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のんびり暮らすはずが、隣人全員チートでした ~仕方なく俺も覚醒します~  作者: 妙原奇天


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第6話 王都の祝宴、再び爆発

 王都の門をくぐった瞬間、俺は悟った。

 ――帰りたい。

 街全体が花と旗で飾られ、城門には俺の顔を模した肖像画まで掲げられている。

 そこには大きくこう書かれていた。


 『人と竜を結ぶ、共鳴の賢者リオ・クラウス』


「勝手に広報すんなよ……!」


 沿道の市民たちは歓声を上げていた。

「リオ様だ!」「竜姫の旦那様!」

「違う! まだ籍も入ってない!」


 そんな俺の横で、水竜セリアが馬車の窓から優雅に手(翼?)を振っていた。

『誇らしいな、リオ。皆、汝を祝っている』

「俺は祝われたくない側なんだが!」


 やがて馬車は王城へ到着した。

 広間では絢爛な装飾と数百人の貴族たち。

 そして、その中央に王と王妃が並び立っていた。


「ようこそ、賢者殿」

 王の声は重々しく響く。

 俺は慌てて膝をついた。

「も、もったいないお言葉を……!」

「謙虚なことだ。そなたの功績は、我が王国の歴史を変えた」

「変えなくていいです、戻してもらって……」

 ジークが後ろで笑いを噛み殺していた。


 王は満足げに頷き、周囲に命じた。

「宴を始めよ!」


 音楽が鳴り、ワインが注がれ、舞踏が始まった。

 俺は壁際でひたすら影を薄くする作戦に出た。

 だが、そんな願いは三分と持たなかった。


「リオ様、お言葉を!」

「共鳴の秘訣を教えてください!」

「竜姫とのなれそめは!?」


「うるさい! 取材陣かお前ら!」

 貴族たちは目を輝かせて寄ってくる。

 俺が一歩下がるたびに、なぜか会場の燭台がきらりと光り、花瓶が揺れた。


《共鳴発動》


「……は?」


 また、だ。

 俺の足元から光が走り、広間全体を包み込む。

 音楽が止まり、空気が震え、貴族たちの衣装がふわりと宙に浮く。


「やばい、止まれ、止まれぇぇ!」


 だが光は止まらない。

 王の王冠が輝き、セリアの鱗が発光し、

 ジークの剣が勝手に飛び出して天井のシャンデリアを真っ二つにした。


「うわああああああああ!!!」


 爆風。

 ワインの雨。

 悲鳴と歓声。


 そして――奇跡。


 崩れかけた天井の下で、セリアが翼を広げ、光を反射させて瓦礫を蒸発させた。

 村で暴れていた時より、はるかに繊細な制御。

 貴族たちは膝をつき、誰かが叫んだ。

「リオ様が守った!」


「いや、今のは俺じゃなくて――」

「謙虚だ……やはり真の賢者だ!」

「違うううううう!!!」


 その後、広間は一転して熱狂の渦となった。

 “共鳴の奇跡”が国中の話題になり、

 王はその場でこう宣言した。


「賢者リオ・クラウスを、王国の守護顧問とする!」


「待ってください、俺に決定権は……!」

「そして水竜セリアを、王国親竜とする!」

『感謝する、人の王よ』

「勝手に成立してる!!」


 花弁が舞い、演奏が再開する。

 だが俺の耳には何も入らなかった。


 ――もう、逃げ道がない。


 宴が終わる頃、王妃がそっと近づいてきた。

「リオ殿。あなたの“平穏”という言葉、陛下も気に入っておられます」

「え?」

「王都が騒がしいのは、平穏が遠いから。あなたの力は、それを呼ぶ」

「……そんなつもりじゃ……」

「どんな力でも、使う者次第です。どうか、この国を静かに導いてください」


 静かに導く、か。

 それは俺が最も遠ざけようとしてきた役割だった。


 城を出ると、夜風が吹いていた。

 セリアが隣で歩きながら、低く言う。

『人の平穏とは、争いのないことではないのだな』

「……まぁ、そうかもな」

『ならば我も、その在り方を共に学ぼう。汝の傍で』

「いや、だから距離感を……」


 その時、王都の東空に赤い光が走った。

 爆音が遅れて響く。

 警鐘が鳴る。

 衛兵が駆け抜けていく。


「報告! 北区で魔導研究塔が暴走、共鳴反応を確認!」


 ――共鳴?


 俺とセリアは顔を見合わせた。

「……また俺か?」

『また汝だな』


 静かな夜風の中で、俺は空を見上げ、乾いた笑いを漏らした。

「……平穏、どこ行ったんだろうな。」


 ――平穏、またも爆散。


次回予告:「第7話 暴走する共鳴塔、国を揺らす」

王都全域に広がる共鳴現象。

“無自覚賢者”リオは、ついに自分の力の正体を知ることになる――。

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