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戦国転生物語  作者: 高野康木
激突!治安部隊編
20/27

十九話 川中島の合戦

やれやれ。

まさか、この俺が生徒のために動くとわ。

考えられないことだ。

これも、あの男に会ってからだな。

力は、強さの証。

刀は、強さの証明。

そう信じてきたんだがなーー。


「俺も、やきがまわったな」


知らない内に、笑っていた。

あの男は、守る力もあることを教えてくれた。

教える側だったのだがーー、まさか、上の人間、しかもガキに教えられるとはな。


「さてさて、頑張りますかな!」


生徒を守るためになーー。



ーーー




「気配がする」


義輝様がそう言った瞬間、壁が斬られた。


「何物ですか!?」


腰の刀を抜こうとしたが、その手を止められてしまった。

義輝様にーー。


「よぉ、バカ弟子共。師匠が遊びにきたぜ」

「卜伝。遊びにくるなら、門から入ってこい」

「いやいや、それだと追い返されるかもしれねーだろ?てか、お前ならそうするよな」


あいかわらず、ヘラヘラとしている。

しかし、私も義輝様もわかっている。

この男が、ヘラヘラとしていても、強いということを。


「何か用があってきたのだろ?まさか、わざわざ犯罪者になりにきた訳ではあるまい」

「特別警察を、出そうとしてたろ?」

「っ!?」


鋭い。

今まさに、出動させようとしていたところだ。


「やっぱりなー。そんな事だろうと思ったぜ」


いつの間にか、右手に持っていた刀が、さやに戻っている。

フー。

煙草の煙をはきながら、義輝様を見る。

わかる。

少しでも、特別警察を動かすように指示した瞬間、私達を殺すつもりだ。


「ここには、かなりの使い手がいる。お前一人では、なんもできんぞ」

「一人では、ありませんよ。二人です」


後ろに、千利休が立っていた。


「階段に、上等結界じょうとうけっかいをはらしていただきました。解くには、かなり時間がかかるでしょう」


まさか、潜入していたとわ。

まずい、私も戦わなくてわ。


「さがっていろ幽斉。私がやる」

「しかし!?」

「将軍命令だ」

「くっ!?」


いくらなんでも、この二人を相手にしたらーー。


「やっぱりやる気かよ」

「不思議なことだ。犯罪者になってまで、織田信長を守りたいのか?」

「信長というよりは、武尊のためなんだけどなーー」

「なぜだ。あの男に何がある?犯罪者になるほどの価値があるのか?」

「大切なことを、教えてもらったんだよ。力の使い方をなーー」


フフッ。

義輝様が、笑いながらーー。


「力は強さの証。刀は強さの証明。そう言ったのは、お前だろ?」

「そうだな。だが、あいつが違う力の使い方を教えてくれた」

「なんの力だ?」

「誰かを守る力だ」


義輝様の動きが、止まった。


「守る力だと?笑わせるな!!」


義輝様が、怒りをみせた。

あの、冷静な義輝様がーー。


「そんなちんけな力など、話にならんわ!みろ、貴様の言いつけを守った私を!!今や、この世界の将軍だ!!」

「まだまだだな。やっぱり、ガキのまんまだ」

「なんだと?」

「お前の邪魔をするかわりに、追試の特別授業をしてやるよ!」


塚原卜伝が、刀の鯉口を切る。


『惑わせ、幻刀まぼろしとう!!』


技名と共に、抜刀した。

しかし、抜刀したにもかかわらず、刃がない。

まるで、つかと、つばしかない刀のようだ。

だが、あの技は光の屈折により、術者以外に見えなくする技だ。

だからこそ脅威なのだ。

どれほどの長さかもわからないので、間合いもとりずらい。


「私は、あまり戦闘が好きではないのですがーー」


茶器を取り出した利休が、技名を言う。


『叩きつけろ、打金うちがね!』


茶器が、普通の刀になる。

しかし、何らかの能力があるのだろう。


「お前らなどでは、相手にならないことを教えてやろう。この、千林せんりんでな」


義輝様が、技名を言い、太刀の鯉口を切る。

すると、鞘から枝が無数に出てくる。


「私の実力を、思い知るがいい」


三人が、睨み合う。

義輝様の枝から、一枚の葉っぱが落ちる。

次の瞬間、三人が同時に動いたーー。



ーーー



あん?

