やったぜ。異世界
「ミヤ様! お怪我は――」
「うむ、大事ない」
トシノリが何とか女の子を抱えて岸に泳ぎ着けば、馬に乗った騎士っぽいお姉さんが駆けつけてきた。いや、後ろにはわんさか兵隊もいる。
「それよりどうじゃった? リーシャよ」
「はい。ミヤ様がおっしゃられた通り、レクトガ将軍と、カリア将軍の二人に違いないかと思われます」
「予想通りでは面白くないが……まあ、良い。二人は捕らえ、首を跳ねよ」
「はい」
物騒な会話の後、お姉さんは兵隊の中へ引き返していく。
「さてと……おぬし名は?」
「え、いや、俺ですか?」
「ほかに誰がおる? 阿呆か貴様は」
なんだこのロリ可愛くないぞ。いや、見た目は小麦色の褐色っ子だし、なんかふりふりの貴族みたいな服着ているし、かわいいけど。
「清原トシノリです」
「聞かぬ名じゃな……国は何処か?」
国? なんだこの子は? いやでも言葉は通じてるみたいだし、ああ、混乱する!
「えっと、日本ですかね……」
「にほん? それも聞かぬな」
「あの……私からも聞いていいですか?」
ハッ! 俺なぜロリに敬語を!
「よかろう。許す」
「ここって、その、ヨーロッパとかなんですか? 見た感じ」
「よーろっぱ? なんじゃそれは」
女の子は首をひねる。どうも違うようだ。
「じゃあ、確認するんですけど、地球ではあるんですよね?」
「ちきゅう?」
なぜそこでも首をひねる?!
「ここはハーベル皇国の南西、ハリス伯爵領じゃ。我らは、逆賊を討つべく伯爵に合流する――って、なんじゃその顔は?」
ロリの言っていることは、理解できん。だが一つだけ理解できることがある。
つまり、ここはヨーロッパでは無くて、地球ですらなくて――。
「やったああああああ! 異世界だーーーーッ!!」