記録管理室
【記録管理室】
「はぁ」
私がエョヴルレイ領地で記録作業に励んでいて、本件の調書を記述するのに疲れが出始めていた時のことだった
キィと扉が開き
私の執務室に本件の指揮官であるモルデット・ベルレンズが許可なく入室してきた
かの有名なモルデット家の当主で私の同僚でもあり
本案件の指揮官という立場であるモルデット・ベルレンズ
私と同い年であるベルレンズだが
その肉体や肌はそこらの新兵と何ら変わりがない
黒髪と
深海を思わせるような青い目は
こちらを何でも知っているような 目で
逆にこちらはベルレンズの考えていることが全く読めない
底が読めない目が個人的には嫌いだ
「モルデッド、ここはお前のではなく、私の執務室だ 勝手に入ってくるな」
勝手に入ってきたモルデットにイラつき
思わず軽蔑をした目と角のある喋りをしたが…
モルデット・ベルレンズは、にこやかに微笑みながら
「おやおや、シャルロックさんは真面目ですねー」
と
私の近くにある本案件についてまとめている調書を手に取った
「チッ 」
苛立ち舌打ちをしてしまった
それが聞こえたのか
ベルレンズは「舌打ちをしてしまうと幸せが漏れますよ〜」
とファランドーレで見た割れた 湖のような瞳で俺を見た
「はぁ、ベルレンズ」
なんでしょうかー?と伸びた話し方にイラつきつつ
私は聞いた
「貴様の見解を聞きたい 貴様はこの件についてどう考えている」
ベルレンズは眼鏡を持ち上げ私の机に置いてある紙の束を手に取りめくりながら内容を確認する
「そうですねー」
内容を確認しているのか奴の表情が少し変わるが、大きな変化はない
ただまぁ
口元には多少ばかし笑みが浮かんでいた
「まぁ、子供が引き起こした出来事というのが妥当でしょうね」
そう含みを持たせてモルデットはやや乱暴に調書を私の机に置いた
「あ、そうそう、」
私は彼の言葉に耳を貸しながら領主に報告する記録作りを進めていた
「ラルシ・べガルドの妹君のサナラ・べガルドくんなのですが」
「何も喋らなくなりました」
私の文章を書く手が止まった
「モルデット・ベルレンズ 加減をしろと言ったはずだ」
万年筆の手が止まり力がこもり パキパキと乾いた音が万年筆から聞こえる
「正気剤は?」
私がそう聞くと、ベルレンズは首を傾げた
「使用しましたが、彼女まだ6つにもなっていないんですね」
チッ
使用の有無を聞いていたのは確かだが
こいつは本当に使ったのか
俺はベルレンズを睨む
「はぁ、お前はもういい次は俺がやる」
_____________________________________
私はあの後ベルレンズから仕事を奪い
サナラ・べガルドがいる尋問室に向かった
「兄はやってないんです!!」
尋問室からは復活したのかまだ幼さが残っている子供の声が聞こえる
私は尋問室前に立っていた守衛に会釈し入室した
子供は私の姿を見たとたん、肩をすくわせる
「初めまして、サナラ・べガルドさん 私の名前は シャルロック・フォリルライトと申します」
もしよかったら私とおしゃべりしませんか? と私はにこやかに微笑んだ
フォリルライトさんと名乗った人は私ににこやかに微笑んだ
昨日まで私に話しかけていた
黒髪の人とは違う、
黒髪で蒼目の人は私を私としてではなく
なんだろう、気味が悪かった
そんな気がして
まるで………
嫌だった
フォリルライトさんは私の目前に座って私を見る
「好きな食べ物は何ですか?」
そう言ってフォリルライトさんは私に、にこやかに微笑みながら
机に置かれている紙に何かを書いていた
私が何も言わず黙っていると
「そうですね、サナラという名前ですから、甘味とかがすきでしょうか?」
甘味 その言葉はよくわからず私は首を捻った
「お料理はよくされるのですか?」
フォリルライトさんは今度は私の方に書いていた紙を見せてくる
そこには YESとNO と書かれていて
私は自然とYESの方に指を置いた
フォリルさんの目がこちらを見る
よく見たら瞳の色は淡い紫色に少し緑が混じっている色合いだった
あの人とは違う
私がフォリルさんの目をじっと見てると
フォリルさんは目を閉じた
「そんなに私の目が気になりますか?」
私がびっくりして肩を震わせたら
フォリルさんはくすくすと笑った
「別に、目ぐらい見ていて構いませんよ。」
フォリルさんはくすくすと笑ったと思ったら
「先ほどの質問に答えていただけたら僕としては嬉しいです」
そう言われたので私は「はい、よく母とは」
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「それでは次の質問です」
「はい」
「あなたたちは、あの日どこで何をしていましたか?」
「あの時私は兄ちゃんとにいちゃんの友達と一緒に秘密基地に行ってました」
「そうですか。」
「それではそこで一体何を見たのでしょうか?」
「あそこでラダウンドを見ました」
「ラダウンドを見つけた君たちは何をしましたか?」
「ラダウンドを見つけたら雪だまを投げました」
「ほう、投げたのは誰ですか?」
「雪だまを投げたのはケックです」
「ケックとはどなたでしょうか」
「ああ…いましたね」
「ほうほう彼が」
私がパラパラと今回の出来事の資料をめくる中
もう一個質問をした
「あなたはあの村で何を見ましたか?」
「を___________」
サナラ・べガルドは何も答えない
糸が切れた人形のように項垂れるだけ
効果が切れたか
サナラ・べガルドは空な目でこちらを見てくる
「ご協力感謝いたします」
私はコートにしまっていた薬を解除する水を彼女の水に混ぜる
「サナラさん、お水 あとで飲んでくださいね」
そういうと彼女はこくりと頷き水を飲んだ
カヒュ
喉が鳴る音が聞こえ
彼女は気絶した
___________________________
コツコツコツ
「やはり、ラダウンドが原因か _____」
足音が廊下に響く
執務室まであと数m
チカッ
目の前で閃光が爆ぜたような感覚になり
どちらかに痛みが走る
ボタッ
左目から血が垂れた
「チッ だから嫌いなんだよ。」
これは誰かに言った言葉ではない
他者が見つめると“何でも話せてしまう”そういう特性を持っている目の
使用時間がオーバーしただけだ
「はぁ、、 バルセンゲッツ」
時を戻す秒針のように
私の血が流れたことがなかったように
魔法が私のことを元に戻す
「チッ」
忌々しい こんな魔法 こんな目
私は望んでいなかった
「まだいたのか」




