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Legendiaより愛をこめて〜ホルムズ危機、そして私たちは恋を知る   作者: おーがすてぃーぬ


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29/73

光の海 ―とっても綺麗だね―

北大西洋の夜。


長い航海の途中ですが、船の上では時々こんな時間があります。クルーたちが集まり、笑い、音楽が流れる夜です。


今回はレジェンディアのクルーたちが仕掛けた、少しだけ特別なサプライズのお話です。

ジブラルタル海峡を出て、四日目。


レジェンディア船団は静かに北へ向かっていた。


レイコの体調はすっかり回復し、ムーンカフェデッキにはクルーたちの笑い声が戻っている。


夕方の海は穏やかだった。

冷たい風がデッキを通り抜ける。


「東京着いたら何する?」


若いクルーの一人が言った。


「まず温泉!」


「いや寿司だろ!」


「休暇だよ休暇!」


笑い声が弾ける。


そのとき、誰かがレイコを見て言った。


「レイコさん、副長とデートしてきたら?」


レイコは思わず吹き出した。


「ちょっと!」


別のクルーが笑う。


「無理無理」


「クリスタニアのデビュー早まるんでしょ?」


「副長そんな暇ないよ」


するとアレックスが顔を上げた。


「じゃあさ!」


「この船でパーティーしようよ!」


リサがすぐ乗る。


「いいじゃない!」


ミカエラも腕を組んで笑った。


「ゲストいないしな」


「クルーだけなら好き放題できる」


レイコは苦笑した。


「もう、冗談ばっかり」


だがクルーたちは顔を見合わせ、静かに頷いた。


――その夜から準備が始まった。


もちろん、船長承認である。


キャプテン・ヘンリーは楽しそうに笑った。


「若い連中に任せよう」


そして無線が密かに飛ぶ。


Grizzly。

Golden Bear。

Silver Wolf。

Black Dober。


船団すべてへ。


サプライズ作戦。



カナダ沖。


夕暮れ。


海は静かだった。


そのとき――


レジェンディアが全点灯した。


クルーズ船の灯りが一斉に輝く。


次の瞬間。


周囲の船たちも灯りをつけた。


タンカー。

バルカー。

貨物船。


暗い海の上に、光の船団が現れる。



レイコはまだ何も知らない。


部屋のドアがノックされた。


「レイコ様」


エディだった。


「お着替えを」


差し出されたのはドレス。


カナダの雪のような銀色。


胸元にはクリスタルのアクセサリー。


レイコは目を丸くする。


「これ……」


エディは穏やかに微笑んだ。


「船内パーティー用に準備していたものです」


「今夜がその時でしょう」


その後ろでは、三人娘が準備を始めていた。


リサがメイク。


アレックスが髪を整える。


ミカエラはブリッジにいる。


無線を握り、にやりと笑った。


「ダーリンたち!」


「うちのボスが恋人に告白してなかったもんだから!」


ブリッジで笑い声が上がる。


「今日はちゃんと告白させる!」


「踊り終わったら長音だ!」


「合図するから付き合って!」



ドアが開いた。


そこに立っていたのは――


リヒト。


正装だった。


彼は静かに手を差し出す。


「レイコ」


「来てくれ」


連れて行かれたのはメインデッキだった。


そこはまるでクルーズの夜のように灯りがついている。


海の上の舞踏会。


音楽が流れ始めた。


Secret Garden

「Nocturne」


静かなピアノ。


リヒトは軽く頭を下げる。


「踊っていただけますか」


レイコは微笑み、手を取った。


二人は海の上で踊る。


レジェンディアの灯りの下で。



周囲の船たちは静かに道を開いた。


小さなリトルベアがレジェンディアに近づく。


“It’s so beautiful… I’ve never seen anything like it.”


(とっても綺麗……こんなの初めて見たよ)


輝くレジェンディアを見つめながら、

大きなタンカーたちは静かにその光景を見守っていた。



やがて曲が終わる。


その瞬間。


レジェンディアの汽笛が鳴った。


――ボオォォォ……


続いて周囲の船たちが応える。


Grizzly。

Golden Bear。

Silver Wolf。

Black Dober。


船団すべてが汽笛を響かせた。


レイコは驚いたまま周囲を見渡す。


「これ……」


リヒトはレイコの手を取る。


そして静かに言った。


「これは俺の気持ちだ」


少しだけ間を置く。


「レイコ」


「愛してる」


その瞬間。


ブリッジから歓声が上がった。


「やったーーー!!」


「副長ついに言った!」


ミカエラの声が無線に響く。


「ダーリンたち!長音いけ!」


再び船団が汽笛を鳴らす。


――ボオォォォ……


海の上の祝福だった。


の上では、船同士が声をかけ合うことがあります。


それは無線だったり、灯りだったり、ときには汽笛だったりします。

この夜の船団も、そんな海の合図のひとつでした。


小さなバルカー、リトルベアが目をキラキラさせる様子も、海運ならでは。商船とクルーズ船がともに何かをするこのは稀ですし、それをバルカーが見ることもないからです。


レジェンディアの航海は、まだ北へ続きます。

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