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狂宴  作者: 薄暮
4/13

夢現 #2

 ■■日

 ■.■ ■■:■■


「マサ!動くな!」

「そんなこと言ってられるか!どこかに、タクとサエコが居るんだぞ!」

「無茶だ!ただでさえ真っ暗な上に、こんな状況で2人を探せると思ってるのか!?2人だって、きっとどこかでじっとして…」

「じっとしていて、イカれた奴らに殺されたらどうするよ!?えぇ!?」

 うふふ…

「ま、また…」

「何だよ!さっきから人のこと、笑いやがって!」

 影が立ち上がる。

「お、おい行くな!言ったろ!?ここでじっとして、目瞑って耳を塞いでいれば…」

「ノブ、お前とは長い付き合いだが、失望したぜ。お前はもっと、根性がある奴だと思ってたんだけどな。そこに居たいなら、幾らでも居ろ!俺は2人を探すぞ!そして、このイカれた状況から守ってやる!」

 影が風を纏い、暗闇に紛れてゆく。

「マサ!待て!マサ!!」

「サエコ!タク!どこだ!?居るなら返事しろ!!」

 あはは…

 俺は目をぎゅっと瞑り、耳を両手で痛いほどきつく塞いだ。

 今野の叫び声はくぐもり、遠のいてゆく。

 きゃはは…

 この、この笑い声だけが、指の隙間を滑り込み、明瞭と耳の中で響く。

 何故、俺たちのことを笑う!?

 微かに聞こえていた今野の声は、怒号、悲鳴、呻き声へと変わり。

 途切れた。

 あっはははは!

 駄目だ。駄目だったんだ。

 きつく閉じた目の端から、幾筋もの涙が頬を伝う。

 暗闇と混乱と喧騒と狂気の中、、誰もが、唯一明瞭と聞き取れる声が、惨めに蹲り涙を流す俺を笑う。


 うふふ


 そして、依田信弘は目を覚ました。

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