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戦国転生物語  作者: 高野康木
戦国武将編
11/27

十話 学園タッグバトル!

どこか話せる場所ー。

家くらいしか浮かばなかったが、信長ちゃんもいるし、なぜか最近幸村ちゃんもいる。

なので、三ツ屋にすることにした。

のだがーー。


「あっ、あっ、あの!ここここに、入るんですか?」


なぜか、入り口で怯える半兵衛ちゃん。

ついさっき、俺を負かした相手とは思えない。


「どうしたのさ?早く入ろうよ」

「ひ、人が多いです!!」

「少なかったら、この店潰れちゃうよ」

「そそそ、そうですけどーー」


まるで、悪役に指命された時の子供みたいだ。

人が嫌なのかな?

でも、俺とは普通に話してたよな。


「怖くないよ。ほら、おいで」


手招きをして言うが、怯えた半兵衛ちゃんは動かない。

そして、涙目になる。

な、なんでや!


「嫌ねー。あんな小さな子供を」

「新手の誘拐犯かしら?」

「こら、目を合わせちゃダメ!」


もしかしなくても、変態に見られてる。

確かに、涙目の子供を無理呼んでいるように見えるか。

仕方ない。


「それじゃ、違う所にしょうか」


半兵衛ちゃんに向かって、そう言うとーー。

申し訳ない顔をして、頭を下げるのであった。


「ごめんなさい」

「いや。大丈夫だって」


結局、いいところが見つからず、商業区のはずれにある丘の上に座ることになった。

まるで、ピクニックだな。


「あの、教えてほしいことがあるんですけどーー」

「うん?」


「なんで、下駄箱の時私の事を助けてくれたんですか?」

「困ってたから」


そう答えると、半兵衛ちゃんは予想外な顔をして、クスクスと笑いだした。

おかしなこと言ったか?


「変わってますねーー。武尊さんわ」

「普通でしょ」


そう言うと、納得した顔で半兵衛ちゃんがーー。


「織田さんと真田さんの気持ちーー。わかるような気がします」

「どうゆうこと?」

「武尊さん」


半兵衛ちゃんが、真剣な顔をする。

どうしたんだろう?


「何があっても、武尊さんはそのままでいてください」

「うん。そのままに生きるよ?」

「それなら、いいです」


いつもどうりの笑顔を、浮かべて言う半兵衛ちゃん。

すると、今度は言いにくそうにーー。


「実は、悩みがあるんですーー」


悩み?

半兵衛ちゃんが?


「俺でよければ、相談にのるけど」

「ありがとうございます。実は私ーー」


なんだ?

狙われてるとか?

それとも、好きな人がいるのか?

後者なら、アドバイスできないぞ。

市くんでも、紹介させてあげることしかできない。


「人が、あまり得意じゃないんですーー」


ーーーー。

えっ?

人が得意じゃない?


「えーと、どうゆうこと?」

「この年になるまで、私は外に出たことがないので、知らない人とか怖くてーー」


なるほど!

だから、三ツ屋に入りたがらなかったのか。

あれ?でもーー。


「俺とは、普通に話せてるよね?」

「はい」

「なら、大丈夫だよ」


そう言うと、半兵衛ちゃんは首を横に振る。


「武尊さんは優しい人だから、話せるんです」

「まぁ、他の人も優しいとは限らないけど」

「前世でも、そうでした。皆さん、自分の欲望のために私に仕官をしてほしいと、頼んできてました」


これほどの、智力があるんだから、わからなくもないけどね。

でも、やだよなーー。

俺だったらやだね。


「私は、前世で間違いをおかしてしまいました。人を見る目がなかったんです。私が、あの人に仕えなければ、あの人はあれほどの欲を持つこともなかったはずです」

「あの人?」

「はい。私が、彼に智力を貸してしまったから、明智さんはーー」


そこまで言うと、口を閉じてしまった。

明智ーー。

どうゆうことだ?

前世に、何があったんだ?


「あの、武尊さん」


考えていると、半兵衛ちゃんが、何かをポッケから取り出した。

綺麗な、水晶玉のブレスレットである。


「これを、受け取ってください!!」

「えっ?いいのかい?」


なんか、すごく顔を真っ赤にしながら渡してきてるけどーー。

大切な物じゃ、ないのかな?