なんだかなー。

久しぶりに実家に帰ってきたら、すぐに追い出されちまった。

どうやら、将軍の城で何かあったらしい。


「あぁー。あれのせいかよ」


道理で、貴族区が大騒ぎな訳だわ。

てか、これは大事件だろ。

なんせ、城のてっぺんが大きな木になってんだから。


「まぁ、私には関係ないんだけど」


しかし、暇だ。

学校に行っても、誰もいねー。

さらには、授業までしないなんて。

何がどうなってんのやら。


「しゃーね。そこら辺、ぶらつくかな」


背伸びをしていると、何人か男がこっちを見ている。

やべ、腹見えちまってるか?

どうも、スカートとかブラウスとか慣れないな。

一応、見てきた男共を睨みつけ、歩き出す。

すると、謙信が横をよこぎった。

あれ?

私の目の前を通ったのに、スルーしやがった。

何かに、追われてる訳でもないのにーー。


「なんか、怪しいな」


尾行してみると、学校の岩場訓練所に入っていく。

なんだ、自主練かよ。

そう思ったのだが、人目のつかないところで、携帯をいじりはじめた。


「もしもし、私ですがーー」


敬語を使う相手。

あいつに、そんな人いたか?


「木下武尊、真田幸村は、理事長室にいるようです。もしかすると、あなたの正体を知った可能性があるかもーー」


木下に真田?

なんだって、そんな話をするんだ。


「はい、おそらく、織田信長もくるでしょ」


なんだよ。

私の知らないところで、みんな何かしてんのか?


「了解。ーー全員抹殺します」


その言葉を聞いた瞬間、右手が動いていた。

軌道は、謙信の携帯ーー。


「なっ!?」


謙信には避けられたが、携帯は壊せた。

バゴン!

勢いあまって、岩にめり込ませちまった。


「信玄。なんの冗談だ?」

「私のほうがききたいね。抹殺とか、なんの冗談だよ」

「きいていたのか?」


そう言うと、チラチラと回りを見始めた。


「私しかいないよ」

「ーー驚いたな。普通は、何人かでくるものだろ」

「いらねーよ。お前を止めるのは、私一人で充分だろ?」

「止める?」


そうさ。

まさか、お前が裏切りなんてするとわな。


「どうして、クラスメイトを裏切ったんだ?」

「裏切り?お前がそれを言うのかーー。同盟破りのお前が」

「私のことはどうでもいい。どうせ、前世の私がしたことだろ?」

「確かに、前世のお前がしたことだな」

「それをいうなら、お前は変わったな。昔は、裏切りなんて、一番嫌いだった癖によ」

「ーーーー平和のためには、しなければならない時もある」


ぶちっ。

本当にそんな音がしたように、怒りが爆発した。


「人を殺そうとして、平和なんか言うなよ!今のお前に、その言葉を言う資格なんてねー!!」

「なぜ、そんなに怒っている?」

「私はな、お前のことが嫌いだった。だけど、お前の義をつらぬこうとする意志は、すごいと思ったーー」

「そう。それは、ありがとう」

「でも、今のお前には、それすらもない。だからーー」


右手を強く握りしめ、謙信を睨み付ける。

すると、謙信は刀の鯉口を切りーー。


「やめとけ。覚醒していないお前では、私を倒すことなどできん」

「覚醒しているお前にか?」

「ーー気づいてたのか。そうだ、私は覚醒している。だからーー」

「やってみないと、わかんねーだろ!!」


地面を蹴り、謙信の顔目掛けて、右ストレートを放つ。

流れるように避けた謙信は、抜刀して、私の脇腹を斬ろうとする。

なので、左ビザで刀の側面を蹴りあげる。

ガキン!

