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戦国転生物語  作者: 高野康木
戦国武将編
2/27

一話 不幸すぎる

辺りが光りに包まれた瞬間、身体が下降する感じにおそわれた。


「うわっ!」


あまりの速さに、少し恐怖するが、光りのおかげで、それほど怖くわなかった。

もし、これが真っ暗だったら・・・・・・。

いや、想像するだけで恐ろしい。


かなりの深さまで行くらしい。

止まる気配が、まるでないのがその証拠だ。


「あれ、もしかして、俺海の中に沈んでんのか?」


よくよく考えてみると、船の上から下降してんるんだから、俺は海の中を通ってることになるのだ。

すると、急に下降が止まった。


「うわっとと!」


急に足が、地面についたので、少しよろけてしまった。

光りが、少しずつ消えていく。


「えっ!?」


変な声が出でしまった。

しかし、仕方ないだろう。

何故なら、足下にはタイルでできた道があるが、裏道などは、土の道だ。

さらに、見える限りの家々はみな、江戸時代のような作りになっていた。

時代劇を見ている感じだが、あることに気づいた。


「和服の人があまりいないな。てか、洋服を着ている人の方が多いぞ」


もしも、和服を着ている人しかいなかったら、タイムスリップしたと思っただろう。

しかし、洋服を着ている人もいるし、制服を着ている学生も、ちらほらと見えるので、タイムスリップではないとわかる。


「なら、ここはどこなのだ?」


一人で考えていると、船のじいさんの言葉が思い浮かぶーー。

お前が、暮らしていた世界とは別物じゃわい。


「そうか!ここは戦国島なのか」


やっと、場所がわかったところで、俺は歩き出した。

場所がわかったなら、今度は目的地を探すのだ。


「えーと、確かこの辺にーー」


バックの中で、祖母の家までの道のりの地図を探す。

探している最中、ここは市場のようなので、商人と客の声がものすごい聞こえる。


「うわーん。待ってよー市!」


だからだろう。

女子生徒が、俺の方に近づいてくるのに、気がつかなかったのはーー。


「きぁ!」

「うわ!」


地面につまずいたらしい女子生徒が、俺にぶつかってきたのだ。

ドンッ!

あっ、意外に痛かった。


「あっ!ごめんなさい!!」

「いえいえ、こっちらの方こそよそ見していたものですから」


頭から、俺の胸にあたってきた女子生徒が、ものすごい勢いで謝る。

こちらも、地図なんか見てたのが悪いんだから、そんなに謝れても困るんだがーー。


「あっ!!」


女子生徒が、驚いた顔で、俺の胸を見ている。

どうしたんだ?

そこで俺も、やっと気づいた。

なんと、彼女が持っていた何かが、俺の胸にめちゃくちゃかかっていたのだ。


「うわーん!ごめんなさい!!」

「あっ、いや大丈夫ですよ」


苦笑いしつつ、女子生徒が持っている物を見る。

どうやら、買い物帰りだったようだ。かなりの食べ物を両手に持っている。

その中の味噌が、俺の胸についたらしい。

しかし、服なら洗えばなんとかなるさ。

それよりも、この子に地図を見せて教えてもらった方が得ーー。

そこで、俺はやっと気づいた。

俺の手の中にある地図が、味噌だらけで見えなくなっていたことをーー。


「あぁー!!」

「ひゃ!?」


女子生徒が、いきなり大声をあげた俺に、驚きの声をあげた。

しかし、そんな事を気にしている余裕などない。

味噌を落とそうとしたが、どうやら読めるものではなくなってしまったらしい。

もともとが、家の倉庫にあった古い地図だ。寿命がきたのだろう。

しかし、味噌で留めをさされるとはなーー。

ついてないなー。


「あのー、本当にごめんなさい」


今にも泣き出しそうな顔で、女子生徒が、ショックで石化した俺に、謝ってきた。


「だ、大丈夫だよ」


実際、背中に冷たい汗が流れた。


「あぁー!姉ちゃん何してんだよ」


すると、俺の後ろから男の子の声がした。


「うわーん、市!!」

「あぁーあ、姉ちゃんのドジが炸裂したのかよ」


どうやら、男の子は、この女子生徒と姉弟らしい。


「すいません。家の姉はドジッ子なんすよ」


申し訳ない、と言った感じに謝る男の子。


「えーと、服は弁償しますんで」

「いや、服は大丈夫なんだよね」


さりげなく、地図に視線を落とすとーー。


「あれ、もしかして上の人すか?」

「上?」


何の話だ?


「やっぱり、上の人すね。あぁ、上って言うのは、あなたが住んでいた所の事を言うんすよ」


そう言いながら、ホットしたように笑顔を浮かべる男の子。

どうやら、こちらに住んでいる人達は、俺のように外からきた人間のことを、上からきた人と言うらしい。

実際、船からここに来るのに、下降してる感じがあったので、あっているといえば、あっている。


「うん、実はそうなんだよね。だからここのこと全然わからないんだよね」


素直に、そう言うとーー。


「なるほど。その手に持っている味噌まみれの物は、地図か何かすね?」


おぉ、この子鋭い。


「そうなんだよ」

「やっぱり」


納得したように、首を縦に振る男の子。


「どこに行こうとしてたんすか?」

「木下って言うおばあちゃんの家なんだけど」

「木下って、木下おばあちゃんの家かな?」


どうやら、女子生徒の方は、祖母の家を知っているらしい。


「たぶん、その人だ」

「なんだ、姉ちゃん知ってたのか」


そう言うと、何か閃いた顔をする男の子。


「それじゃ、そこに案内しますよ」

「えぇ!いいのかい?」


もちろんすよ。と言いながら、胸を叩く男の子。


「じゃ、まずは自己紹介すね。俺の名前は、織田市方おだいちかたす」


市くんと言うらしい。


「そんで、こっちが」

「あっ、織田信長おだのぶながです」

「どうも、木下武尊です」


うん、変わった名前だな。


「変わった名前ですけど、仕方がないんです」


どうやら、彼女ーー。信長ちゃんも自分で気づいているらしい。


「まぁ、この世界じゃ珍しくないんすよ」

「えっ、そうなの?」

「そりゃ、そうすよ。だってここ、転生世界は、昔の人達が転生するところすから」


・・・・・・。

はい?


「えっ、ごめん。どうゆうこと?」

「いや、だから」


そこで、市くんは言葉を区切り。

ありえないことを、言うのだった。


「ここは、過去の記憶を持った人達の世界なんすよ」


嘘だーー!!

俺の頭は、真っ白になってしまった。

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