「これは、私の力を引き出すための物です」

「ええ!!なら、貰えないよ!」

「いえ、私が持っていても、効果がないんです」

「そうなの?」

「はい。その、あの、異性の方が持っていないとーー」


変わった、効果なんだな。

自分が持っていても、意味がないなんてーー。


「そ、それに、お母さんが言ってたんです。自分にとって、大切な男の子にあげなさいって」


真っ赤になって、言ってくれてるのはいいんだけど、最後らへん聞こえなかったんだけどーー。

まぁ、ここまで真剣に言ってくれてるんだしな。


「わかった、ありがと」


そう言って、ブレスレットをもらった。

さて、タッグ戦のことも考えてなくちゃいけないけどーー。

半兵衛ちゃんの、人嫌いもなんとかしないとな。


「そうだ!半兵衛ちゃん!!」

「はっ、はい!!」

「暇なら、家においでよ」



ーーー



はわわ!!

ど、どうしましょ!!

武尊さんのお家に行くなんて!

これって、あれですよね。

わ、私なんかで大丈夫なんでしょうか?

自分の身体を見てみるが、どうにも自信がわかない。

自分より、織田さんや真田さんの方が可愛いと思いますけどーー。


「どうしたの?半兵衛ちゃん」

「はえ!!」

「身体でも、痛いの?」

「いっ、いえ!大丈夫ですよ!!」

「なら、いいけどーー」


どうも、武尊さんは余裕があります。

やっぱり、格好いいですから、そうゆう経験が多いんでしょうか?

あぁ。成長しない自分の身体が、憎いです。


「さぁ、ついたよ半兵衛ちゃん」


武尊さんのお家に着いちゃいました。

うぅぅ!

下着とか、大丈夫ですよね?

き、緊張してきました。


「ただいまー!信長ちゃん、市くん!」

「・・・・・・」


えっ?

織田さん?

どどど、どうゆうことですか!?


「お帰り武尊君。あれ、竹中さん?」

「姉ちゃん飯はー?」

「あら、竹中じゃない」

「幸村ちゃん。まだいたのかよ」

「悪い!」

「悪くは、ねーけどさ」


なんか、乙女の気持ちを裏切られた感じです。



ーーー



半兵衛ちゃんが、落ち込んでる。

どうしたんだろう?

家が、合わなかったのかな?


「いやー、家がせまくなってくるなー!」

「なんで、嬉しそうなの?市くん」

「いや、姉ちゃんも大変だな!」

「市!!」


家の食卓は、賑やかだな。

半兵衛ちゃんも、元気を取り戻してくらたし。


「武尊先輩!」


市くんが、小声で俺を呼ぶ。


「なんだい?」

「なんで、竹中を呼んだんすか?」


そうか。

市くんとは、同い年なんだな半兵衛ちゃん。


「いや、気まぐれだよ」

「武尊先輩。嘘つくの下手くそですね」


なっ!やかましいわ!!

