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短編集

あなたに、おくる、ことば

作者: 把 多摩子

2014年2月27日、改稿いたしました。

ひいいいいいいあまりにも酷すぎた(吐血)。


2020年12月7日、改稿致しました。

ヒイイイイイイあまりにも酷すぎた(二回目)。

 ワイルドストロベリー……というハーブをご存知ですか?

 バラ科フラゴリア属。

 和名・エゾヘビイチゴ。

 別名・野苺。

 のいちご、皆さんご存知かと思います。このハーブには、素敵な伝説がありました。

 現在六月、丁度良いお話です。


「これね、これ」

「あー、この一番左のやつ」

「うん。お花、苺でしょ」

「ホントだ、でも、もう苺の季節終わったじゃん」

「ワイルドストロベリーはね、普通の苺と季節が違ってね、今からでも花が咲いて、実がなるんだよ」

「へー」


 与えるお水は、お米のとぎ汁。エコだし、栄養もあるから御釜を抱えてベランダへ行くのが日課だ。

 暑い季節なうえに、ここは直射日光が燦々と降り注ぐアパートの二階なので、足りない分は水道水で補った。

 ワイルドストロベリー単独で育成せず、他四種のハーブと育てている。初夏の太陽の光を浴びたハーブ達は、ワサワサッ! と物凄い勢いで成長した。

 葉っぱをそっとかきわけて覗き込むと、可憐な白い花が四つ、咲いている。他にも蕾があるから、もっと多くの花が咲くのだろう。

 とても楽しみだ。

 彼氏と水を与えつつ、じーっと、花を見た。


「これねぇ、不思議な話があるんだよー」

「苺の話?」

「そだよー。なんかね、ワイルドストロベリーの苗を購入して育て始めた人がね、一年でスピード結婚したんだって。それで、その育成してたワイルドストロベリーをね、たくさん増えたから、式に来た友達に何気なく配ったのね」

「うん」

「そしたらね、貰って育て始めた人達もね、次々と結婚していったんだって!」

「へぇー、結婚の花?」

「……っていう伝説がある、不思議なハーブなのだ」


 ベランダの右上に、今年もスズメが巣を作った。

 去年雛がベランダに落ちてきたから、今年は落ちてこないようにと願いつつ、毎日心配で覗いている。雛達の鳴き声が、今日も元気に聴こえているから大丈夫だろう。

 私は思わず、笑った。

 このワイルドストロベリーには、実がなるだろうか。

 これだけ元気に育っているから、きっと数ヶ月もすれば可愛い実がぶら下がるに違いない。たくさん実ったら、ジャムにしてみよう。今から作り方を調べておかねば。

 葉っぱも乾燥させて、ハーブティにしよう。香ばしくて美味しいから、たくさん作って常備茶にするのだ。自分で育てたハーブで作ると、また味も格別に違いない。


「日曜日、晴れるかなぁ」


 現在、天気は超ご機嫌、晴天。

 初夏を通り越して、真夏日じゃないかー、と突っ込みたくなるくらいの暑さ。

 今度の日曜日苺狩りに出掛けるので、天気が不安だったりする。

 ハウスなので天候は気にしなくてもよいけれど、どうせなら晴れた方が気分が良い。

 終わりがけの、苺狩り。もう残り少ないだろうし、甘くないかもしれないけれど。

 苺繋がりなのか、じつは普通の苺にも不思議な伝説があったりするのだ。この地区だけかもしれないけれど! 地区というか、私の回りだけかもしれないけれど!


 苺狩りに彼氏と出掛けた私の友達は、その年にみんな結婚した。

 驚くべきことに、全員。

 無論、苺狩りに行っていなくても結婚している友達もいる。けれど、苺狩りに行って結婚した友達は、皆、幸せな家庭を築いているのだ。

 これって……凄い事だと思う。

 苺の、あの可愛らしい姿。二人で摘んで、二人で食べれば。

 幸せな気分になれるから、かな。

 そんなわけで私は、壁のカレンダーを何気なく見た。

 苺狩り、の文字。初めて行く、彼氏との苺狩り。苺狩りなら、家族と行ったし友達とも行ったし。

 けれど、そういえば彼氏と行ったことが過去になかった。


「結婚、出来るかな」


 ぼそ、っと私は呟いた。


「出来るだろ、別に苺狩り行かなくても」


 と、あなたが呟いた。

 私は。

 隣でカレンダーを見ていたあなたの手を取って、ぎゅっと、握ったのだ。

 ベランダの、ワイルドハーブに願いを籠めて。日曜日の、苺狩りに祈りを籠めて。

 大事な大事な、世界でたった一人のあなたと。


「これからも一緒に居られますように」


 可愛い、可愛い、苺に願いを、祈りを。


「……さて、ワイルドストロベリーティーでも飲みますか! 自家製の」


 私は、あなたに、笑った。

 

 苺を、育てよう。

 ベランダでも、お庭でも、苺を育てよう。

 たくさん、たくさん、育てよう。

 私と、あなたと、家族と一緒に。

 緑の葉は、優しさを。

 赤の実は、情熱を。

 白の花は、安らぎを。


「届け、届け、私の想音」


 目を閉じれば、苺を育てている私が見えた。


挿絵(By みてみん)

 ……お釜からコップに移し換えて持って行けよと、と過去の自分に突っ込みを入れた2020.12\(^o^)/

 ※なので、よくベランダにこぼしていたのを思い出しました。


 ちなみに、いちご狩りには行ったけれど、別の人と結婚しています←

 ※泣きながら改稿しました(´;ω;`)←

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― 新着の感想 ―
[良い点] 気持ちが素直に表現されていてよかったです。 苺もふたりの生活も、甘いのでしょうね。
[良い点] 健気なところと、将来へのプランが驚くほど無く、 不安な所を祈りで誤魔化している主人公の幼さ(実年齢は除外)。 [気になる点] 彼氏よ。引導くだすつもりならさっさと結論出せよ!? 良い子なの…
[良い点] 一人称視点は堅実でぶれがなく、読み易い書き方でした。 また、ラスト部分が良かったと思います。 締めの一言、個人的に好きです。 [気になる点] 周囲の状況や背景の弱さがあると思います。 テー…
2011/06/17 21:38 退会済み
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