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戦国転生物語  作者: 高野康木
激突!治安部隊編
17/27

十六話 戦国学園に!

息をつきながら、家の裏に隠れる。

なんで、こんな隠れながら生きないといけないんだよ。

ため息をついて、三ツ屋で買った団子を食べる。

これは、本当に美味しい。

姉ちゃんが、家族に期待されすぎて、潰れそうだった俺を助けてくれた時の、味のまんまだ。


「姉ちゃん。無事だよな?」


串を捨てて、空を見上げる。

そろそろ、別れてから三日はたったはずだ。

武尊先輩なら、なんとかしてくれるか。

思えば、姉ちゃんが良く笑うようになったのは、武尊先輩に合ってからだった。

まるで、前世にいた時の頃みたいに、あの二人は似合ってた。


「そういえば、俺ーー。姉ちゃんに剣術で勝ったことねーな」


姉ちゃんは、家族にどこか期待されたかったのだろう。

だからか、姉ちゃんは剣術だけずば抜けて強かった。

けれど、それすらもやめてしまった。

家族が、姉ちゃんにかまわないからだ。

だから、自分の家の流派まで使わなくなってしまった。

あんなにも、努力していたのに。

でも、それすらも武尊先輩は解放した。

もしかしたら、出会うべきして出会ったのかもしれない。


「ずいぶん。余裕じゃない」


屋根の上から、女の声がした。

嫌な気配。

即座に立ち上がり、扇子を構える。


「久しぶりね、市」


そこには、治安部隊の人間がいた。

姉ちゃんが、俺に気おつけろと言ったーー。

前世の元夫ーー、浅井長政だ。


「やれやれ。出会いたくはなかった相手だぜ」


頬に、冷や汗が流れた。




ーーー



あれ?

私は、いつの間に変わっていたのでしょうか?

最近は、無意識に変わってしまう。


「信長様。お目覚めですか?」


光秀が、拳銃を抱えて言います。


「はい。それより、式神さんはどこえ?」

「あいつなら、帰りましたよ」


そういえば、竹中さんは具合が悪かったのでしたね。

それでは、戻るのも仕方ないと言えば、仕方ないですか。


「武尊は、無事でしょうか?」


そうだった。

武尊君は、私を逃がすためにーー。


「武尊君なら、大丈夫ですよ」


あの人が、死ぬなんてありえませんから。

すると、光秀が拳銃を構える。


「何者かの気配がします」


まさか。

もう、ここがばれたのでしょうか?

そうなら、いくらなんでもーー。


「早すぎるーー」

「ええ。それに、囲まれそうです」


光秀が、舌打ちをして言います。

囲まれるなら、いっそ攻撃したほうがいいですね。


「どうなさいますか?」

「撃って出ましょう。囲まれるよりはましです」

「しかし、行く宛もなく外に出るのはーー」


光秀が、心配そうな顔で言ってきます。

でも、行き場所なら決まっています。

治安部隊を作った人物の元にーー。


「光秀、援護を頼みます。向かう場所はーー」


大きく息を吸い込みーー。


「戦国学園です!」




ーーー



俺は、目を覚ますと同時に寒いことを感じた。


「あれ、なんで裸なんだ?」


正確に言うと、パンツだけはいている。

追い剥ぎにでもあったのか?

しかし、部屋の中を見ると、制服が干してある。

女子制服と共に。


「えーと。ここはどこ?」


なんか、頭が真っ白になり、そんな事を言う。


「私は誰ーー」

「何バカなことを言ってるのよ」


入口から、着物姿の幸村ちゃんが言う。

珍しく、ツインテールをしていない。


「なんで、俺はこの姿なんだ?」

「私が着させなれなかったのよ。かわりに、布団をかけておいたでしょ?」


なんだそれは。

かわりに布団でも、寒いことは寒いんだぞ。


「なんで着物きてんの?」

「服がなかったのよ。まさか、川に落ちるなんて思わなかったわ」


なんだろ?

幸村ちゃんって、着物きてると大和撫子みたいだな。


「俺の服は?」

「干してあるじゃない」

「乾いたのかな?」

「濡れててもきなさいよ。あんた、着るものないんだから」


やっぱりな。

そんな気がしていたさ。

渋々制服をきて、座布団の上に座る。


「はい。今朝取ってきた魚よ」

「ありがとう」


焼き魚を食べながら、前世のことを思い出す。

そういえば、幸村ちゃんは覚醒状態になってるんだけ?


「幸村ちゃん」

「何よ」


お茶を作り、それを飲む幸村ちゃん。


「俺が寝てる時に、何かした?」

「ぶうー!!」


幸村ちゃんの口から、お茶が勢いよく飛び、俺の顔面にかかる。

なんなの?


