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天より落ちし光の柱は魔石を運ぶ  作者: えとう えと
第六章 鳥取ダンジョン編
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81話 自分達が得をできるように相手を縛り、自分達を抜け出せるように緩く縛る


 その男は"黒"と表すのが的確だった。


 その、ボロボロの服は黒く、ズボンは色こそ全く同じでないにしてもせいぜいグレーといった具合だった。


 髪も黒、目も黒、そんな男だったがその中でも一番目を引くものがあった。


 男の背中に斜めにかけられているのは一見長方形の板にも見える。だが、見るものによっては微かな魔力反応によってそれが何らかの武器だと言うことがわかるだろう。


 それは全身を漆黒の布で巻かれ、それ自体は見えない。それは刃物なのか、はたまた、銃なんかを収納してあるケースなのか、だが、上部には細長い穴が空いてありそこを掴むのだろうことだけは見てとれた。


 そして、男――【黒帯(こくたい)】は、この時、このダンジョン内で強力な反応を放つ七体の内の一体と対峙する。


 牛。


 牛としか言えない頭を持ち二足歩行で立つ姿は圧巻であった。人間に近い体躯をしながらも所々野生的な――それこそ牛のような特徴を残していることが見て取れる。


 だが、それはこのダンジョン内で過剰に湧く、牛たちとは格が違う。いや、そもそも、種族、成り立ちから違う。


 これは、間違いなく化け物だ。


 それこそ、ミノタウロスと言って良いほどに。


「危険度は」


 黒帯はその厳つく妙に整った顔で僅かに口だけを動かし、オペレーターへと投げかける。


『――そのモン――ーの危――は1-4で―』


 オペレーターからの情報が耳を駆け抜けるが、ノイズが酷い。だが、重要なところは聞こえている。


 危険度――それはネストで定められた。階級に基づき作られている。


 通常の所有している階級と同じ数字の割り振られたモンスターまでを無理なく倒すことが出来ると考えられている。


 そして、階級は4から1であるが、モンスターの危険度はもう少し細かく規定されている。


 単に4級といっても4級上位と4級下位ではその力の差には圧倒的な差がある。その為更にその中で十段階に分けられている。


 つまり4級の場合でもその後に10と付くか1とつくかで大きく変わってくる。


 そして、今回の場合1-4――つまり、一級の中でも半分より上のかなり強いモンスターである。


 参考までに現在討伐されたモンスターと今、目の前にいるモンスター七体のうち強さ順に並べるとこうなる。

















 

 危険度1-2 討伐 津田詩


 危険度1-4 発見 黒帯


 危険度1-10 討伐 徳備多々良


 危険度2-3 討伐 月宮紗奈 日高蒼介 (津田伊織)

















 

 この中だと黒帯の相手は2番目になる。故に先程の雷系統による一撃で反応が消滅した時、黒帯は驚いたのだが。


 そして、それは余談だが、この階級における4-10と1-1は振れ幅がでかい。


 例えば4-10と言っても、詳しく見てみれば更に細かく分けた時の下位と上位の振れ幅は他のものに比べてでかい。それは、一定のラインよりしたのモンスターは等しく4-10である為だ。


 だが、そのことに関してはさして問題はない。そもそも、この程度簡単に倒すことができないのであれば【Nest】に入ることなど叶わないのだから。


 問題は1-1だ。これは4-10同様に上限のラインを超えた際にどんなに強くともここまでてしか測れないという事だ。


 4級の間の下位、上位などこれに比べたら微々たる差だが、1級にもなるとそうも言ってられない。


 未だ、そう言った自体は出ていないが、これが比較的新しく導入されたばかりのシステムの欠陥であった。


 そもそもの話、あの大規模なモンスターや地形の転移前は必要にすらならなかった制度なので仕方ないとも言えたが。
















 黒帯は油断なく相手を見据え、背中から武器を抜く。


 ズシリとした重みが手に伝わり適度な緊張感を感じる。それは、長年死と隣り合わせの日々でそんな時大抵この武器を手に取っていたからだ。と言っても、今回のようにモンスターではなく人間相手ではあったが。


 黒帯は武器――クロウホノマを構え魔力を通す。


 クロウホノマを伝う魔力が光を発し黒い布の隙間から僅かにもれる。


「……いくぞ」


「ムオォオオオ!!!!」


 黒帯声に応えるようにして雄叫びを上げたミノタウロスがクロウホノマと交錯する。

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