ひらけ玄関!
サナラへ
僕の背中に乗っかるのは、別に構わない
久しぶりに大量に降り積もった雪を見て興奮するのもわかる
たださ、興奮したまま背中に乗っかっているのに体を上下に揺らされるのは大変困る。
こっちはサナラを家の床に落とさないよう気を張っているから、落ち着かないんだ。
「サナラ〜雪を見るのは構わないんだけど」
サナラは不思議そうにこちらに視線を向ける
「なぁに?にいちゃん。」
首を傾げ僕を見る
「あのさ、お願いがあるんだけど 外に降ってる雪を見るのは構わないんだけどせめて僕の背中から降りて見てくれないかなぁ?」
僕はサナラが嫌な気分にならない範囲で優しく言えたはず
年が五つも離れているとはいえ、
サナラは女子だから身長は僕より伸び始めるのが早く
だんだんと僕より身長は大きくなってきている
まだ骨折の怪我から全快しているわけではないから
サナラの体力が持ったとしても
今度は僕の体力が持たない
サナラは最初はキョトンとしていて理解ができてなかったが意味がわかったらしく
「あっ!そうだねごめんね!」
僕の背中からサナラは降りてくれた。
背中にあった重さから解放された僕は腕を高く上げ、伸びをした。
ゴキッ ギギッ
体のどこかから、不調を示す音が鳴った気がするが、
気のせいだと思いたい
そうだ気のせいにしよう
そうしよう。
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あの後結局、僕の背中にまたサナラが乗っかった
今度はさっきみたいに体を揺らしても全然サナラは降りてくれない
結局僕はサナラを背中に乗せたまま玄関に移動する羽目になった
サナラは僕が動いて自分の体も揺れるのが、
楽しいのか背後から歓喜の声が聞こえる
「にいちゃん早くー 遊びに行こう!外に行こう!」
さっきからサナラはこれしか言わなくなった
思わずため息が漏れてしまう
遂には僕は甘えん坊のサナラをおんぶや抱っことも
どちらともいえない格好で僕らは玄関に向かった。
玄関に着いた途端背中に乗るのは満足したのか
サナラは足をバタバタさせて僕の背中から床におりた
「にいちゃんありがと!」
とサナラは僕にニコリと微笑んで
そのまま玄関を押し開けようとし
サナラは玄関と派手にぶつかり尻餅をついた
「「え?」」
僕もサナラも二人揃ってその奇妙な光景に素っ頓狂な声を上げてしまった
サナラは尻餅をついたまま、きょとんとした表情で玄関扉を見上げて玄関を凝視している
僕はサナラを立ち上がらせて怪我をしていなか確認をする
服に土埃がついているが特に怪我はしていなさそうだ サナラの服についている砂埃を払っていると
サナラは困惑した表情で「にいちゃん、」
耳が良くなければ聞こえないほど小さな声だった
「どうしたのサナラ?」
僕はサナラと目線を合わせる
サナラは眉尻を下げて困惑したように僕に伝えてくれる
「家の玄関開かないよ どうしよう……」
なんで?開かないの?とサナラの頭には疑問が浮かんでいた
「サナラ今度は僕が開けてみるからちょっと後ろに下がってて」
僕はサナラを後ろに下げて玄関扉を押してみた
精一杯力を込めても
玄関はびくともしない
おかしい
うんともすんとも動かない
普段なら、「あっ、また風で玄関が開いたわね」って母さんに言われるほど
隙間風が吹く度勝手に開いたり閉じたりするくらい脆い玄関なのに
今日は玄関が全く動かない!
今度は玄関のノブを力強く掴みながら思いっきり押してみた
後ろからサナラの にいちゃんがんばれぇ!!!!!とめちゃくちゃでかい声が聞こえるが
サナラお願いそんな大声出さないで僕の耳が痛い
だがどれだけ僕が押しても
目の前にある玄関は開かない
力ずくで押したから家に出る前から息切れをしている僕
サナラも最初は応援をしていたが、
だんだんと僕が玄関を押している力が弱まっていることに気づいたのだろう
いつの間にか声援は萎んでいた。
僕の口からも
「困ったな」と目の前にある大きな玄関に対して戸惑いが漏れた
そんな様子を見てまた困った顔をしているサナラ
僕たちは、開かない玄関の前でどうすればいいのか分からず立ち尽くしていた




