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雪の降るこの町で

作者: 九条 現

この物語は今から数十年前の話になる......

ある国の少女は

雪を見たことがなかった

というより、

雪がその国には降らなかった

彼女は温暖な気候の中で

生活をしていた

そのため

「雪なんて、みんな綺麗とか言ってるけど寒いから嫌い」

と、彼女は周りの子供達に言っていた

しかし、子供達は

「そんなことないよ、真っ白でとても綺麗なんだよ」

と言っていた

しかし、彼女はそんなことを聞き入れるわけが無く

身勝手な事ばかり言って

周りから

この娘はおかしい

と言われ続けてしまいました

彼女は

「それなら、この町に雪を降らせてみせなさいよ」

と、いつも強気で言っていた

もう誰も

彼女とは話たがらなかった

彼女はそれから一人でいるようになった

家族もいない

友達もいない

彼女は孤独だ

彼女は寂しかった

誰かと話したかった

けど、誰も彼女には近づかない

彼女は泣いた

大声で泣いた

泣いても誰かがなだめてくれるわけじゃない

お母さん......お母さん......

泣いても泣いても

涙は治まらない

彼女のお母さんは

いなくなってしまったのだ

彼女が小さい頃

家を出て行ったきり

お母さんが彼女の元に現れることはなかった

それから7年が経ち

彼女はまた孤独になってしまった

自分が言ったことを

取り消したかった

この世界に神様がいるのなら神様は彼女を助けるだろうか

身勝手でわがままな彼女を

神様は許してくれはしないだろう

しかし、神様はとても優しい存在だ

雪が降らないこの町に

雪が降ったのだ

彼女は喜んだ

涙を流しながら彼女はみんなに謝った

許してくれなくても謝ろうと思ったのだ

優しいのは神様だけではなかった

町のみんなも優しかったのだ

彼女は雪を見て

「綺麗......」

と一言しか言えなかった

彼女は言葉にできなかったのだ

こんな美しい景色は

口では言い表せないなかったからだ

それからというもの

その町には毎年雪が降るようになった

そんな白く美しい、空からの贈り物は

彼女を

この町を

幸せで包んだのだった


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