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その9

何とか更新が出来ています。

ただ、書き上がっている原稿次第なので、この先は解らないかも。結構遅筆なのでw



 数日後の昼下がり、また叔父ちゃんが現れた。

 叔父ちゃんは、現れるなり無言で尻のポケットから紙を取り出し、何事か書きつけ始める。

 数分で書き終わるとそれをこちらに差し出した。

 「ステンレスの組成」

 短く言う。

 有り難い、調べて来てくれたらしい。

 だが、書面を見るとステンレスと言っても何種類もあるらしい。一応特徴や比重も書いてある。仕事の徹底ぶりは昔からだ。

 「あとこれ、レンズ用のガラスの組成と屈折率の出し方」

 見るとかなり複雑な数式やら説明やらが書いてある。

 さすが無駄な記憶力。

 「そのステンレスって何だ?」

 曽祖父ちゃんが口を挟んだ。

 「鉄の合金で錆びにくいやつ。現代だと包丁なんかに使われてる」

 叔父ちゃんが簡単に説明する。

 「それで銃は作れんのか?」

 叔父ちゃんは渋い顔だ。

 「拳銃はあるけどライフルは…M14にあったか?」

 しばし考え込んだが、またまた仔犬の目をした曽祖父ちゃんに向かい、

 「どの道、近代兵器は無理だよ。工具が無いもん」

 この爺さんよっぽど銃が好きらしい。

 「和樹! 出来んか?!」

 またこっち向いてこの目かよw

 「ムリムリムリ! 銃を作る工具なんて知らないから!」

 思案顔の叔父ちゃんがボソリと言う。

 「ダイヤモンドカッターの刃先って無理か?」

 無茶ぶりが来た。

 「あれもセラミックだよ! ファインセラミックの焼ける窯なんてあるのかよ?!」

 また思案顔の叔父ちゃん。やばい雰囲気だぞ、何とかして逃走を諮らないと。

 「窯は多分ある。ただどうやってダイヤをすり潰すか…」

 有るのかよ、そんな高温炉が。

 「何に使うの? ダイヤモンドカッター何て?」

 普通あまり使わない工具だ。ダイヤを混ぜたセラミックの刃を回転させて固い金属などを切断するための物である。

 勿論、金属以外にも石材なんかの加工に使われる。

 「あぁ、近代の銃が再現できない最大の原因が、銃身にライフリングを切る技術が無いからなんだ。火縄銃みたいなスムースボアならすぐに作れるんだけど」

 なるほど、それは難しそうだ。

 近代の銃は銃身の内側にライフリングと呼ばれる螺旋状の溝がある。これが無いと普通の銃弾の様に細長い物を発射した時に横転してしまい、威力が半減する。

 昔の銃の様な球形の弾丸を使う場合はどう回転しようが関係ないのでライフリングはいらなくなる。

 以上は叔父ちゃんからの受け売りの知識だ。俺は本物の銃には触れた事もない。

 「まぁ、あと需要が無いってのもあるんだけどね」

 「へ? ないの?」

 思わず変な声が出た。

 「魔法で代用できるし。前に爺ちゃんの銃をこの世界の連中に撃たせたら、全員肩が抜けるか骨折した。火薬の爆発力が元の世界よりかなりでかいみたい」

 元の世界から持ち込んだ物だと色々あるらしい…アレ? 待てよ?

 「ねぇ、この前銃の弾持ってきたよね?」

 コクリと頷く叔父ちゃん。

 「スコープやカメラ、アーチェリーの弓なんかはダメなの?」

 「あぁ、基本的にこの世界に無い物は持ち込めないし、向うの世界に無い物は持ち出せないんだ」

 当たり前の事のように言われた。

 「爺ちゃんの銃の場合、女神の権能で持ち込めたから、銃弾はこの世界に有る物になっているみたい」

 意外とアバウトだな、あの女神様。

 「あ、そうだ。この前持ってきた弾、雷管に雷酸水銀使ってないから、掃除の回数減らせるよ」

 曽祖父ちゃんがホクホク顔になる。

 「何と! 便利な世の中になった物よなぁ」

 その仔犬の目を止めろってw

 そして多分、この次に来る時にはファインセラミックの作り方とダイヤモンドの加工の仕方の本を丸暗記してくるであろう叔父ちゃん。

 この人、本一冊位なら1時間もあれば完璧に暗記しちゃうのよね。だから「無駄な記憶力」と言われている。

 何か書いた書類も冶金工学やレンズ工学の本の丸写しみたいだし。

 まぁ、日本語で書いてある書類なんでこの世界の人間には読めないだろうから良いけど。

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