鉄を蹴りつけた音がする。

謙信の左拳が、私の腹にせまる。

あたる瞬間に、バク転の力を乗せた左足で、謙信の顎を狙う。

しかし、謙信は後ろにバックステップして、その攻撃を避けた。

少し距離が離れる。


「やるな。覚醒者でもないのにーー」

「お前こそ、その程度かよ。本気でこいよ!!」

「お前に、本気などだすか。このぐらいの力で、充分だ」


刀を抜き、正眼に構える謙信。

ずいぶんと、なめられたものだ。

私だって、覚醒してないなりに、いろいろ考えたのさ。

 

「なら、本気を出させるさ!」


地面を蹴り、一気に距離を詰める。


「無駄なことをーー」


謙信は鞘を捨てて、上段に構える。

間合いは、だいたいつかめた。

謙信が、刀を降り下ろす。

このまま突っ込めば、確実に斬られるだろう。

だがーー。

地面を、思いっきり踏む。

踏んだ足が、地面にめり込む。

ある意味の、急ブレーキ。


「なっ!?」


謙信は、攻撃をキャンセルしようとするが、いくら刀に慣れているからといっても、急に戻すことはできない。

この攻撃は、必ずあてるーー。


虎打覇こうは!」


刀を踏みつけて、技名と共に、右ストレートを放つ。

全身の回転力と、全体重を乗せたヘビーパンチ。

拳は、謙信の腹にあたる。

クリーンヒットだ。


「ぐわっ!?」


謙信は、地面に数回バウンドして、岩にぶち当たる。

ズーン!

砂煙で、謙信がどうなったか見えないが、あの真田でさえ、傷をおった技だ。

ダメージは、あるはず。


「なるほどーー。確かに、お前をバカにしていたらしいーー」


ジャリ。

砂を踏みしめながら、謙信が歩いてくる。

刀を拾い、髪をかきあげる。

そして、ゴムで結い始める。


「何してんだ?」

「んっ?あぁ、これはなーー。まぁ、本気を出す前準備のようなものだ。攻撃したければ、してもよいぞ」


ーー出来るわけねーよな。

なんか、攻撃をしてはいけない雰囲気だ。

まるで、神を見てるみたいだ。

これが、戦国時代の軍神ーー。


「攻撃をしないとはな、お前らしい」


ポニーテールを結い上げて、髪を揺らす。

すると、今度はYシャツのボタンを外しはじめる。


「ちょっ!?いくら女同士でも、それはヤバイぞ!!」

「心配するな。全部は脱がないさ」


第三ボタンまで外すと、胸についている何かを、引っ張り出す。

シュルルルルル。

風に流れていったのは、白い布。

どうやら、サラシを巻いていたみたいだ。


「すまないーー。こうなった私は、加減ができん!!」


ゴオオオオ!

突風と共に、謙信の全身から黄色いオーラが現れる。

これは、まさかーー!


能力圧のうりょくあつ!!」

「そうだ。我々転生者が、能力を使うときに使用する力ーー」

「だけど、これほどの能力圧なんて、見たことねーよ!!」

「それは、私が技を使えないからだ」

「はぁ!?」


技を使うのは、転生者の常識のようなもの。

しかも、覚醒者ならなおさらだ。真田の雷や、織田の炎も能力圧があるから、出せるのだ。

なのに、技を使えないなんてーー。


「はっ!まさか、だからそれほどの能力圧が!?」

「さすがに、戦闘の時は頭がいいな。私は、技がないゆえに、己を鍛えて、圧倒的な能力圧を手にいれた」

「まじかよ。じゃ、あの布はーー」

「そうだ、中級封印ちゅうきゅうふういんがしてある布だ」

「それで抑えてたのか。道理で、半覚醒くらいにしか、感じないはずだ」

「さて、お喋りはここまでだ」


口から出ていた血を、手の甲で拭いながら、謙信が言う。


「構えろ信玄。今の私の一撃は、半覚醒者でも危険だ」


その言葉をいい終えると同時に、目の前に謙信が現れる。

飛び上がりながらの、降り下ろしーー。

これは、まずい!!

ドゴーン!!

爆音が響き、地面が放射状に陥没する。


「はぁ、はぁ、はぁ!」


岩に指をめり込ませて、へばりつく。

なんて一撃だ!

避けきれずに、右肩部分の服が消し飛んじまった。

少し、肩も切れてるなーー。


「すまない。辱しめるつもりは、なかった」


はっとした時には、すでに後ろに立っており、横一文字を放つ。

軌道は、私の首ーー。


「っ!?虎打覇!」


岩に左拳を叩き込んで、岩を陥没させる。

陥没の影響で、謙信のバランスが崩れた。

私の髪の毛を少し切り、なんとか避けた。


「たく、でたらめな力だな!!」

「私もそう思う。だから、次で終わらせるぞ!」


二人で、地面に着地する。

すると、謙信の姿が消えた。


「ーーさぁ、これで終わりだ」


後ろに現れ、横一文字でくる。

避けようとした時、足を踏まれた。


「しまっ!?」


峰打ちが、私の腰にめり込む。

べきべき!

