花の園は悲しい
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だれ?
呼びかける声がした。
本当に誰だろう。
もう出かけなければいけないのに。
幻聴が聞こえたかと、心配になった。
もしそうなら、ゆゆしき事態である。
薬物にハマって、破滅する。
なんてことはない、どこに行っても繰り返されている悲しい出来事。
私もそれに嵌ってしまった。
何がいけなかったのだろうかと、逡巡する。
どうせ、70億分の1、自分一人の力では大したことなどできない。
だいたい、私は頭が良くないし、ちょっとしたことで浮かれたり落ち込んだりする正直な人間だ。
クズを気取っていても、本当は嘘の一つもつけない未熟な人間だ。
嘘をつけるのが、完璧な人間というわけでもないけど。
良く言えば濁りがない、悪く言えば世渡りの能力がない、と言ったところか。
と、そんなことを考えながら、自分を自分で鼻で笑う。
なんて滑稽な光景。
疲れた。
どうせなら、目の前の池にでも飛び込んで、人生を終わらせてしまおうか。
ここなら死に場所にもってこいだ。
澄み切った透明な水、深い……池底。
一思いに飛び込もうか。
ああ、でも、冷たいのは嫌なのだ。寒いのは嫌なのだ。
誰?
呼びかける声がした。
先ほどとは打って変わった、大人びた声。
ああ、今、気づいた。
この声は、私だ。
レゲアrg