小話
ミファタリアリルバイス王国の中でも
特に使いずらい場所にあるのが
ここエョヴルレイ領地 である
辺境の地と揶揄される場所であることは知ってはいたが
民は、あるのは犯罪者どもの死骸とその死骸を貪る
失礼
犯罪者たちを取り締まる領地が
ここエョヴルレイ領地 である
私はここで記録管理官として働いている
「はぁ、さっさと仕事を片付けよう」
私は執務室に向かっているだけだったのだ
だが、これ幸いに
全く違う別件の仕事を頼まれた
その内容は 影族による窃盗についてだった。
チッ
これまた面倒なものを、
新たに任された仕事の愚痴をこぼすわけにもいかず
口を閉ざす、
我が家に帰れるのはいつになるやら
仕事を減らそうと思って仕事をしても別件の仕事に変化するだけ増える一方だ
ふと通路に生けられている、白百合が視界に入った
「リーベルに会えてないな、体調を崩していないだろうか。」
俺の最愛の人であり
妻のシャルロック・リーベルの事を思い出した。
彼女は白い百合の様に無垢で可憐で、
俺には勿体無いほど美しい女性だ
「会いたいな、」
思わず溢れてしまう
妻の瞳と同じローズクォーツがついている
婚約の指輪は、私の左手薬指に付いたままだ
ずっとつけているからか
指輪はもう劣化し始めていて表面は少しざらつき始めているが
ローズクォーツはまだ輝きを放っている
「そういえばそろそろ、誕生日だったな」
俺が彼女と婚約してもう13年たった。
この国にしては珍しく政略結婚ではなく
恋愛結婚だ
結婚期間は長かったが
互いに仕事が多忙で時間が作れず
なかなか子宝に恵まれなかった。
だが3年前に念願の子供である
息子 ダブラスが生まれた。
四十路前に生まれた息子は俺にとって天使に見えた
ダブラスは俺に似てやんちゃで俺が帰ってくると
舌足らずな声で 「父しゃま」と呼んでくれる
思い出したら、さらに帰りたくなってきたな
「リーベルが作る飯を食べたい。」
誰にも聞こえぬ様に
自分だけが知っていればいい
思いは私だけのものだ
ああこんな地位さえなければ
彼女と俺は貴族だが 互いに召使いは所望しておらず
息子と妻 あとは、ああ、俺の家に古くから支えてくれている
執事の ファヴィオル・メーウッドが俺の大切な家族だ
リーベルは疲れて帰ってきた俺によく自前の料理を作ってくれる。
それが大層美味くて
思い出したら腹が減ってきた。そういえば何も食っていなかったな。
ふっ、自然と笑みが溢れた
さて、仕事をきちんと終わらせて、
俺が見た景色をダブラスに話してやろう。
ふっ、ははっ
まぁ、怖がって泣くかもしれないがな……
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