でも、半兵衛ちゃんがこれで、少しは人を好きになってくれるといいな。




学園タッグバトルの日がきた。

あれから、作戦などを練ろうとしたのだがーー。


「作戦なら、私が考えておきます。武尊さんは、そうゆうのには、向かないと思いますので」


そう、半兵衛ちゃんに言われてしまった。

まぁ、彼女の智力なら大丈夫だろう。

俺らの決戦の場所は、都市訓練所だ。

まわりが、高層ビルに囲まれている。


「緊張しているのか?小僧」


右隣から、チュー助が言う。

こいつは、いつの間に人の隣にーー。


「なに。緊張することはない。死ぬ事のない合戦だと思え」

「そうは、言っても緊張するさ」

「・・・・・・」


半兵衛ちゃんは、俺の左隣にいて、先程から前を向いたまま黙っている。

最近わかった事だが、これは半兵衛ちゃんが考える時の癖だ。

戦闘開始の合図が聞こえた。


「ホラ貝の音ーー。主、始まりました」

「半兵衛ちゃん」

「・・・・・・」


しばらく静寂に包まれるーー。

その静寂を破ったのは、鷹の声だった。


「姫!真田と武田が動きました!!」

「了解です」


待っていたとばかりに、半兵衛ちゃんが微笑む。


「策があります。チュー助さん」

「はっ!」

「武尊さんに化けてください」

「おまかせを!」


その言葉と同時に、チュー助が俺に変わる。

なんか、自分を見てるのは嫌な気分だな。


「チュー助さんは、真田さんを誘き寄せてください」

「了解」

「誘き寄せた後は、どこ建物でも構いません。得意技で倒してください」

「しかし、真田はかなりの使い手です。一撃で倒せるかーー」

「その心配は、ありませんよ。武尊さん」


半兵衛ちゃんが、俺の方を向く。


「お願いします」

「了解!任せとけ!!」


半兵衛ちゃんから、もらったブレスレットを握りしめて、目をつぶる。

 



「これたな」


俺のいるところは、あの空間だった。

一つだけ違うのは、鎖が一つもないことだけだ。


「おお!君は本当にすごいね!!」


姿の見えない奴の声。

なんか、慣れたな。


「お前、誰なんだよ。まじで」

「僕は君だよ」

「はい?どういう意味?」

「そのままの意味さ」


訳わからん。

もしかして、俺の闇の部分とか?


「あはは。それも、面白いね!」

「わかった。お前が誰かはもう聞かない」


おやおや、そうかい。と何故か、がっかりした声で言う。

なんかムカつく。


「さて。それじゃ、今回も僕の記憶を見せてあげよう」 


その言葉が終わると、一つの景色が頭に浮かぶ。

どこだろう?

わからないが、どうやら海の上にいるらしい。

そして、目の前には本陣がある。

ときの声が上がる。

教科書で聞いたことのある、人物の名前だ。

その人物の名前は、平清盛たいらのきよもり


「そ、そんな!?」

「どうしたんだい?」


ありえねー。

俺は、転生者だったのか?

でも、鎌倉時代なんてーー。


「不思議な顔をしてるね。ちなみに、この前の景色は、燃える寺だったね」

「や、やめろ!」


知らず知らずの内に、大声を出していた。

こんなこと、あるわけーー。


「真実から、目を背けるな!!」


はじめて、厳しい声を出す。

こいつ、こんな声を出せるのかーー。


「見せてあげるよ。君の心をねーー」


半兵衛ちゃんの門が、開かれる。

眩しさに、目を細めるとーー。


「後ろを見てみなよ」


その言葉どうり、ゆっくりと後ろを見てる。

そこには、信長ちゃんたちよりも大きく、何重にも鎖が巻かれていて、かろうじて扉だとわかる物があった。




「武尊さん?」


現実の世界に戻ってきた。

どうやら、半兵衛ちゃんは本気を出せるみたいだ。

このブレスレットは、半兵衛ちゃんの扉を開ける鍵のような物だ。

そして、あいつは最後にーー。


「扉の鎖は、拒絶の鎖だ。君は、真実から目を背けて、拒絶しているんだよ」


拒絶。

わからなくない。

俺は、いったい誰なんだーー。


「武尊さん!!」

「えっ!?ご、ごめんごめん。戦わないとね」


半兵衛ちゃんが、心配そうな顔をしている。

そうだよ、今はタッグバトル中だ。

集中しないとーー。


「では、我は行きます」

「頼みました。チュー助さん」


さて、信玄が相手か。

これは大変だな。


「見つけましたよ、武尊君」


突然、俺の下から声がする。

俺の足元は、マンホールだったが、マンホールに隙間ができていた。

そこから、銃身が覗いている。

拳銃は、コルトパイソン!!

ドン!

一発の銃弾が、俺の腹に命中する。

ゴム弾とは言え、糞いてーー!!


