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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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89話 人権はあってないようなもの


 シトイさんからの予想外の発言に俺は一瞬驚くが、一生驚いているわけにもいかないので、とりあえず聞き間違えじゃないか確認してみる。


「今なんて?」


「だから、喰魔の研究だって」


 もお、聞いててよねとシトイさんは肩をすくませる。


 なんだかムカつくがそれは無視して聞きたいことを訊くことにする。


「ネストではなく高校でやってるんですか?」


「ん?そうだよ、と言っても、学校自体【Nest】の施設だけどね。というか通常の【Nest】の施設だとしようにも出来ないんだよ」


 しようにも出来ないというと機材の問題とかだろうか?だが、そうだとすると、どう考えても通常の施設の方が機材の類はそろっているだろうし。


「出来ないっていうのは?」


「そんなの簡単だよ、単純に高校には喰魔石はあるけど【Nest】……まぁ、本部は除くけど、【Nest】の施設内のはないからね」


 俺が首を傾けると「説明不足だったね」と言いながら再び口を開く。


「まぁ、簡単な話、喰魔石どうこう以前に魔石自体あの日、大量に降ってくるまで今よりもさらに希少だったんだ。そして問題の喰魔石はあの日以前から確認されていたのはたったの2つだけ」


 もうわかるよねと言いながら地面に2つの円を描きさらに描き足す。


「現在確認されているのは君のを入れて6つ……いや、7つだね。先ほど【Nest】の方で君の近くにもう1つの反応があったことは確認されている、そこの……何やってんのあれ?」


 横目ではととイオのいる方を見たシトイは疑問を呈す。完全にいちゃついている。本当にあの短時間で何があったんだろうか?でも、シトイさんたちが来る前からあんな感じだったけど。そういえば状況の報告の間はちゃんと仕事をしてたんだっけか。だからこの人は初めて見たと。


「……こほん、まあいいや、そこの沖田イオちゃんを含め7つ。そして、そのうち学生は4名。まぁ単純な話、学生の方か忙しくないのと後の3人は結構忙しいってことで、それにさっき言ったみたいに魔石が増えたのは最近だからベテランの人はほぼ関係ないしこれから増えても学生の可能性が高いし、とにかく、いろいろあって高校ってわけ」


 最後は無理やりだったが、要は学生に多いんだから学校でやればよくねってことらしい。というか、学生4人ってことは俺とイオ、そして青高の色葉を除くと一人しかいなくないか?


 そんなことを考えていたらシトイさんがこちらを見ている。いや、話しているのだから当たり前だが、なんだか改まったような顔をしている。


「じゃあ、端末見てみて」


 改まったような表情とは対照的ともいえるトーンでそう言われ驚きつつも端末を取り出す。


「……赤翡翠高等学校……な、特待!?」


「ふふーん、すごいでしょ。あ、それ断れないよ」


「は?」


 あまりの展開に置いて行かれそうになるが必死に頭を回す。


 つーか、この人今断れないっていったか?


「始めから行くことが決まっててさっきの話をしたんですか?」


「え、だって、無理やり行くより、行きたいってなってからの方がいいでしょ」


「俺まだ意思表示すらしてませんよ」


「あっ」


 やっべみたいな顔しても無駄だ。つーか、無茶苦茶だな。俺がもし志高く1年のころから志望校に入るための勉強をしてたらどうするつむりなんだ。まぁ、テスト勉すらしたことないけど。


「あー後、無理にでも断ると処理されちゃうよ」


「は?」


「いやー君曲がりなりにも喰魔飼ってるからね。脅威度が低くても口実は作れるんだって」


「だってて、言われても……」


「じゃあ、私も一緒に入学させないと入らないと伝えてください」


 いきなり、割り込んできた紗奈がそんなことを言う。


「あ、確か紗奈ちゃんだよね、君くらいになると推薦くるんじゃ――」


「ここで、約束してください」


 そんな話を聞いているのか更に念押しする。


「わ、わかったよ、掛け合ってみるね」


 そういって端末を取り出し「直接でいいんだっけ」とか言いながら、操作をするとすぐに端末が音を鳴らす。


「『いいよ~』だってさ」


 その文だけでなんとなく誰だかわかるなと思いながら、どうしたものかと頭を抱えた。

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