夢現 #2
■■日
■.■ ■■:■■
「マサ!動くな!」
「そんなこと言ってられるか!どこかに、タクとサエコが居るんだぞ!」
「無茶だ!ただでさえ真っ暗な上に、こんな状況で2人を探せると思ってるのか!?2人だって、きっとどこかでじっとして…」
「じっとしていて、イカれた奴らに殺されたらどうするよ!?えぇ!?」
うふふ…
「ま、また…」
「何だよ!さっきから人のこと、笑いやがって!」
影が立ち上がる。
「お、おい行くな!言ったろ!?ここでじっとして、目瞑って耳を塞いでいれば…」
「ノブ、お前とは長い付き合いだが、失望したぜ。お前はもっと、根性がある奴だと思ってたんだけどな。そこに居たいなら、幾らでも居ろ!俺は2人を探すぞ!そして、このイカれた状況から守ってやる!」
影が風を纏い、暗闇に紛れてゆく。
「マサ!待て!マサ!!」
「サエコ!タク!どこだ!?居るなら返事しろ!!」
あはは…
俺は目をぎゅっと瞑り、耳を両手で痛いほどきつく塞いだ。
今野の叫び声はくぐもり、遠のいてゆく。
きゃはは…
この、この笑い声だけが、指の隙間を滑り込み、明瞭と耳の中で響く。
何故、俺たちのことを笑う!?
微かに聞こえていた今野の声は、怒号、悲鳴、呻き声へと変わり。
途切れた。
あっはははは!
駄目だ。駄目だったんだ。
きつく閉じた目の端から、幾筋もの涙が頬を伝う。
暗闇と混乱と喧騒と狂気の中、、誰もが、唯一明瞭と聞き取れる声が、惨めに蹲り涙を流す俺を笑う。
うふふ
そして、依田信弘は目を覚ました。