「げはっ!」


威力があり、後ろに倒れる。

半兵衛ちゃんが何かをしようとしたが、マンホールから疾風の速さで、謙信さんが現れる。


「もらったぞ!竹中!!」

「お願いします!鷹さん!!」


間一髪のところで、鷹の攻撃が二人の間に入る。

謙信さんは、舌打ちして間合いをとる。

その間に、信長ちゃんも出てきた。

まさか、地下を通ってくるとわ。


「やはり侮れんな」

「あなたも、あいかわらずの感の良さですね」


俺も、やっと立ち上がることができた。

謙信さんの感か。

半兵衛ちゃんの智力を、上回るなんてーー。


「武尊君。私が相手になります!!」


名刀、圧切長谷部へしきりはせべいを抜く信長ちゃん。

信長ちゃんが相手かーー。

すると、あることに気づいた。

そう、強くなっているのだ。

これは、半兵衛ちゃんを助けるには時間がかかる。


「やれやれ。困るよ信長ちゃん」


本気でいかないと、ダメになっちゃたじゃん。

その言葉を、俺の顔から察したのか。

嬉しそうな顔をする、信長ちゃんだった。




ーーー



武尊君が、本気を出してくれる。

あの顔は、そういう顔です。

しかし、竹中さんの智力は恐ろしいです。

始まる前に、上杉さんが鷹に気づいてなければ、罠を仕掛けられるところでした。

しかし、地下からきたのは正解でしたね。

そのおかげで、武尊君にダメージを与えることができました。


「いくぞ、信長ちゃん」


抜けない銀色の剣を持って、武尊君が言います。

ふー。

大丈夫。上杉さんとの戦いを思いだせば。


「いいですよ」


その言葉と同時に、遠くの方で爆発がおきました。

私が、一瞬隙を見せるとーー。

武尊君は、すでに間合いに入っていました。

これですか。

敵になって、始めてわかりました。

上杉さんが言っていた、武尊君の力の源。

どんなに遠くても、瞬く間に間合いを詰める。

刀では、間に合わない。

ですが、拳銃ならーー。

私は、左手に拳銃を持つと、斜め下に発砲しました。

その場所は、武尊君の足元ーー。

武尊君に隙ができたので、刀で武尊君の右手を狙います。

しかし、さすがの反射神経で、剣に受け止められてしまいました。

間合いを開けて、武尊君が抜刀の構えをとります。

ですから、私はーー。



ーーー



驚いたーー。

まさか、瞬神流の極意である、無限の一歩を防がれるなんて。

そんな事を思いながら、抜刀の構えをとるとーー。

信長ちゃんは、刀を垂直に立てて、右肩らへんで止め、左足を前に少しだす。

あの構えは、八相はっそうの構えだ。

俺の額に、嫌な汗が出てくる。

八相の構えとは、防御の構えといってもいい構えだ。

さんの先をとる瞬神流にとっては、天敵の構えである。

なんたって、八相は、の先だからな。

簡単に言うと、カウンター狙いだ。

師範は、八相の構えをとられたら、圧倒的な力と速さで倒せと言っていた。

しかし、信長ちゃんには不可能だ。

まず、俺のスピードは見切られてる。

先程の拳銃が、いい証拠だ。

力も、互角か少し勝ってるくらいだ。

ぜ、絶望的だな。

瞬神流には、八相破りの技もあるが、俺は未熟者だから知らない。

半兵衛ちゃんの方を見てみると、かなり押されていた。

当たり前か。

なんたって、半兵衛ちゃん自身はそれほど強くないのだ。

まずいな。

このままだと、謙信さんも相手にすることになってしまう。

とりあえず、突破してみるか。


「瞬神流行抜刀奥義、逆手切り!」


狙いは、信長ちゃんの腰だがーー。

刀に受け止められ、剣を巻き上げられてしまった。


織田流奥義おだりゅうおうぎ雫落ち」

「・・・・・・」


まったく、なんて綺麗な動きだーー。

俺のうしろらへんに、静かな音をあげて剣が落ちる。

まるで、雨の後の雫のようにーー。

巻き上げた格好のままなので、信長ちゃんは上段に構えている。


「降参、してくれますね?」


静かだが、きちんと覇気がこもっていた。

真剣な瞳は、まるで流れる水のように澄んでいる。

ははっ。どんな修行をしたら、こうなるんだかーー。

とりあえず、今いう言葉は決まっている。


「参りました。強くなったね、信長ちゃん」


そう言うと、柔らかな笑顔を浮かべてーー。


「はい。武尊君に驚いてもらうために、頑張りました」


こうして、俺らのクラスでは、上杉織田ペアの優勝が決まった。

ちなみに、武田真田ペアは、争っているところをチュー助の合掌でケンカ両成敗となった。

竹中半兵衛プロフィール


髪の色 白


性格 気が弱い


武器 十二支壁画


技 チュー助の合掌が、一番の威力


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