あばらの骨が、折れる音がする。

口から吐血して、吹っ飛ばされる。

ドゴーン!


「ぐはっ!」


ボタボタと、口から血が落ちる。

やべー。

どうしょう。


「これでわかったろ?お前では、私を倒すことができないんだよ」


謙信が、歩いてくる。

情けないことに、力が入らない。


「あの時もそうだ。お前は、絶対に諦めなかった」

「川中島の合戦か?懐かしい話だな」

「五回もやりやったからな。さて、お前はこれで諦めてくれるか?」

「そんなことーー、諦めるわけねーだろ!!」


サク。

腹に、何かが刺さった。

視線を下に向けると、刀が見えた。

私の腹に、突き刺さっている。


「だろうと思っていた。さらばだ、甲斐かいの虎」


刀を抜き、振り返らずに歩き出す。

謙信の背中が、遠くなっていく。


「まっ、待てよーー。まだ、まだ、負けてねーよ!」


か細い声しか出ない。

結局、あいつの目を覚ませられなかったーー。

なんて、無力だーー。

涙が、溢れてくる。


「私が覚醒していたら、謙信を止められたのにーー」

「やれやれ、ヒーローになるつもりは、なかったんだけどな。少し、遅れちまった」


私の前に、武尊が立っている。

幻覚か?


「本物だよ。なんなら、触ってみるか?」

「ははぁ。なんだよ、ずいぶん元気だな」

「お前は、瀕死だな信玄」


なんだよ。

今更、何しにきたんだよ。


「お前の、力を引き出しにきた」

「そうか、お前には強制覚醒の力がーー」

「俺も、恥ずかしいからな。お前も、我慢しろよ」


なぜか近寄ってくる武尊。

お前!?


「まっ!?待てよ!私だって一応女なんだぞ!!」

「わかってるよーー」


わかってねーよ!

しかし、その言葉は言えなかった。

なぜなら、唇を塞がれたから。

唇でーー。

私のファーストキスがーー。


「さぁ、後はお前次第だ」


ドックン。

心臓から、何かが溢れてくる。



ーーー



ズン!

地響きがした。

なんだ?


「信玄か?まさかなーー」


ドーン!


「なっ!?」


あの巨大な岩が、崩れさった。

いったい誰がーー。

煙から、誰かが出てきた。


「木下武尊!?」


名前を言うと、武尊は苦笑いしながら、岩の上に座る。


「よぉ、謙信。私も、やっとお前と同じ力を得たぜ」


まさかーー。

完全覚醒している!?


「代償は、デカかったけどな。私のこと、嫁にしろよ武尊!!」

「考えておくよー!」

「まったく、ふざけたやり方だぜ。だけどーー」


金髪から、赤髪に変わる。

虎に、牙が現れたのだ。


「気分は、最高だぜ!」


地面を蹴り、砂ぼこりが巻き上がる。

速い。

先程よりも、断然速い。


「くっ!?」


刀の腹で、拳を受け止めるが、一撃も重くなっている。


「どらぁ!!」


押し負ける。

直感が、そう告げてきた。

刀で、軌道を反らし、後ろに飛ぶ。

ドゴーン!

地面がえぐれて、破片が回りに飛ぶ。

刀で弾きながら、反撃にでる。

横一文字で、信玄の首を狙うがーー。

ガキン!

刃が、通らない!?


「なんだ?腑抜けた攻撃をするなよ!!」


刀を掴まれて、真横に投げ飛ばされる。

なんという威力だ。

刀を地面に刺して、スピードを落とす。

ズガガガガ!

かなりの距離を飛ばされたが、岩には激突せずにすんだ。

しかし、刃が通らないとわ。

どのような能力だ?