「なっ、なんでそんなこときくのよ!」

「いや、変な夢見てさ。少し、気になっただけだよ」


顔を真っ赤にして、幸村ちゃんが慌て出す。

これは、俺になんかしたな。


「答える前に、あんたに聞きたいことがあるんだけど!」

「なんだよ?」


すると、人差し指で地面にのの字を書きながらーー。


「すっ、好きな人とかいたり、いなかったりするの?」

「はっ?」 

「だっ、だから!すっ、好きな人とかいるのってきいてんのよ」


なんだこの幸村ちゃん。

妙におとなしいというか、弱々しいというかーー。

とにかく、よくわからん。


「変なものでも食べたの?」

「いっ、いいから答えなさいよーー」


涙目になるくらいなら、きくなよ。

そう思ったが、なんか、顔を真っ赤にして、さらに涙目で上目遣いとくると、いつもより倍可愛く見えてくる。


「いっ、いないけど」


こっちも、顔が赤くなりそうだったので、そっぽを向きながら言うとーー。


「そっ、そうなの!?」


身を乗り出しながら、俺に近づく幸村ちゃん。


「じゃ。私をお嫁さんにしなさいよ!」


うん?

なんだって?


「待ってくれ。もしかして、告白してる?」


すると、幸村ちゃんは俺を至近距離で見ながらーー。


「違うわよ!これは、決定事項なのよ!!」


なぜか、嬉しそうに言う幸村ちゃん。

なんか、ヤバイ展開になってね!?


「待てよ幸村ちゃん!!なんで、そんな結婚とかの話になるんだよ!!」

「何よいまさら!私はもう、あんた以外にお嫁に行けないのよ!?」

「なんでだよーー!俺が幸村ちゃんに、何をしたんだよ!!」


すると、いきなり黙りこむ幸村ちゃん。

そして、顔を下にむけてしまう。

どうしたんだろう、と思っているとーー。


「したじゃないーー。人の唇まで奪ってーー」


顔から血の気がひく。

えっ、唇?


「なっ、何言ってんの?俺は、幸村ちゃんの唇なんて奪ってないよ?」

「それだけじゃ、ないわよーー」


そう言いながら、また上目遣いでーー。


「かっ、身体だって、抱いた癖にーー」


ガラガラガラ。

俺の頭の中で、正義魂がくずれる。


「ちょっ!勝手なこと言わないでーー」


くれーー、とは言えなかった。

今さっきの、自分の姿ーー。

絶対ないとは、言い切れない格好だった。


「ごっ、ごめんなさいーー」


その場に正座して、切腹しようとしたが、この剣は刃を見せてくれない。

なんということだ!死ねぬとは!!


「べっ、別にいいわよーー、終わったことだし。とにかく、私の身体は汚れたのよ。だから、お嫁さんにしなさいよ!」

「わかりました!責任なら取ります!!」


そうだよ。

男なら、責任とらないと!

しかし、ここで疑問が出てきた。

なら、なぜに制服が干してある?

だって、俺は気を失っていたはずなのだ。

だから、服を自分で脱ぐことなどできない。

寝ながら脱げるか?

いや、できないな。

あれ、そう考えるとーー。


「私は側室なんて嫌よ。正妻がいいの。だから、側室を持つのは許してあげるけどーー」

「幸村ちゃんーー」

「何よ。私の両親なら会わなくていいわよ?」

「いや、違くてさ。俺ーー、どうやって服を脱いだの?」

「はっ?そんなの決まってるでしょ。私が脱がしたのよ」


おい。

おかしだろ!!


「なんだよ!!ドッキリ!?」

「はっ?」

「てっきり、俺が酷いことしたのかと思ったよ」


なんだ。

マジで焦ったぜ。

ということは、幸村ちゃんが俺を襲ったのか。


「何のんきにしてんのよ!反省するつもりないわけ!?」

「えっ?幸村ちゃんが俺になんかしたんだろ?」

「違うわよ!!私はあんたを助けたのよ!!」


それから詳しくきいてみると、幸村ちゃんは、俺を助けてくれたらしい。

全く、ややこしい事をしてくれるな。


「つまり、俺は死ぬところだったんだな」

「そうよ。だから、感謝しなさいよね」


少しむくれながら、幸村ちゃんが言う。

しかし、問題はーー。


「これから、どうすればいいんだ?」


すると、幸村ちゃんが意外な事を言う。


「戦国学園に行くわよ」

「なんで!?」

「決まってるでしょ。問い詰めに行くのよ」

「まさかーー」


俺の顔から、血の気がひく。

同時に、幸村ちゃんの顔が悪い笑顔に染まる。


「治安部隊を作った人物。腐れ校長を問い詰めにねーー」


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