だな。
「優翔、これは学校の決まりなんだからちゃんとやった方がいいよ。」
「オレの黄金の右手をそんなことに使ったら神様が泣くだろ!」
ーめんどくさい。
青野は頭の中で冴英皇を踏み潰す。(青野は頭の中だけでは勇敢だ。)
ちなみに外界との接触を妨げられたこの学校の生徒は『全国偏差値』というものを知らない。冴英皇がたかが『偏差値28の高校の学校偏差値83』で天狗になってしまうのも無理なないことなのである。最も転校生である青野は全てを知っているのだが。
「そんなことより今からオレは一大イベントに行かなければならない!」
冴英皇はカバンから何やら怪しい袋を取り出す。
ーあー、またくだらないこと考えてる。
青野は頭を抱える。基本、臆病な青野は目立ちたがらない。冴英皇が何か問題を引き起こすのではないかといつもひやひやしているのだ。
「オレは今日、告白する!」
「へー、そーですか」
しばらく沈黙が続いた。
「オレは今日、告白する!」
「いや、聞こえてるから2回言わなくていいよ。」
ーうっす、反応うっす…。オレこれでもこの学年の王子様なんだけど。お前ら菅○将暉の熱愛報道とかには敏感なくせにオレのは気にしないわけ?
冴英皇は青野の素っ気なさに涙を飲んだ。
残念ながらことに青野の『冴英皇にの突飛な発言に対する防御スキル』はSランクまで上がってしまっている。
「相手は神崎美琴?」
「あたり前だろ。オレくらいのモテ男が神崎くらい狙わなくてどうする!」
ー別にどうしなくてもいいけど。大人しくしててくれればそれでいいんだけど。
青野の願いは冴英皇に届かない。
神崎美琴は転校生で、どこかの会社のお嬢様だとか。誰もが羨む才女であり、その美貌に振り向かない男はいない。
なぜ、そんな優秀な人材がこの学校に入ってくるのかというと、彼女5月中旬の急な転校であったため他校に転校生の受け入れ態勢が整っていなかったためだろう。
一般的な高校では退学者がでで学校に空きができるのは早くても夏休みごろ。しかし、この底辺高校は年中無休で退学者を輩出している。
「講堂の舞台の上で薔薇の花束を渡すオレ。ギャラリーから湧き上がる歓声。完璧だ。」
想像してうっとりとする冴英皇。
ーその怪しい袋薔薇だったの。神様一度でいいからこの鼻につく男を黙らせてください。いっそのことこっぴどく振られろ。
まぁ、このモテ男を振るやつなんてこの学年にはいないだろうけど。
と、思うと同時に今日のために講堂を貸し切り、ギャラリーまで集めていた冴英皇の用意周到さに感心した。
冴英皇は軽やかな足取りで講堂に向かっていく。晴れやかな笑顔の彼が通ると廊下に舞い上がるさえ紙吹雪のように見えた。
彼に振られるという懸念はない。なぜかって?聞けば
「オレは冴英皇 優翔だからさ!」
と自信満々に答えてくれるだろう。
講堂に着くと神崎はもうすでにステージの上で待っていた。張り替えったら彼女の大きな瞳にその場に集まった男どもはみなドキッとする。相変わらず綺麗だ。
「待たせたな、神崎。今日は君に大事な話がある。」
冴英皇は隠していた薔薇の花束をすっと彼女の胸元に掲げる。(「底辺高校の」ではあるが)学年の光源氏である彼の優雅な仕草に目を奪われない者はいなかった。
「好きだ。出会ってから君のことを考えない日はなかった。オレと付き合ってくれ。」
「ごめんなさい。」
ーえっ…
その場にいた全員が耳を疑った。まさかの答えだった。
ーオレが振られた。
理解できない状況に冴英皇はその場に倒れ込んでしまった。
「ちょ、ちょっと。しっかりしてよ。」
青野は慌てて冴英皇の元に駆けつける。
颯爽と講堂を去っていく神崎に新聞部がシャッターのシャワーを浴びせていた。号外を作るつもりらしい。
ーこれはまずいことになったな。
困惑しながらも青野は冴英皇を保健室まで運んで行った。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
なろう歴8日目。まだまだひよこさんですが面白い物をお届けできるように頑張ります。
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