「威力を削る技か?しかし、それなら少しは傷がつくはずーー」


そこで、あることに気づいた。

斬りつけた時の音だ。

あの音は、鉄同士がぶつかった合った音。

まさかーー。


「そうかーー、お前の能力は、体を鉄に変化させる能力か」

「惜しい。鉄じゃーないんだよな」


鉄ではない?

どうゆうことだ。


「鉄より硬い。金剛同化こんごうどうか、それが私の能力だよ」


金剛だと!?

ダイヤモンドと、同じ硬さだ!!


「さてと、本気でこいよ謙信。下手すると、死ぬぜ?」


右脚が、私の腰に決まる。

なるほどーー。

これは、確かにやばいな。

何発もくらえば、かなりの致命傷になる。

こうなれば、一撃にかけるしかない。


「同じことを考えてるな、謙信」

「そのようだなーー。それでは、一撃にかけさせて

もらう!」


全身の能力圧を、刀にこめる。

信玄も、右拳を握りしめている。


「私に、斬れぬ物はない!!」

「私の体に、傷をつけてみろよ!!」


同時に飛び出す。

数十メートル離れていた距離が、一気になくなる。

刀の先端が、信玄の右拳にあたる。

ガキン!

貫けないが、信玄も傷をおわない。

これが、最強の矛と最強の盾が、ぶつかった時におこる現象なのだろう。


「はあああぁぁ!!」

「うおおおぉぉ!!」


あぁ、信玄ーー。

結局私とお前は、矛盾むじゅんの関係なのだよ。

わかり会うことは、できない!

信玄の拳から、血が一滴流れた。

いける。

確信を持ったとき、信玄の口に、笑みが現れた。


「お前が言ったとうりだよ。私は、裏切りが得意なんだ!」


拳が開き、刀を掴まれた。

信玄の左拳に、力が伝わるのがわかる。

まずい!?


「虎打覇!!」


左拳が、私の右脇腹にせまる。

全力の一撃だ。

口では、一撃にかけると言いながら、二撃目にかけるとわーー。

腰を少しひねって、威力を軽減するがーー。

威力が、強すぎる!!

あたった瞬間、爆音と共に視界が見えなくなるーー。



ーーー




ドーーーン!

爆音と共に、風圧が俺の顔をたたく。

二人の姿が見えなくなり、回りの岩が崩れさる。


「おっとと!」


俺の座っていた岩が、崩れ始めた。

やりすぎだろ。

そう思ったが、信玄の思いを考えると、仕方ないと思う。

校長の話をきいてから、理事長が、謙信さんの能力圧を探しだして、見つけてくれた。

しかし、その時はすでに、信玄の能力圧がなくなりかけいたらしい。

理事長は、一人だけなら瞬間移動することができると言って、俺と幸村ちゃん、どちからが行くかきいてきた。

俺は、幸村ちゃんがいいと言ったが、幸村ちゃんは、俺に行けと命令してきた。


「なんで命令口調なのよ」


そう訪ねたが、問答無用の蹴りで、黙らされた。

幸村ちゃんなりに、理由があったらしい。

それは、俺に強制覚醒の力があるからだ。

俺に決まると、理事長はすぐに技をかけてくれた。瞬間移動すると、信玄の目の前に現れることができた。

あとは、無理矢理にでも覚醒させるだけ。

しかし、どうにかならないのかなーー。

どうして、口づけをしないといけないんだよ。


「おっ、煙がなくなってきたな」


煙がはれると、信玄が倒れていた。

大の字でーー。

岩から飛び降りて、信玄の元にむかう。


「あぁ、武尊かーー。なかなかのもんだろ?私の力もーー」

「かなりやばいね。足場が悪くなってるわ」


そう言って、信玄にブレザーをかぶせる。


「なんだこれ?」

「お前が下着姿だからだよ。少しは、恥じらえや」

「そうか。私には、関係ないことだな」

「関係あるわ!」

「見たきゃ、見ればいいさ。私は、少し寝るぞーー」


イビキをかきながら、本当に寝てしまった。

よほど、疲労したのだろう。

だからといって、下着姿で寝るか、普通。

がこん!

音がしたので、後ろを見ると、謙信さんが現れた。

こちらは、腰のあたりの服がはじけとんでいた。


「信玄ーー」

「すごい威力だな。制服をちぎるなんて」

「木下武尊かー、私の負けだよ。まさか、お前が来るとは、予想できなかった」

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