表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Legendiaより愛をこめて〜ホルムズ危機、そして私たちは恋を知る   作者: おーがすてぃーぬ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/42

カナダへ ―寄り添う二人―

ジブラルタル海峡を抜け、レジェンディアは北大西洋へ。


船団はカナダへ向けて静かに航海を続けています。厳しい海の中でも、船の中にはふと心がほどけるような時間があります。


そんな夜、レジェンディアの客室で交わされる、少しだけ甘いひとときのお話です。

リヒトがレイコの部屋へ戻ると、

彼女は窓際の椅子に腰掛けていた。


ジブラルタルの海は、もう少し遠くにある。

レジェンディアの船団は、大西洋へと向かい始めていた。


リヒトは軽く息をつく。


「地中海から逃げてきたバルカーがいた」


レイコが顔を上げる。


「バルカー?」


「Little Bear。BMMの船だ」


その瞬間、レイコは静かに頷いた。


「……LNGね」


理解が早い。


リヒトは思わず小さく笑う。


「タイミングから考えると、必死で逃げて来たんだろう」


「地中海でタンカーが何隻も攻撃されたのを見ていたそうだ」


「だがクリスタニアが助けた。ジブラルタルへ向かえと」


レイコは目を伏せ、ゆっくり息をついた。


「そう……」


少し考えてから言う。


「途中で補給もしてきたはずね」


そして、はっきりと続けた。


「無事で良かった」


少し間を置く。


「一隻でも無事なら、それでいいわ」


その声には、株主としての覚悟があった。


「配当とか権利とか、どうでもいいの」


「彼らが無事に帰ってきてくれれば」


リヒトは静かに頷く。


「君はそういう人だったな」


そして言った。


「安心していい」


「船団は、三人娘が指揮している」


リヒトは小さく笑う。


「天才的な判断だ」


「事前情報もないのに、船のサイズと特性を一瞬で見分けて隊形を組んだ」


「エディも驚いていた」


ファイルを開き、レイコに見せる。


「先導は Grizzly」


「後方は Wolf と Dober」


「Legendia は中央だ」


レイコの肩から、わずかに力が抜けた。


「そう……」


小さく微笑む。


「それなら安心ね」


そのときだった。


リヒトが眉をひそめる。


「……レイコ」


彼女の肩に手を置く。


「どうした」


「顔が赤い」


レイコは少し笑った。


「そうかしら」


肩をすくめる。


「さっきまでデッキに出ていたから、少し冷えたのかもしれないわ」


だが、息が少し荒い。


リヒトの表情が変わる。


「……ちょっと待ってろ」


そう言って部屋を出る。


しばらくして戻ってきた。


銀のトレイ。

ティーカップとポット。


「ジンジャーハニーティーだ」


カップを差し出す。


「飲んで、少し休むんだ」


レイコは素直に受け取った。


蜂蜜の甘い香りが広がる。


リヒトはソファの横に立ったまま言う。


「ここからカナダまでは、俺がついている」


「だから安心して休め」


レイコは小さく微笑んだ。


「ええ。そうするわ」


少し間を置く。


「あなたも休んで」


リヒトは目を伏せた。


――後悔していた。


本当は、無理矢理でも船から降ろすべきだったのかもしれない。


そうしていれば今頃、

レイコは安全な場所で休んでいただろう。


こんな荒れた航海の中で、

熱を出すこともなかったはずだ。


だが――


もう船は止められない。


今も船団は、出来る限りの速力で航行している。


リヒトは小さく息を吐いた。


「少し休もう」


レイコは微笑みながらベッドへ移動する。


そして振り返った。


「目が覚めたら、あなたがいるのね」


少し悪戯っぽく言う。


「違う熱が出そうだわ」


リヒトは苦笑した。


カナダまでは六日ほど。


レジェンディアは、巨船に寄り添いながら

静に北大西洋を進んでいた。


船の航海は長く、天候や情勢によっては厳しい時間も続きます。だからこそ、船の中での小さな休息や会話が、思いがけず大切なものになることがあります。


レジェンディアはタンカーたちとカナダ沖へ。


カナダでは、戦いの前のささやかなパーティーがひっそりと。次回はリヒトが少し王子様に見えるかもしれません。お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