第1話 嘘
「アイリのことが好きだ!!!!!」
「はじめ・・・くん?」
目の前に、アイリがいた。
「はじめくん!!!!」
体が折れそうなくらい、メキメキと抱擁された。
いたい。
「ちょっとまて、ちょっとまて。痛いから!」
「ううん、離れない。だって、だって・・・。」
暑いものが流れ込んでくる。
そしてアイリの口が俺の耳元にくる。
「大好きだよ。はじめくん。」
俺は熱くなった。
何だか懐かしい。そんな気分になった。
「ねえはじめくん。唐突なんだけどさ、私と一緒にここから逃げない?」
「どうしたんだ急に。そういえばここはどこなんだ?」
聞くのを忘れていた。
「・・・ああ、ここは異世界・・・かな?」
「異世界?」
「そうだね、はじめくんには縁がないところだと思うよ。」
え?どういう事だろう。
「まっあ、どうでもいいじゃん!早くここから抜け出して、現実に戻ろうよ!」
いやだ。現実に戻りたくない。
「幼女と私、どっちがいいの?」
上目遣いで言われた。
・・・くっ。アイリの上目遣いはなかなかに破壊力がある。
「わかった。」
俺は・・・。
「現実に戻『ドォーン!!!』
なんだ今の音は?
「マサミさまあああああ!ロリコンらしき人を捕まえて来たっす!!」
・・・は?
「おいお前!邪魔するな!!」
・・・え?アイリ?
「はははははいっす!申し訳ないっす!!出ていくっすよ!!」
ここにいるのはアイリと俺だけだ。
ナニガオコッテルンダ?
「・・・ふははははははははは。こんな形で!こんな形で我の野望が消えるのか!!はははははははははは!!!!」
俺は今、どんな表情をしている?
「くそったれええええええあああああああああああ!!!!!!」